熱測定
Online ISSN : 1884-1899
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21 巻, 4 号
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  • 有井 忠, 金谷 貴, 岸 証, 藤井 信行
    1994 年21 巻4 号 p. 151-157
    発行日: 1994/10/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    脱水反応の多くは可逆的であり発生気体中の水蒸気分圧によって影響される。そのため,これらの反応は,試料サイズ,雰囲気ガスの性質,試料容器,昇温速度等の実験条件に著しく依存する。近年,幾つかの速度制御熱分析(CRTA)法が積極的に研究されている。ここで,我々はこのCRTAに属する高分解能技法として,ダイナミック温度制御(DRC)法を提案する。この技法では,昇温速度が試料の分解速度の変化に応答してダイナミックにそして連続的に変化する。無機塩(CaSO4・2H2O,MgSO4・7H2O,CuSO4・5H2O)の脱水反応における表示データは,伝統的なTG曲線に対する改善された分解能を示している。DRC法では,脱水が平衡状態に近い条件のもとで進行する。そのため,脱水反応の反応開始が低温側ヘシフトしDRC曲線はより明瞭になる。また,反応は脱水メカニズムを特徴づけるプラトーとともに数段階で明瞭に起こる。特にこの手法が中間生成物の検出において非常に有効的な技法であることが明らかにされた。
  • 井ノ内 直良, 不破 英次
    1994 年21 巻4 号 p. 158-161
    発行日: 1994/10/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    本報では,農水省のスーパーライス計画で栽培された新形質米の胚乳澱粉の糊化温度と糊化熱をDSCにより測定し,ヨウ素吸収曲線から得られた見かけのアミロース含量との関係などについて述べた。
  • 岡崎 秀雄
    1994 年21 巻4 号 p. 162-170
    発行日: 1994/10/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    超イオン導電体(SIC)を,キャリア数を尺度として分類すると,構成原子数と同数の自由電子をもつ金属と対比されるSIC(Type I)と,不純物によってキャリア数が変化する半導体に対比されるSIC(Type II)とに分類される。Type IのSICの結晶構造は,可動イオンの配置に著しい乱れがあり,それが熱容量に異常な変化をもたらす。Type Iに属するAgI,Ag2S,RbAg4I5を例に,結晶構造と異常熱容量の関係を概説する。
  • 西川 恵子
    1994 年21 巻4 号 p. 171-179
    発行日: 1994/10/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    回折学と熱力学の接点を示す好例として溶液の“混合状態”という概念を紹介する。濃度ゆらぎとKirkwood-Buffのパラメータがこの混合状態を定量的に示すよいパラメータである。これらのパラメータは,それぞれX線小角散乱実験や熱力学実験から求まる。混合状態の研究例として,エチルアルコール,iso-プロピルアルコール,n-プロピルアルコール,tert-ブチルアルコール水溶液,および2-ブトキシエタノール水溶液の研究を紹介する。
  • Robert N. Goldberg, Ron D. Weir, 木村 隆良, 菅 宏
    1994 年21 巻4 号 p. 180-190
    発行日: 1994/10/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    これまで使用されていた温度目盛(IPTS-68,EPT-76,IPTS-48,およびITS-27)と最新の国際温度目盛(ITS-90)との温度差,およびその温度微係数を一覧表の形で示した。また,温度差(T90-T68)とその温度微係数を再現しうる解析関数の形も与えた。これらの表は従来の熱力学データに,IPS-90に基づく変換を行なう上で必要欠くべからざるものである。これまでの正確な熱力学データは,まずその表示温度をIPS-90に変換し,次にデータをこの目盛に基づいて修正するのが望ましい。以前にDouglasはエンタルピーのテーラー展開を使った変換式を報告している{J. Res. Natl. Bur. Stand. A73, 451-470 (1969)}.これらの式は,二つの温度目盛の差が小さい時には著しく簡略化される。IPTS-68からITS-90へ,IPTS-48からITS-90への変更に伴なう熱力学諸性質への影響度を調べるため,ND4ReO4(固),BaSnF4(固),Al2O3(固),BeO・Al2O3(固),BeO・3Al2O3(固),Mo(固)について,既存の熱容量,エンタルピー,エントロピーのデータをDouglas式で変換した。計算結果を表の形で示したが,温度目盛の変更に伴なう既存熱力学データへの影響を知る上で有効である。その結果,最も正確な熱力学データのみが温度目盛の変更に伴なう修正の考慮の対象となることが明らかになった。
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