負の熱膨張を示すZrW
2O
8を大量かつ高純度で合成する方法を開発した。ZrO
2とWO
3の固相反応法では,1200℃での熱処理および室温への急冷が必要であることを明らかにした。白金製の坩堝および蓋を用いて合成を試みた結果,プレス工程を経ていないに関わらす,高密度かつ大型のZrW
2O
8セラミックスが作製できた。またZrW
2O
8を1300℃に加熱すると溶融し,これを急冷・固化することにより高密度試料が得られた。本試料を200℃でアニールしたものは負の熱膨張を示すが,収縮率はZrW
2O
8多結晶体より小さい。これはZrO
2やWO
3がZrW
2O
8と複合化したためと考えられる。ZrO
2とZrW
2O
8の共焼結による複合化も試みたところ,ZrO
2/ZrW
2O
8比により熱膨張係数の制御ができること,微量のAl
2O
3を焼結助剤として添加すると密度・強度ともに増大することを明らかにした。これは焼結過程で生成したAl
2(WO
4)
3が液相化し,いわゆる液相焼結が起こったためと考えられる。
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