パルミトレイン酸(POA)やオレイン酸(OA),アスクレピン酸(APA),ペトロセリン酸(PSA),エルシン酸(EA)などのシス型不飽和脂肪酸について,多形間転移と融解の挙動に対する圧力の影響を高圧下示差熱分析を用いて調べた。OAやPOAのα型の存在温度範囲は圧力と共に広がる傾向を示し,ポリエチレンの高圧相の挙動と似ている。一方,EAのα
1型やAPAのα
p型は圧力の増加と共に存在温度範囲が狭くなり,
n-アルカン回転相の挙動と似ている。多形間転移や融解時の体積変化Δ
Vを,転移温度の圧力依存性と転移エンタルピーのデータを用いてクラウジウスークラペイロンの式から見積り,POAやOA,APAのγ-α転移時のΔ
Vはほぼ同じ値(5.6-5.9cm
3/mol)となるが,EAにおけるγ
1-α
1転移では他の脂肪酸にくらべて大きな値となった。その他,APAでは高圧下で新しい結晶多形が出現することもわかった。
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