組織学的および免疫組織学的に再検索の可能であった75剖検例を用いて, 終末期非ホジキンリンパ腫の病態を, 死亡原因を中心に検討した.症例は, Bリンパ腫47例63%, Tリンパ腫28例37%で, 明らかな成人T細胞性白血病/リンパ腫はみとめなかった.腫瘍死は38例51%にみられた.いずれも形態の比較的保たれた腫瘍細胞の残存が著しく, とくに心臓, 肺, 脳等重要臓器への浸潤が死因に強くかかわっていた.非腫瘍死は37例49%にみられた.頻度順に感染症26, 間質性肺炎6, 薬剤性心筋障害2, 出血傾向2, 不明1例であった.感染症は, 起炎菌からみると真菌, 細菌, ウィルス, 結核菌の順にみられ, 多くは日和見感染症であった.間質性肺炎は, 新旧の病変がみられたが, 特に急性型では, 感染の関与が強く疑われた例が多かった.今後, 非ホジキンリンパ腫に対しては, 宿主の条件をふまえたより強力な治療法の開発とともに, 種々の合併症の出現を予測した支持療法の重要性が示された.
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