日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
14 巻, 3 号
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  • 市村 雅俊
    原稿種別: 本文
    2006 年 14 巻 3 号 p. 125-133
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    家計においてきのこ消費行動が変化した要因を検討した.1999年以降,家計のきのこ消費行動は,全ての年代で購入数量を一定に維持したまま消費品目を多品目化させる方向に向かった.その中で,生シイタケやエノキタケ等の既存品目の購入頻度が減少し,代わりにブナシメジ・マイタケ等の新規品目の購入頻度が増加した.この変化は,20-30代の若齢層と50-60歳以上の高齢層で要因が異なった.若齢層の多品目化は,新規品目の価格低下や簡便な調理方法の普及が中心的要因となって進んだ.これに対し,高齢層の多品目化は,価格低下や調理方法の普及よりも,健康面への効用や味覚.形態の目新しさが中心的要因となって進んだと考えられた.
  • 吉本 博明, 江口 文陽, 桧垣 宮都, 大賀 祥治
    原稿種別: 本文
    2006 年 14 巻 3 号 p. 135-143
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    ヒメマツタケ栽培において,同一菌床上に,従来から報告されている菌傘が褐色の子実体と,白色の子実体が同時に発生する現象が観察された.この白色子実体の発生要因について,光,覆土のpHおよび含水率の栽培環境から検討するとともに,成分分析および薬効評価により両者の差異を比較検討した.栽培環境の検討の結果,白色と褐色子実体において,光環境,覆土の含水率に差異は見られなかったが,覆土のpHには差異が見られた.これは,調整剤として用いられた水酸化カルシウムの混和が不十分であることに起因する覆土pHのバラツキによる高pHが白色子実体の発生要因の一つと推論した.白色および褐色子実体の内部品質の差異を検討した結果,成分については,いくつかの成分で若干の差異が認められたものの,血小板凝集抑制試験,ケモカイン遺伝子発現抑制試験,抗変異原性試験,およびレプリカ法による肌荒れ改善試験の結果,薬効での差異は認められなかった.
  • Dinah Corazon M. LICYAYO, 鈴木 彰
    原稿種別: 本文
    2006 年 14 巻 3 号 p. 145-156
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    アンモニア菌の生理特性を明らかにするため,異なる濃度の塩化アンモニウムを窒素源とする合成培地を用いて,アンモニア菌18株を培養した.遷移前期のアンモニア菌(EP菌;腐生性アンモニア菌)Ascobolus denudatus, Pseudombrophila petrakii, Coprinopsis phlyctidospora, Coprinopsis sp. (オセアニア産C. phlyctidospora近縁種)と遷移後期のアンモニア菌(LP菌;菌根性アンモニア菌) Hebeloma vinosophyllum, He. aminophilumの栄養生長に対する塩化アンモニウムの最適濃度は0.003-0・1M,上限濃度は0.6Mであった. EP菌Humaria velonovskyi の栄養生長に対する塩化アンモニウムの最適濃度は広範囲に渡ったが, EP菌Amblyosporium botrytis, Peziza moravecii, Tephrocybe tesquorumでは0.03-0.3Mであった.後記4菌種の栄養生長に対する塩化アンモニウムの上限濃度は1.1-11.6Mであった.以上から,アンモニウムイオン濃度に対する耐性に基づきアンモニア菌は,高濃度アンモニウムイオンに適応した腐生性アンモニア菌種のグループ.広範囲のアンモニウムイオン濃度に適応した腐生性アンモニア菌種のグループ,高濃度アンモニウムイオンに耐性をもたない腐生性アンニア菌種と外菌根性アンモニア菌種のグループの3つに大別されることが判明した.
  • 佐藤 禎子, 磯田 徹, 会見 忠則, 北本 豊
    原稿種別: 本文
    2006 年 14 巻 3 号 p. 157-164
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    きのこの品種間の関係を明確にする技術としてヒラタケをモデルとして,mtSSU rDNA,核rDNAのITS領域の塩基配列の比較およびRAPD法による品種識別について総合的に比較した.mtSSU rDNAのV4領域の塩基配列の比較では,供試ヒラタケ菌株の塩基配列は99%以上の相同性を示し,この方法は,品種識別に利用できなかった.核rDNA ITS領域の塩基配列の分析では,ヒラタケの7菌株の塩基配列とデータバンクより得た塩基配列データは3つのクラスターに分かれたが,今回供試した菌株の多くは1つのクラスターを形成し,この方法でも識別に適さないことが判明した.そこで,核DNAのRAPD分析を行ったところ,ITS領域の分析で同一クラスタ-に属した菌株は,それぞれ異なるクラスターに分かれ,識別された.ITS 領域の分析で遺伝的距離の遠いクラスターにわかれた菌株はRAPD分析においても,遠いクラスターに位置した.以上の結果から,ヒラタケの品種の識別には,RAPD分析が有効であることが示唆された.
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