ヒメマツタケ栽培において,同一菌床上に,従来から報告されている菌傘が褐色の子実体と,白色の子実体が同時に発生する現象が観察された.この白色子実体の発生要因について,光,覆土のpHおよび含水率の栽培環境から検討するとともに,成分分析および薬効評価により両者の差異を比較検討した.栽培環境の検討の結果,白色と褐色子実体において,光環境,覆土の含水率に差異は見られなかったが,覆土のpHには差異が見られた.これは,調整剤として用いられた水酸化カルシウムの混和が不十分であることに起因する覆土pHのバラツキによる高pHが白色子実体の発生要因の一つと推論した.白色および褐色子実体の内部品質の差異を検討した結果,成分については,いくつかの成分で若干の差異が認められたものの,血小板凝集抑制試験,ケモカイン遺伝子発現抑制試験,抗変異原性試験,およびレプリカ法による肌荒れ改善試験の結果,薬効での差異は認められなかった.
抄録全体を表示