独特の杏仁様の香りを持っチリ産食用きのこG.gargalの子実体および菌糸体の香気成分をGCおよびGC-MSで分析した結果,いずれもベンズアルデヒドが主成分として確認された.G. gargalを液体培養するための培養条件を検討したところ,ペプトン・グルコース・酵母エキス(PGY)液体培地を用い,初発pHを4.5に調整し,20℃で培養したときに,良好な菌糸体成長が得られた.この培養条件下でG. gargalの菌糸体成長とベンズアルデヒドの生成量との関係を検討した結果,ベンズアルデヒドは菌糸体成長が定常期に入った後急激に増加し,その後もほぼ一定に維持された.G. garg,alを新規の香りの良い食用きのことして生産するだけでなく,近年香料として需要が非常に高くかっ高価な天然ベンズアルデヒドの工業的生産に用いることも可能と考えられた.
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