Mycena lux-coeliの生物発光の化学的機構は不明であった.本研究では,
M. lux-coeliの発光システムを特定したので報告する.化合物trans-3-hydroxyhispidin (1)は,生物発光している生のカサのヒダの発光を誘起し,その誘起させられた発光の発光スペクトルは,自然の生物発光の発光スペクトルと一致した.化合物1に対する光生成酵素をカサのヒダから非水溶性の状態で部分精製した.化合物1により誘起させられた発光と自然の生物発光は,化合物1のm-位水酸基が欠損した類縁体2の添加によっては,ともに影響をうけなかった.一方,化合物1のm,p-位水酸基が欠損した類縁体3は,どちらの発光も強く阻害した.上記のように,化合物1による発光と自然の発光の上記の性質は一致し,生物発光は,化合物1と非水溶性の状態で存在している光生成酵素の反応によると結論づけた.
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