日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
24 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 高畠 幸司, 中田 裕治, 吉田 誠
    2016 年24 巻2 号 p. 71-76
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/09/22
    ジャーナル オープンアクセス
    ヒラタケ菌床栽培における新鮮な(無処理)竹材オガコの利用性ならびに竹材オガコの堆積処理の効果を検討した.栽培日数に対して,無処理および堆積処理竹材オガコは,共に菌糸体蔓延日数と子実体形成に要する日数が相補性を示し,対照区(広葉樹オガ粉培地)と同程度あるいは1-2 日間程度の差異となり,著しく影響を及ぼすことはなかった.子実体収量に関して,無処理竹材オガコは50% 代替区で対照区より約7% 収量が有意に多くなり,25,75,100% 代替区では対照区と同程度となった.これらのことから,無処理竹材オガコはヒラタケ菌床栽培に利用可能と考えられる.竹材オガコを1 カ月間以上堆積処理すると子実体収量は増加した.1-6 カ月間堆積処理では4 カ月間堆積処理で最も収量が多くなり,100% 代替区で対照区の1.3 倍となった.堆積処理により竹材オガコ中のアルコール・ベンゼン抽出物量がやや減少し,可溶性糖量は著しく減少したことから,ヒラタケ菌床栽培への竹材オガコの堆積処理効果は,これらの成分以外の要因が関与していると推察される.
  • 朱 刚, 万 佳宁, 林 未来, 霜村 典宏, 山口 武視, 会見 忠則
    2016 年24 巻2 号 p. 77-84
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/09/22
    ジャーナル オープンアクセス
    腐生性きのこであるナメコPholiota microspora のグルコアミラーゼ1 遺伝子(PnGlu1)は,以前,同定されその性質が調べられた.本研究では,2 つ目の全長1719 bp で,573アミノ酸をコードしたグルコアミラーゼ遺伝子(PnGlu2)をナメコゲノム中から同定した.PnGlu1PnGlu2 は,70% のアミノ酸の同一性を示した.転写解析を行ったところ,異なる炭素源を加えた最少培地中でのPnGlu1 and PnGlu2 の発現は,鋸屑培地中での発現量よりとても少なかった.鋸屑培地中では,PnGlu1 の転写レベルは菌糸体で高く,PnGlu2 の転写量は子実体原基や子実体で高かった.これらのデータは,2 つのグルコアミラーゼ遺伝子PnGlu1及び PnGlu2 は,菌糸体増殖と子実体発生の様にそれぞれの発達段階において発現する様,異なった制御をされているものと推察された.
  • -きのこ栽培用原木中の放射性セシウム測定のための非破壊検査装置に係る条件の検討-
    福井 陸夫, 石川 洋一, 吉野 将生, 大橋 洋二, 薄 善行
    2016 年24 巻2 号 p. 85-93
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/09/22
    ジャーナル オープンアクセス
    検体原木数の増加による信頼性向上と効率性を目的として非破壊検査装置による測定方法を検討した.非破壊検査装置は高感度シンチレーター結晶(Ce:Gd3(Al,Ga)5O12(Ce:GAGG)) と半導体受光素子を組み合わせた検出器で構成されている.非破壊検査装置で測定した原木中の放射線(CPS)はBq/kg に換算した.伐採適期(9 月下旬から10 月下旬)の原木含水率は40 から43% の範囲であった.原木密度は1.0-1.1 の範囲にあった.被検体重量と機器換算係数の回帰直線の傾斜は原木や標準体積線源の含水率により異なることが明らかとなった.そこで,標準体積線源については生木原木を直幹円筒状に加工したものに,一定量の放射性Cs を染み込ませた紙を巻き付けた後,PE フィルムで覆い,さらに,その表面を繊維強化プラスチック(FRP)で加工したものに改良したところ,良好なデータの近似性が確認できた.
  • -栃木県内3 か所の原木林原木の非破壊検査装置による放射性セシウム濃度の測定-
    福井 陸夫, 石川 洋一, 吉野 将生, 大橋 洋二, 薄 善行
    2016 年24 巻2 号 p. 94-104
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/09/22
    ジャーナル オープンアクセス
    放射性Cs の沈着量の異なる栃木県内3 か所のシイタケコナラ原木について,非破壊検査装置を使用し,放射性Cs(Cs-134+Cs-137)濃度の調査をおこなったところ,さくら市では,林野庁が示す指標値(原木水分12% のとき,50 Bq/kg 以下)を上回る原木が大半であり,シイタケ原木としては使用できないことが明らかとなった.一方,市貝町では,指標値を超える原木はなかった.さらに,宇都宮市では指標値以上の原木は9.4% あった.宇都宮市の原木について表面洗浄を実施し,非破壊検査装置で再測定をおこなったところ,全体として20 Bq/kg 低減される洗浄効果が認められた. 今回の試験結果に基づき,信頼できる抜取数の計算を「最小サンプル数をt 分布から計算する方法(小標本理論による方法)」に基づきおこなった.この結果,信頼水準を95%としたとき,さくら市では202 本,宇都宮市では188 本の抜取が必要であることが示された.
feedback
Top