日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
30 巻, 2 号
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  • 一柳 剛, 山本 悠輝, 平岡 吏佳子, 山入端 遥, 谷口 真紀, 早乙女 梢, 谷口 慈将, 石原 亨, 會見 忠則
    2022 年 30 巻 2 号 p. 68-73
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,ホウロクタケの菌糸体,培養濾液,子実体に<i>Helicobacter pylori</i>,<i>Campylobacter jejuni</i> に対する抗菌活性物質が存在することを見いだし,菌糸体培養濾液の酢酸エチル抽出物より4 種類の活性物質の単離精製に成功した.これらの化合物を質量分析およびNMR 分析に供した結果,酢酸(R)-(6-ヒドロキシ-2-メチル-2H-クロメン-2-イル)メチル,2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-オール,(R)-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-2H-クロメン-6-オール(daedalin A),2,3-ジメトキシヒドロキノンを同定した.このうち,酢酸(R)-(6-ヒドロキシ-2-メチル-2H-クロメン-2-イル)メチルは新規化合物であり,2,3-ジメトキシヒドロキノンは菌類から初めて見いだされた.これら化合物を含む可食きのこおよび加工品は<i>H. pyroli, C. jejuni</i> 菌に対する感染予防食品としての利用が期待される.
  • NAPITUPULU Toga Pangihotan, 會見 忠則, 霜村 典宏
    2022 年 30 巻 2 号 p. 74-84
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    ショウロ子実体由来細菌<i>Paraburkholderia fungorum</i>GIB024 はショウロ菌糸体生育を促進することが知られている.本研究では本促進作用に及ぼす炭素源の影響を調査するために,はじめに2 区画寒天培地検定法を開発した.第1区画はグルコースを除く1 / 5 濃度MMN 寒天培地とし,ここでショウロ菌糸体を培養した.第2 区画は様々な炭素源を含む寒天培地でありここでGIB024 細菌を培養した.これらの寒天培地を同一容器内で接合させ,ショウロ菌糸体生育に及ぼすGIB024 細菌の効果について調査した.その結果,ショウロの菌糸体生育はGIB024 細菌を有機酸含有培地で培養すると顕著に促進された. GIB024 細菌は有機酸含有培地で旺盛に増殖し,細菌培養培地のpHは上昇した.さらには,殺菌した細菌懸濁液でもショウロ菌糸生育を促進した.以上のことから,GIB024 細菌とショウロ菌糸体間の相互作用に有機酸が重要な役割を演じていると思われた.
  • 小関 喬平, 小松 豪太, 尾崎 佑磨, 美藤 友博, 吉田 晋一, 薮田 行哲, 霜村 典宏, 渡邉 文雄
    2022 年 30 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 2022/07/31
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    カンゾウタケを含む食用キノコに多量のアスコルビン酸(ビタミンC)が含まれていることが報告されている.日本食品標準成分表で採用されているビタミンC 定量法を用いて栽培されたカンゾウタケ子実体に含まれるアスコルビン酸を測定したところ,多量(約44.7 mg/100 g 新鮮重量または406 mg/100 g 乾燥重量)のアスコルビン酸が検出された.しかし,ガスクロマトグラフィー-質量分析では,カンゾウタケの子実体にアスコルビン酸が検出されず,真菌類のアスコルビン酸類縁体であるヒトで生理的に不活性な6-デオキシアスコルビン酸とエリスロアスコルビン酸の両方が検出された.
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