本研究では,ホウロクタケの菌糸体,培養濾液,子実体に<i>Helicobacter pylori</i>,<i>Campylobacter jejuni</i> に対する抗菌活性物質が存在することを見いだし,菌糸体培養濾液の酢酸エチル抽出物より4 種類の活性物質の単離精製に成功した.これらの化合物を質量分析およびNMR 分析に供した結果,酢酸(R)-(6-ヒドロキシ-2-メチル-2H-クロメン-2-イル)メチル,2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-オール,(R)-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチル-2H-クロメン-6-オール(daedalin A),2,3-ジメトキシヒドロキノンを同定した.このうち,酢酸(R)-(6-ヒドロキシ-2-メチル-2H-クロメン-2-イル)メチルは新規化合物であり,2,3-ジメトキシヒドロキノンは菌類から初めて見いだされた.これら化合物を含む可食きのこおよび加工品は<i>H. pyroli, C. jejuni</i> 菌に対する感染予防食品としての利用が期待される.
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