マツタケの人工栽培おいて短期間で菌糸体を蔓延させるための培地条件の構築が必要不可欠であるが,有利な菌床培養法が確立されておらず,今日までに子実体発生のために必要な菌床の作成に至っていない.本研究では,押麦とバーミキュライトを用いた固体培養系における最適なマツタケ菌糸体培養法を検討した.また,菌糸体細胞壁中のキチン分解産物であるN-アセチルグルコサミン (GlcNAc) 指標とした固体培地中のマツタケ菌糸体バイオマス量の測定法を確立し,培地中の菌糸体バイオマス量を評価した.マツタケ乾燥菌糸体の分解における酵素反応条件としては1% Yatalaseと0.5 % Cellulase “ONOZUKA” RS 溶液が最適であった.続いて,マツタケZ-1, NBRC 30605, No. 115株を供試し,押麦:バーミキュライト=2:1 (w/w) の培養条件において良好な生育を示した.培養35日目において,それぞれ215.1, 254.0, 266.7 mg biomass/flaskに達した.また,押麦:バーミキュライト=2:1 (w/w) が最適な培地条件であることが目視およびGlcNAc定量値においても証明された.
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