日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
28 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 大﨑 久美子, 陶山 彩郁, 牛島 秀爾, 石原 亨, 前川 二太郎
    2020 年28 巻2 号 p. 48-55
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/02/11
    ジャーナル オープンアクセス
    イソベレラールはRussula属およびLactarius属の数種が生産する様々な生理活性を持つ揮発性物質である.しかし,両属の分類群におけるイソベレラールの生産性と系統関係との関連性については不明である.本研究において多くの両属種の子実体におけるイソベレラール含有量をUPLC-MS/MSにより分析した.その結果,イソベレラール生産能を有するRussula属32種およびLactarius属2種を新たに見出すとともに,Russula属内シロハツ節およびクサハツ節に分類されるきのこ種がイソベレラール高生産性を有することを明らかにした.また,イソベレラールはTrichoderma属やGliocladium属種の胞子発芽を顕著に阻害した。このことから,イソベレラールは子実体内への菌寄生性菌類の侵入に対する防御因子としても作用している可能性が示唆された.
  • 森 智夫, 岩田 実子, 木村 浩之, 河岸 和洋, 平井 浩文
    2020 年28 巻2 号 p. 56-61
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/02/11
    ジャーナル オープンアクセス
    幾つかの木材腐朽菌によって前処理した木粉を基質とした際の,C. thermocellum及びM. thermautotrophicus共培養系によるメタン発酵量を調査した.メタン発酵に対する白色腐朽菌による前処理効果は,同一処理期間の場合は処理残渣木粉中に含まれるリグニン量と逆相関の関係を示し,リグニン分解力・分解選択性に優れた白色腐朽菌がメタン発酵前処理には適していることが示されたが,褐色腐朽菌の前処理では異なる機構でメタン産生を促進している事が示唆された.また,高活性・高選択リグニン分解白色腐朽菌P. sordida YK-624 株では,ブナ・スギ木粉ともに前処理期間4週間がメタン産生に最適であり,さらに木粉に5%ふすまを添加した際に木粉腐朽力が大きく向上すると共に,その腐朽木粉はふすま未添加の場合と比較してメタン産生性が大きく向上することが示された.
  • 陳 富嘉, 陳 富杰, 尾崎 佑磨, 霜村 典宏, 山口 武視, 會見 忠則
    2020 年28 巻2 号 p. 62-67
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/02/11
    ジャーナル オープンアクセス
    ササクレヒトヨタケは中国南部や韓国で大量に栽培されているものの,基礎的な研究があまり進められていない.本研究では,本きのこ種の簡便な担子胞子分離法の開発を目的として,担子胞子の発芽を誘導するためのpH条件及び培地組成を検討した.ササクレヒトヨタケの栽培子実体より無色の発芽孔を欠く若い胞子と黒色の発芽孔を有する成熟した胞子を採取し,pH 3.0ないし9.0に調整した各培地に接種したところ,胞子発芽は若い胞子に限ってみられた.また,胞子発芽の至適pHは6.0であった.菌糸生長量においても同様に,至適pHは 6.0であったことから,担子胞子分離に有効な培地のpHは 6.0 であると結論づけられた.一方,ササクレヒトヨタケの若い胞子は牛糞培地において発芽し,菌糸体コロニーを形成したが,PDA培地とMA培地では発芽しなかった.また,牛糞培地に最終濃度50 ppmのn-酪酸を添加することで,ササクレヒトヨタケの若い胞子の発芽や菌糸体コロニーの形成が促進された.本きのこ種の担子胞子分離には若い胞子を用いること,pH 6.0 に調整し,n-酪酸を添加した牛糞培地を用いることが有効であると結論づけられた.
  • 飯田 亮平, 谷口 彰吾, 吉松 采佐, 柳井 美由紀, 平田 眞之, KARIM Mohammad Minnatul, 阿座上 弘行
    2020 年28 巻2 号 p. 68-75
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/02/11
    ジャーナル オープンアクセス
    歯周病原性細菌Eikenella corrodensのバイオフィルム形成に対するシイタケメタノール抽出物の抑制効果を調べた.抽出物はE. corrodensのバイオフィルム形成を阻害した.特に新鮮な生シイタケの傘部分からの抽出物は強く阻害した.バイオフィルム阻害効果は用量依存的で,殺菌活性によるものではなかった.またΔluxS株に対しても用量依存的な阻害効果を示したが,野生株の効果ほどではなかった.抽出物はE. corrodens培養上清中のAI-2の生産を大幅に減少させた.以上より,シイタケメタノール抽出物によるAI-2生産の減少がE. corrodensによるバイオフィルム形成を阻害することを示唆した.
  • 北島 博, 佐藤 大樹
    2020 年28 巻2 号 p. 76-79
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/02/11
    ジャーナル オープンアクセス
    リュウコツナガマドキノコバエ成虫に対するボーベリア・バッシアーナの防除効果を実験室内で調べた.まず,ボーベリア・バッシアーナが成虫の生存率に与える影響を,実験室で継代飼育中に死亡したリュウコツナガマドキノコバエ成虫から分離したF3231,マツノマダラカミキリ幼虫死体から分離したF263を用いて調べた.その結果,F3231およびF263ともに,処理後4日および5日後のリュウコツナガマドキノコバエ成虫の生存率を有意に低下させる効果が見られた.次に,F263を製剤化したバイオリサ®・マダラをリュウコツナガマドキノコバエ成虫に処理した.その結果,バイオリサ®・マダラは成虫の生存日数を有意に短縮させ,産卵数を減少させたが,産下卵の孵化率には影響を与えなかった.これらのことから,F3231,F263,およびバイオリサ®・マダラには,リュウコツナガマドキノコバエ成虫の産卵数を減少させて次世代数を抑制する効果があると考えられた.
  • 成松 眞樹, 坂本 裕一
    2020 年28 巻2 号 p. 80-83
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/02/11
    ジャーナル オープンアクセス
    マツタケの子実体発生は森林内に限定され,環境的条件の影響を受けるため,生産量は不安定である.生産の安定化には,子実体発生に及ぼす環境的条件の影響を理解することが重要である.そこで,環境的条件がマツタケの子実体発生に及ぼす効果を明らかにするために,子実体形成時の地温を推定した.2001年から2004年の4年間に,寒冷地域に属する岩手県内陸部のアカマツ林の調査地で,近接する5個のコロニーを対象として,合計98本の子実体の成長と地下5 cmの温度を測定し,子実体の成長をロジスティック式で近似した.その結果,調査地におけるマツタケの子実体形成時の地温は約15℃と推定された.この推定値は温暖地域で得られた値よりも低く,かつ,調査地内でもジェネットにより異なったことから,マツタケが寒冷な気候に遺伝的に適応したことが示唆される.
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