日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
18 巻, 2 号
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  • 寺嶋 芳江, 渡辺 智子, 鈴木 亜夕帆, 白坂 憲章, 寺下 隆夫
    原稿種別: 本文
    2010 年 18 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    トレハロース15gあるいは30gを3回の子実体発生予定日の7日前あるいは3日前にシイタケ栽培培地へ注入し,子実体の発生量,傘径の大きさ,鮮度保持,およびトレハロース含有量と回収率について培地作製時に30gを混合する方法(対照)と比較した.対照に比べ,3日前での15g,30g注入処理による子実体総発生量は多くなり,Mサイズ以上の子実体個数割合も大きくなった.1回目発生における子実体採取後7日目での鮮度保持評価では,傘裏の明度L^*に基づく評価でも,また,ヒトの目による商品性の評価でも,いずれの注入処理の場合にも鮮度は保たれた.これらから,15gあるいは30gのトレハロースを3日前に培地へ注入する方法により,培地作製時に混合する方法よりも子実体の発生量,Mサイズ以上の子実体個数割合,1回目発生における鮮度保持へのプラスの効果が認められた.15gあるいは30gのトレハロースを3日前に培地へ注入した場合の子実体内トレハロース含有量は,いずれの発生回でも対照よりも多かったが,回収率は15gの場合に高かった.
  • 熊倉 慧, 吉本 博明, 福山 慎一, 平野 徳彦, 江口 文陽
    原稿種別: 本文
    2010 年 18 巻 2 号 p. 63-66
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    現在のきのこ生産用加湿装置は,湿度管理に効果を発揮するものの生産現場からは更なるメンテナンスの簡素化や噴霧量の増加などの要望が多く寄せられている.そこで本研究では,水道管直結型きのこ栽培用新規超微細霧発生装置(e-mush)を研究開発し,各種きのこ類の生産現場レベルでの性能評価試験を実施した.その結果,霧粒径は2-10μmの超微粒子であり,栽培施設内をぬらさずに加湿し,優れた温度,湿度条件の維持能力が実証された.菌床栽培におけるきのこ収量を従来品設置区と比較した結果,エリンギ,ヒラタケ,エノキタケにおいて収量の増加傾向および子実体形質の向上が確認された.また,堆肥栽培のヒメマツタケにおいても従来品設置区と比較し,収量および子実体発生本数の増加が確認された.
  • 武井 利之, 関澤 春仁, 山下 慎司, 渡部 正明
    原稿種別: 本文
    2010 年 18 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    ナメコは日本国内で一般的な食用きのこであるが,その食品機能性に関する報告例は少ない.本報告では,ナメコの食品機能性を明らかにする目的で,空調栽培して収穫した子実体のラジカル消去能を測定した.ナメコ3品種(福島N1号,福島N2号,KX008号)を,米ヌカ,フスマ,及び双方を添加した3種類の培地で空調栽培し,発生した子実体をつぼみ及びひらき段階で収穫した.収穫は2回行い,得られた子実体から80%エタノール抽出液を調製し,それらのDPPHラジカル消去能を測定した.その結果,いずれの品種及び培地においても,つぼみ子実体よりひらき子実体が高いDPPHラジカル消去能を示した.また,福島N1号のDPPHラジカル消去能は福島N2号及びKX008号に比べて高く,特に米ヌカを栄養材としたとき最も高かった.これらの結果から,ナメコ子実体のDPPHラジカル消去能は収穫時期,品種,培地組成によって差が生じることが示唆された.
  • 本間 裕人, 徳田 宏晴, 石井 彩, 須田 亙, 平野 繁, 中西 載慶
    原稿種別: 本文
    2010 年 18 巻 2 号 p. 73-76
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    発生量の多い作物残渣であるイネ科作物のワラおよび籾殻が,担子菌の培地として利用可能であるかを明らかにするため,ライムギ・六条オオムギ・二条オオムギ・コムギ・イネ・イネ(籾殻)の6種類の草本培地に,81種97株の食用および薬用きのこ類を接種して菌糸伸長速度を調べた.その結果,菌の生育に最も適していたのはライムギ培地であり,試験した97株中14株で菌糸伸長速度が5.0mm/d以上となった.ついで六条オオムギにおいて各菌の生育が良好であった.また,ヒラタケ(Pleurotus ostreatus),ウスヒラタケ(P.pulmonarius),トキイロヒラタケ(P.salmoneo-stramineus),タモギタケ(P.cornucopiae var.citrinopileatus)などのヒラタケ科の菌,およびアミガサタケ(Morchella esculenta)の生育が6種類の草本培地全てで速かった.
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