タンパク質は自由エネルギー地形上に存在する準安定状態の間を遷移することにより機能を発揮する. そのため, タンパク質機能を解明するうえで, 準安定状態間の遷移経路探索は重要である. 分子動力学計算(MD) は, 遷移経路を探索する強力なツールであるが, 通常のMD によりタンパク質がとりえる遷移経路を過不足なく探索することは難しい. 打開策として, 現在に至るまで様々なEnhanced-Sampling 法 (ES 法) が提案されてきた. 本稿では, 筆者らが開発したES 法である ”Parallel Cascade Selection MD (PaCS-MD)” に基づく効率的な遷移経路探索と遷移経路を記述する反応座標指定の重要性について紹介する.
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