アンサンブル
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学術賞受賞寄稿
特集「反応経路探索」
連載
最近の研究から
  • 山口 毅
    2023 年 25 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 2023/01/31
    公開日: 2024/01/31
    ジャーナル フリー

    高級アルコール等の動的に揺らぐ中距離構造を有する液体中に溶けた溶質分子の並進拡散運動を,溶質サイズを変えて検討した.小さい溶質は流体力学モデルより一桁程度大きい拡散係数を示したが,溶質の重心位置を固定して力の相関関数から拡散係数を評価すると流体力学的挙動の回復が見られた.溶質に働くランダム力と溶媒和構造の揺らぎの相互相関の解析から,小さい溶質での流体力学モデルの破れは,溶質自身の運動によって溶質拡散と溶媒の中距離構造のダイナミクスとの間のカップリングが解けることに起因していることが分かった.

  • 吉元 健治, 北畑 雅弘
    2023 年 25 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 2023/01/31
    公開日: 2024/01/31
    ジャーナル フリー

    ポリマーの粘弾性は成形加工プロセスにおいて非常に重要な物性であるが,実験データの集積は特定のポリマー種や測定条件に限られている.そこで,計算による物性データの補完を目標に,ポリマーメルトの粘弾性を定量的に予測するためのマルチスケールシミュレーション技術を新たに構築し,ポリスチレンと Nylon6 を試行対象として粘弾性の予測精度を検証した.まず,ポリマーメルトに対する全原子MD シミュレ ーションを実施して,その結果を基に粗視化モデルと力場を構築した.次に, 粗視化モデルの動的シミュレーション結果から, さらに粗視化を進めたSlip-Spring モデルのパラメータを決定した.最終的には,全原子,粗視化,Slip-Spring 3 つのモデルの動的シミュレーションから算出した応力緩和曲線を繋ぎ合わせてマスターカーブを作成した.これを基に,時間・温度換算則を用いて,高温での計算結果から実用的な温度での溶融粘度及び貯蔵・損失弾性率を求めた結果,実験データと良好に一致した.

博士論文紹介
  • 小泉 愛
    2023 年 25 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 2023/01/31
    公開日: 2024/01/31
    ジャーナル フリー

    私は,混ざり合わない水油界面で起こるイオンの相間移動で引き起こされる相間移動触媒(PTC)反応[1] の反応機構解明を目指し分子動力学シミュレーション(MD)プログラムの開発,および解析を行ってきた. まず,PTC 反応におけるイオン輸送を促進する現象(FIT)に関して,極微量の疎水性対イオンが親水性イオンの界面移動を劇的に促進する実験事実に注目し,MD を用いた解析から微視的な輸送機構を明らかにした.その成果を発展させて,“水相から油相へのイオン輸送現象”と“輸送後のイオンの油相での化学反応”を分離して扱い,MD と量子化学計算によってPTC 反応の反応機構を微視的に解明した.

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