アンサンブル
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16 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
最近の研究から
  • 森次 圭
    2014 年 16 巻 4 号 p. 227-233
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
    近年,計算機資源の増大とともに,小さなペプチドだけでなく中規模程度の大きさのタンパク質に対しても拡張サンプリング法による全原子構造探索が試みられている.本稿では,マルチスケールシミュレーションにより多自由度系の構造探索を効率的に行う手法(Multi-Scale Enhanced Sampling: MSES)を紹介する.全原子モデルと粗視化モデルがカップルした連成系についてのハミルトニアンレプリカ交換により全原子系のサイズによらず拡張サンプリングが実現可能になることを示したのち,シニョリンフォールディングに対するテスト計算,及び,天然変性タンパク質やタンパク質複合体への適用例を述べる.
博士論文紹介
  • 今村 貴子
    2014 年 16 巻 4 号 p. 234-241
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
    水酸化ナトリウム(NaOH) 水溶液の表面構造を明らかにするため, 分子動力学シミュレーションを行い, それに基づいて和周波発生スぺクトルを計算し, 実験値をよく再現する結果を得た. スペクトルの形状変化を分子構造へ帰属したが, 主要な分子構造が二つ見いだされた. 一つ目は, アニオンとカチオンが形成する電気二重層で, 層付近の水分子を配向させるものとして今までも注目されてきたものである. 二つ目は, イオンに直接隣り合う第一溶媒和圏に位置する水である. 表面構造への第一溶媒和圏の寄与に注目したことは新しく, NaOH のみならず他の電解質を含む水溶液にも見られる普遍的な構造であることも見出した.
  • 坂牧 隆司
    2014 年 16 巻 4 号 p. 242-246
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
    広くベンチマークされ,工学的にも関心を集めている水・メタン系を取り上げて,DC シミュレーションと呼ばれる相平衡物性の算出手段について検証した.DC シミュレーションは,異なる相を直接接触させ界面系をシミュレートする方法である.特に,固液平衡系に関しては,手法そのものの見直しを行った.その結果,熱力学的積分法・ギブスアンサンブルなどの方法で得られた結果を再現し,場合によってはより高精度であることが分かった.また,表面張力や吸着量といった従来手法では算出が困難な物理量を算出し,モデル依存性や実験で用いられてきた近似理論の妥当性などを検証した.
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