アンサンブル
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15 巻, 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
会長挨拶
学術賞受賞寄稿
特集「水と生体分子」
  • 米谷 佳晃, 城地 保昌
    2013 年15 巻1 号 p. 6
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
  • 中迫 雅由, 苙口 友隆, 高山 裕貴, 中島 真, 夕花 松井
    2013 年15 巻1 号 p. 7-18
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    生命現象の素過程を担う蛋白質には,その周囲や内部での水分子の存在が立体構造の形成や生物学的機能発現に不可欠であるとされている.物理化学的視点から,ナノメートルスケールでの蛋白質-水界面構造,所謂,水和構造を探る研究が行われてきた.これまでに,低温X線結晶構造解析等をはじめとする実験的研究によって,蛋白質水和構造の静的特徴付けなど,実証科学として蛋白質水和の構造基盤に関する理解が進んだ.さらに近年は,蛋白質の内部運動と水和構造変化がどのように協奏・連動しているかという問題にアプローチする実験研究が始まっている.本稿では,蛋白質内部や表面上での水和水分子の位置を,実験事実として具体的に提供できるX線結晶構造解析や分子動力学-X線小角散乱併用法による蛋白質水和構造研究などを振り返りながら,今後の蛋白質水和の実験的研究に関する展望を纏めた.
  • 松岳 大輔, 中迫 雅由
    2013 年15 巻1 号 p. 19-27
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    Protein Data Bank (PDB)に登録されている17,984個の低温下高分解能X線結晶構造について,極性原子周辺の水和水分子分布を調べた.統計学的に十分な数の水和水分子について得られた経験的水和水分子分布は,N-H基,O-H基,C=O基周辺でそれぞれ異なる特徴を示した.また,蛋白質表面での水和水分子自体の水素結合形態についても同様に経験的分布関数を得,正四面体型水素結合形態が蛋白質表面でも保持されていることを確認した.さらに,得られた経験的水和水分子分布関数を用いて,蛋白質親水性表面での水和水分子分布予測を試みた.考案したアルゴリズムを用いて蛋白質複合体界面や膜蛋白質チャネル内部の水和構造を予測した結果,蛋白質相互作用における水和水分子結合位置,蛋白質の構造変化に伴う水和構造変化等に対して実験結果とほぼ一致する予測が可能であった.この様な予測方法は,蛋白質の機能と水和構造との関係を簡単に考察する上で極めて有効なものであると考えられた.
  • 梅澤 公二, 肥後 順一
    2013 年15 巻1 号 p. 28-32
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    水分子の集団的な動き(並進運動と配向変化)に着目して分子動力学計算による解析を行ってきた.複数の水分子はまとまって並進したり,配向が空間的に連なったりする.蛋白質表面付近において集団的な水分子の動きを解析すると,集団的な水分子の動きが起こりやすい場所とそうでない場所が存在した.基質結合部位では配向がそろい,その周辺では集団的な並進運動が起こりやすくなっていた.蛋白質が付近の水分子に働きかけて基質結合を円滑に制御している可能性が示唆される.
  • 久保田 陽二, 秋山 良
    2013 年15 巻1 号 p. 33-41
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    溶液内電子移動反応は溶媒分子の作り出す静電ポテンシャルゆらぎによって駆動される.生体内においても媒質,即ち蛋白質等の生体分子と水溶液が作り出す静電ポテンシャルゆらぎが電子移動を駆動している.これらのゆらぎを見積もる為に,しばしば連続誘電体モデルが採用される.例えば,媒質については電場に対する線形応答が仮定され,バルクの誘電率を用いた計算が行われる.しかし,電子移動反応を考える場合にこれらの前提はそれほど自明な事ではない.その妥当性について水溶液系で分子シミュレーションを用いて再検討した.
  • 吉田 紀生
    2013 年15 巻1 号 p. 42-48
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    生体分子は水に囲まれてその構造を維持し,機能を発揮している.したがって,生体分子を理論・計算で扱う際には適切な溶媒の記述が不可欠である.生体分子の溶媒和を記述する場合,水分子をあらわに扱いシミュレーションに含める方法や,連続体モデルで近似するなどの手法が採られることが多いが,これらとは異なったアプローチに積分方程式理論がある.本稿では液体の積分方程式理論のひとつである3D-RISM理論により,生体分子の溶媒和を扱った一連の研究について,理論の概要とその応用例,とくに分子認識に関する研究を紹介する.
連載
  • (17) 凝縮系の第一原理計算の方法論について
    高橋 英明
    2013 年15 巻1 号 p. 49-52
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    前号で述べた通り、QM/MM法とエネルギー表示の理論を組み合わせた方法(QM/MM-ER法)によって、QM溶質の溶媒和自由エネルギーを計算する場合、溶媒和自由エネルギーを2体的な相互作用による寄与Δ μ と溶質の電子分極による多体的な寄与δ μとに分割する必要があった。本号では、前号で紹介した、多体の寄与δμをエネルギー表示の方法で計算するための式を導出する。具体的には、ある歪みエネルギーEdist= Φ を持つ溶質の溶媒和自由エネルギーδ ν (Φ )をエネルギー分布関数で記述するための式を導く。さらに進んで、新規なエネルギー座標を導入することによって、極めて単純でありながら数値的に厳密な、δ μ に対する自由エネルギー汎関数を導出する。また、新規な方法について、双極性のグリシンをQMの溶質として実際の数値計算上の信頼性や精度を検証する。
  • IV
    志賀 基之
    2013 年15 巻1 号 p. 53-56
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
    近年の大型並列計算機の発展とともに分子シミュレーションと電子状態計算を統合した第一原理シミュレーションが普及し,国際標準になりつつある.これを用いて,従来では扱えなかった複雑な化学反応動力学や,光吸収や電磁場応答のような電子状態由来の物性などを対象に,さまざまな応用研究が広まっている.本稿では,電子状態理論の基礎をなすHartree-Fock 法について,分子シミュレーションとの接点を少し意識しながら再考したい.
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