最初に全原子分子動力学(MD)法の特徴,および,高分子に適用する場合の留意点について解説した後に,全原子 MD 法の強みを活かした高分子シミュレーションの例として,機能性分離膜の性能予測を取り上げる.三次元周期境界条件下においてバルク高分子のシミュレーションを行い,高分子中の低分子の拡散係数を計算する.また,自由エネルギー計算法により低分子の溶解度を算出する.溶解-拡散モデルに基づいて,溶解度と拡散係数から透過係数を計算することにより,分離係数の予測が可能となる.最後に,具体例として,高分子結晶を利用した高性能 CO2 分離膜のシミュレーションを紹介する.
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