アンサンブル
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18 巻, 3 号
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特集
最近の研究から
  • 原田 隆平
    2016 年18 巻3 号 p. 159-167
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2017/07/31
    ジャーナル フリー

    タンパク質の機能発現に関係する構造遷移は, 長時間の確率過程において観測される「レアイベント」であり, それらを分子動力学シミュレーションにより再現することは, 生体機能を解析する上で重要である. しかしながら, 機能発現の時間スケールと分子動力学シミュレーションが到達可能な時間スケールとの間にはギャップが存在するため, レアイベントを再現することは困難である. 本稿では, レアイベントを再現するため, 著者らが開発した遷移経路探索法である「カスケード型超並列シミュレーション」について解説する. 本手法は, 初期構造の異なる短時間分子動力学シミュレーションを超並列に実行することで, 効率的な遷移経路探索を実現する. 本手法の解説に加えて, タンパク質フォールディングやタンパク質大規模構造変化に本手法を適用したアプリケーションの計算結果についても概説する.

博士論文紹介
  • 尾澤 岬
    2016 年18 巻3 号 p. 168-172
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2017/07/31
    ジャーナル フリー

    ガラス転移とは,「原子・分子やコロイドなどの構成粒子がアモルファス状(ランダム)に凍結する現象」である.窓ガラスや光ファイバー等で知られるシリカガラスに限らず,ペットボトルなどに使用されている高分子ガラスや,インクなどの塗料を乾燥させた際に生じるコロイドガラスなど,ガラスは身の回りに溢れている.また,金属ガラスは次世代の材料として大変注目されている.しかしながら一方で,ガラス転移の基礎的な理解はあまり進んでいない.とりわけ,「ガラスは液体か固体か?」という単純でかつ根源的な質問に明確に答えることができていない.なぜならば,ガラスと液体を隔てる熱力学的な相転移,いわゆる理想ガラス転移の存在の有無が明らかになっていないからである.本研究では,ランダムピンニング法と大規模な数値シミュレーションを駆使して,アモルファスな状態のまま配置エントロピーがゼロとなる理想ガラス転移を世界で初めて観測した.

  • 高橋 浩司
    2016 年18 巻3 号 p. 173-177
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2017/07/31
    ジャーナル フリー

    半導体製造での誘導自己組織化(directed self-assembly; DSA)リソグラフィ法における相の形成に関して, 新素材となる高分子のモデルを提案する為に, 散逸粒子動力学(dissipative particle dynamics; DPD)法による閉じ込め系において, ジブロック共重合体の相分離に関する研究を行った. 実在するジブロック共重合体を用いた, DSA リソグラフィの実験をモデルとしたDPD シミュレーションを行い, 定量的に相分離を再現するための研究を行った. 本研究ではU 字溝型の系においてシミュレーションの粗さと結合強度係数による相の数の依存性を調べ, 見積もったパラメータが円筒型の系においても実験と同様の結果を得られることを示した.

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