アンサンブル
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22 巻, 4 号
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特集
  • 村島 隆浩
    2020 年 22 巻 4 号 p. 288
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2022/05/01
    ジャーナル フリー
  • 藤本 和士
    2020 年 22 巻 4 号 p. 289-293
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2022/05/01
    ジャーナル フリー

    高分子は構造材の用途として使われることも多いため,破壊に関する研究は古くから行われている重要な テーマの一つである.高分子の教科書を眺めると,10 章付近に破壊や変形に関する記述がある.これまでの 研究よりシャルピー試験をはじめとしたマクロな試験が確立されてきた.マクロ試験を説明するために,現象論モデルや,化学性を考慮しない粗視化モデルによる研究が数を多くなされ,破壊現象の普遍性の解明において成功を収めてきている.しかしながら,「化学」という立場に立つと,普遍性は結局どのような「化学 的特徴」から生じるのか明らかとなっていない.我々は,化学的特徴を反映した全原子分子動力学(AA-MD) 計算を用いてこの問題に取り組んでいる.その中から,本稿では脆性破壊を示すポリメタクリル酸メチル (PMMA)とポリカーボネート(PC)の衝撃破壊シミュレーションについて解説する.

  • 山田 一雄, 松林 伸幸
    2020 年 22 巻 4 号 p. 294-303
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2022/05/01
    ジャーナル フリー

    高分子化学ポテンシャルを全原子モデルで計算するための chain increment 法を開発した.この手法は周囲 の分子と着目した高分子の間の相互作用をモノマー毎に順次導入していくという特色を持ち,「高分子は同じ 構造を持つ repeated monomer の連なりでできている」という構造的特徴に立脚している.chain increment 法で 自由エネルギーを効率よく数値計算するために,溶液理論に基づく自由エネルギー近似計算手法であるエネ ルギー表示(ER)法と全原子分子動力学シミュレーションを組み合わせる.ER 法では,着目したモノマーを “溶質”,それ以外の分子を“溶媒”と見なし,この溶質の溶媒和自由エネルギーを着目したモノマーの incremental free energy として定義する.polyethylene(PE)水溶液,および PE, polypropylene(PP), poly(methyl methacrylate) (PMMA), polyvinylidene difluoride(PVDF)の 4 種の単成分高分子溶融系について chain increment 法を用いて incremental free energy を各モノマーについて計算した.PE 水溶液系については端の部分のモノマ ーを除いた全てのモノマーの incremental free energy が 0.2 kcal/mol の範囲で一致することが分かった.また, 高分子溶融系においても incremental free energy が大多数のモノマーについて一定の値をとる.さらに重合度 100 の高分子について計算した結果,端部分以外のモノマーは 0.2 kcal/mol の範囲で一定の値をとることが分 かった.高分子全体の溶媒和自由エネルギーはモノマーの incremental free energy の総和であり,様々な鎖長 における高分子全体の溶媒和自由エネルギーは重合度にほとんど依存しない.今回の研究より,重合度数十 程度の高分子の全原子モデル自由エネルギー解析計算が可能であることを示すことができた.

  • 八十島 亘宏, 石山 達也, 源明 誠
    2020 年 22 巻 4 号 p. 304-309
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2022/05/01
    ジャーナル フリー

    高分子中の水を融点以下に急冷した後, 再加温すると結晶化することが知られている. この水の結晶化現 象は再結晶化と呼ばれ, 水と高分子の相互作用を理解する上で重要な要素となる. 我々は, 温度可変中赤外 (VT-MIR)分光法と分子動力学(MD)シミュレーションを用いて, 含水高分子中の水の再結晶化のメカニズ ムについて研究を行った. VT-MIR 分光法は再結晶化温度が高分子のガラス転移温度と相関があることを示し, MD シミュレーションはさらに, 高分子に収着した水分子の拡散転移温度がガラス転移温度と相関があるこ とを示した. これらの結果から,再結晶化が水の拡散転移に起因して生じるという分子論的メカニズムを初 めて明らかにした.

  • 馬渕 拓哉
    2020 年 22 巻 4 号 p. 310-313
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2022/05/01
    ジャーナル フリー

    固体高分子形燃料電池の心臓部はプロトン伝導性電解質膜とその両面に接合された触媒層で構成され,各々の性能向上が発電特性に大きく影響する.本稿では,特に電解質膜内部におけるプロトン輸送特性に着目し,反応分子動力学法を用いたプロトン輸送メカニズムの分子論的解析について紹介する.

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