本稿では静電相互作用計算アルゴリズムである高速多重極展開法(fast multipole method, FMM)について解説する.FMMは,原子数Nの系の静電相互作用をNのオーダーの計算量で求めることができる,いわゆるO(N)アルゴリズムである.並列計算におけるMPI通信や計算量の観点から,高並列コンピュータを用いた大規模系のMD計算においてその有効性を発揮する.ここでは,GreengardとRokhlinによって示された球面調和関数でなく,solid harmonicsを基底関数として用い,簡潔な形のFMM表式を示す.
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