生産研究
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61 巻, 4 号
選択された号の論文の41件中1~41を表示しています
特集 持続可能な都市システムの構築をめざして(ICUS)
特集に際して
研究速報
  • —メディアの報道が学生に与える影響について—
    山崎 啓司, 加藤 佳孝
    2009 年 61 巻 4 号 p. 625-628
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     現在は建設業界を志望する学生が減少しており, 建設業界に人材が集まりにくい状況となっている.本研究では, この要因に, 「メディアの報道」があるのではないかと仮説を立て, 新聞紙の内容分析や, 学生へのアンケート調査を実施する事により, その仮説に対する検証を行った.その結果, 「メディアの報道」が影響を与えているという仮説は否定された.[本要旨はPDFには含まれない]
  • —大学教育と建設業界が学生に与える影響について—
    山崎 啓司, 加藤 佳孝
    2009 年 61 巻 4 号 p. 629-632
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     現在は建設業界を志望する学生が減少しており, 建設業界に人材が集まりにくい状況となっている.本研究では, この要因に, 「大学の教育」, 「建設会社の採用活動」があるのではないかと仮説を立て, 学生へのアンケート調査や, 建設会社に対するインタビューを実施する事により, その仮説に対する検証を行い, 改善策を検討した.その結果, 「大学の教育」がその要因であるという仮説は否定され, 「建設会社の採用活動」は改善する余地がある事が確認された.[本要旨はPDFには含まれない]
  • Michael HENRY, Wataru HIRATA, Yoshitaka KATO
    2009 年 61 巻 4 号 p. 633-636
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     本研究では, 異なるリサイクル材料を組み合わせてコンクリートに混入させる事が, コンクリートの力学的性能や環境性能に与える影響を実験的に検討した.力学的性能に環境影響による重みを加えることで, 環境性能評価指標による結果が得られた.多量のポルトランドセメントをフライアッシュに変換する事により, 二酸化炭素排出量が大幅に削減され, 環境性能を向上させる事が確認された.また, 普通骨材を再生骨材に変換する事による二酸化炭素排出量に違いは見られず, 明確な効果を確認する事はできなかった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 平田 渉, ヘンリー マイケル, 加藤 佳孝, 勝木 太
    2009 年 61 巻 4 号 p. 637-640
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     廃棄物の削減, 資源節約, 温暖化防止の観点から, コンクリートの分野でも環境に配慮した生産活動が望まれている.そこで本研究は, リサイクル繊維と電力施設からの産業廃棄物であるフライアッシュを大量に用いたモルタルを, 異なる配合条件で作製し, その強度と耐久性を比較検討した.また, 二酸化炭素排出量を試算し, 配合条件の違いが環境に与える影響についても検討した.また, 二酸化炭素排出量を試算し, 配合条件の違いが環境に与える影響についても検討した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 山崎 孝史, 鈴木 将充, 笠倉 亮太, 小島 文寛, 伊藤 正憲, 加藤 佳孝, 勝木 太
    2009 年 61 巻 4 号 p. 641-644
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     本研究は, 被災構造物の簡易・安全・迅速復旧工法開発のため, 水硬性ポリウレタン樹脂が含浸された連続繊維シートをTST-FiSH (Fiver Sheets containing Hydraulic-resin) と定義し, その接着試験と, 梁試験体を用いた補修効果の確認を行った.接着試験結果より, シートの目付量は300g/m2程度が樹脂と相性がよく, 樹脂の濃度は66%で給水直後に仕上げを施す方法が効果的であった.中被害を想定した補修試験では炭素, アラミド, ビニロンともに耐荷力向上が確認できた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 水上 翔太, 西村 次男, 加藤 佳孝, 勝木 太
    2009 年 61 巻 4 号 p. 645-648
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     構造体コンクリートの品質には施工プロセスが大きく影響を及ぼしており, 施工プロセス検査の充実を図る必要がある.本研究では品質確保のための適切なコンクリート受入れ検査の確立を目指し, 硬化体品質とフレッシュ性状に関する実験的検討を行った.その結果, 気温や降雨量等の環境条件が圧縮強度および透気性に及ぼす影響は必ずしも一致せず, 配合や環境条件によっては圧縮強度を耐久性の代替指標として用いることが困難であることが明らかとなった.また, 材料分離抵抗性の影響因子である, 粗粒率, 細骨材率, 単位水量を変動させた結果, タンピング試験の有用性が明らかとなった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 小林 良輔, 西村 次男, 蔵重 勲, 加藤 佳孝
    2009 年 61 巻 4 号 p. 649-652
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     コンクリート構造物に発生するひび割れは, 構造物の劣化を促進する要因として考えられており, 鉄筋の腐食にも大きく影響すると考えられている.そこで本研究では, 劣化要因の一つである中性化に着目し, 実際の環境下を模擬した乾湿繰り返しがひび割れからの中性化進行に及ぼす影響を実験的に検討した.その結果, 本実験で設定した乾湿繰返し条件下ではひび割れからコンクリート内部への中性化進行はしにくいことが分かった.またひび割れが鉄筋に到達した場合には, 鉄筋近傍の中性化進行が極めて速くなることが分かった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • Ominda NANAYAKKARA, Atsushi KIKUCHI, Yoshitaka KATO
    2009 年 61 巻 4 号 p. 653-656
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物の鉄筋防食は非破壊検査により調査され, 調査により得られた電気化学的パラメータ, すなわち自然電位, 分極抵抗, コンクリートの抵抗は, 腐食割合を定量的に評価するために用いられている.前述のパラメータは, マクロセル腐食割合を算出するため理論的に開発された方法により統合されたが, 理論的な方法で算出された電流は自然電位と比較した場合のみマクロセル腐食の作用に相当する結果を示し, また, 分極抵抗を考慮した場合は同様の挙動を示さないことを確認している.そこで, 本研究は, マクロセル電流を分割鉄筋を用いて計測することで, これまでとは別の観点から検討を行った.[本要旨はPDFには含まれない]
  • Vu Viet HUNG, Ominda NANAYAKKARA, Yoshitaka KATO
    2009 年 61 巻 4 号 p. 657-660
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
    マクロセル腐食を研究する上で,各鉄筋間の電流を測定することが可能である分割鉄筋は,使用される.本研究では,分割鉄筋要素の最適な長さを検証する.その為に,分割鉄筋を15mm,および60mmと設定し,これらの鉄筋要素で得られたマクロセル腐食電流を比較した.その結果より,効果的な分割鉄筋要素の長さは,15mmであることが明らかとなった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 菊池 厚, ナナヤカラ オミンダ, 加藤 佳孝, 魚本 健人
    2009 年 61 巻 4 号 p. 661-664
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
      既存RC構造物の腐食診断には, 自然電位法が用いられるのが一般的であるが, マクロセル腐食の場合, 自然電位は分極して, アノード部で卑にカソード部で貴に変化するため, 正確な鉄筋の腐食状況を評価できなくなる可能性がある.本研究では, 通常の鉄筋および分割鉄筋を用いて, マクロセル腐食が自然電位に及ぼす影響を実験的に検討した.その結果, 健全な鉄筋の自然電位は, アノード部が卑になる程, 腐食していると誤った診断をしてしまう可能性がある.また, コンクリート中の鉄筋の腐食は, アノードとカソードの領域の大きさによって腐食速度が変化することが明らかになった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • Hiroshi YOKOTA, Yoshikazu AKIRA, Ema KATO, Jian-guo DAI
    2009 年 61 巻 4 号 p. 665-668
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     海洋環境下に位置するコンクリート構造物を対象に, 吸水防止材を塗布することによる劣化防止効果を確認することを目的に, 暴露試験を実施した.その結果, 用いた5種類の吸水防止材のいずれにも延命化効果が認められた.ただし, ひび割れの発生時期によってひび割れ中への塩化物イオンの浸透性は異なり, 吸水防止材の種類によって防水効果が異なる傾向を示した.また, 鉄筋の防食効果も異なることが明らかとなった.これらのことから, 吸水防止材を塗布することで構造物の延命化は期待できるが, その効果は吸水防止材の種類によって異なることが予想される.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 川端 雄一郎, 岩波 光保, 加藤 絵万, 横田 弘
    2009 年 61 巻 4 号 p. 669-672
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     本稿は高性能軽量コンクリートの海洋環境下における長期耐久性, また, 高性能軽量コンクリートを使用する上で懸念される材料分離が長期耐久性に及ぼす影響について検討したものである.8年間海洋環境下に長期曝露を行った試験体に対して各種調査を行った結果, 高性能軽量コンクリートは長期的に十分な圧縮強度およびヤング係数を有しており, 非常に高い遮塩性があることが明らかとなった.材料分離がこれらの性能に及ぼす影響は若干見受けられるものの, 高性能軽量コンクリートの海洋環境下における高い長期耐久性が確認された.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 桑野 玲子, 佐藤 真理
    2009 年 61 巻 4 号 p. 673-677
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     近年都市部で頻発している道路陥没は, 多くの場合老朽埋設管の破損部等から土砂が流出することに起因し, 社会的損失が大きいにもかかわらず, 対症療法的な対策が中心となっているのが現状である.また, 道路や住宅造成地等で起こる比較的大規模な陥没にははっきりした原因が特定できない場合もあり, 埋設構造物周辺の埋戻し不良や地下の水みちに沿った土砂流出等が長年にわたって地盤内ゆるみを助長し陥没に至ったと推定される.舗装下の地表近傍で顕著な空洞が存在するような陥没寸前の状態においては, 現状のレーダー探査技術により比較的高い確度で探知可能であるが, 空洞が深層部にある場合, 空洞・ゆるみの境界が不明瞭な場合, 輻輳した地下埋設物と空洞・ゆるみ部が渾然としている場合などは, 探知技術の限界により問題箇所の検出が困難である.本研究では, 地盤陥没を未然に防止するための探知手法を提案するために, 地盤内空洞・ゆるみの形成過程を明らかにし空洞・ゆるみのパターンを類型化すること, さらに陥没に至る“危険な”ゆるみを抽出することを目指している.まだ本取組みは継続中であるがその概要を紹介する.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 佐藤 真理, 桑野 玲子
    2009 年 61 巻 4 号 p. 678-681
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
      近年都市部において頻発している道路陥没事故は, 社会的損失が大きいにもかかわらず, その対策は未だ対症療法の域を脱していない.道路陥没は何らかの原因により地盤内で土砂が亡失し, それによってできた空洞やゆるみ(地盤の密度低下)が地表面に進展することで発生すると思われるが, 詳細なプロセスについては研究が進んでいない.そうした中, 下水管破損部からの土砂流出が陥没事故の主要因の一つであると考えられており, 今後高度経済成長期に敷設された下水管が一斉に老朽化の時期を迎えることからも, 陥没事故の増加が懸念されている.本研究では, 降雨時に合流管等において管内の水位が上昇し破損部から地盤内へ水が溢れること, また雨が止むと地盤内から水が管内へ排出されることの繰り返し, すなわち下水管破損部からの水の地盤内への流出入の繰り返しを想定した模型実験を行い, 空洞形成・陥没に至るプロセスを考察した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 杉本 大輔, 桑野 玲子
    2009 年 61 巻 4 号 p. 682-685
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
      昨今の環境保全に対する関心の高まりとともに, 環境への負荷が小さい地盤改良の工法が求められている.このような背景を受けて, 微生物の入った液体に栄養源・カルシウム源・pH調整剤などを添加したいわゆるバイオグラウトを地中に散布し, 微生物の代謝機能を利用して地盤を改良する手法が模索されている.これまで, 有機物源とカルシウム源を用いて地盤内に炭酸カルシウムを生成させ砂質地盤の透水係数を約一桁低下させる効果などが報告されている.しかしながら地盤の固化作用について, その力学特性の体系的で定量的な評価はほとんど行われていない.そこで本研究では, 豊浦砂の三軸供試体に, 蒸留水に微生物源・栄養源(有機物, 尿素)・カルシウム源(塩化カルシウム)等を添加したグラウト溶液を浸透させ, 固化の経過を供試体内を伝播するせん断波速度の変化によって調べた.また, 供試体固化の様子を走査線電子顕微鏡によって観察した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 桑野 玲子, ベルトラン ガルビス アドリアナ ルシア
    2009 年 61 巻 4 号 p. 686-689
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
      盛土や斜面などの土構造物は, 長年にわたる供用中に, 降雨や地下水の変動などにより繰返し水の浸透作用に晒される.一般に, 不飽和土は浸水によってコラプスと呼ばれる体積収縮が起こることが知られており, 特に細粒土の浸水コラプスについてはこれまで研究例が多い.しかし, コラプスした土の力学特性の変化についてはあまり解明されていない.
     本研究では, 河川堤防盛土のように, 通常不飽和状態で安定を保っている土構造物が, 降雨や堤内水位の上昇により浸水した場合, および浸水を繰り返した場合の, 変形及び力学特性の変化について, 三軸試験装置を用いた微小ひずみ剛性測定で検討した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 桑野 玲子, チョコルダ バガス
    2009 年 61 巻 4 号 p. 690-693
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     近年, 建設工事現場から搬出される建設発生土の再利用を積極的に推進するために, セメントや石灰などを用いた安定処理土の使用実績が増加している.特に, 埋設管の埋戻し材において, 従来は強度・変形性・施工性・管保護等の観点から, 必要に応じて砂質土を購入することが多かったが, 最近では地震時の液状化防止や建設発生土抑制の観点から安定処理を施したリサイクル土の使用が推奨されている.
     本報では, リサイクル土プラントで製造された石灰改良土の埋設管埋戻し材としての特性を調べるために, まず埋戻し直後から1週間程度の力学特性を一軸圧縮試験により検討した.初期含水比を変えて供試体を作成し, 養生方法を, 気中, 密閉, 水中の3種類とした.一軸圧縮強さは供試体作成時や圧縮試験時の含水比に依存し, 養生日数との相関は見られなかった.石灰添加率2%という低い添加率において改良効果を十分に期待するには, 最適含水比付近で締固めて初期から密実な構造を作ることが重要であることがわかった.石灰改良による固化生成物の固結効果より, 含水比変化による供試体内部のサクションの影響を強く受けていると思われる.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 桑野 玲子, ウィチャックソノ ルタ イレング, 古関 潤一
    2009 年 61 巻 4 号 p. 694-697
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     千葉県の洪積砂層から採取した不撹乱砂試料の真の粘着力を算定するために, 供試体を飽和させたうえ, 超低拘束圧から実際の土被り相当の圧力領域において, 等方圧密排水三軸圧縮試験を行った.また, 原位置PS検層結果と比較するために三軸供試体内を伝播する弾性波速度を測定した.低拘束圧領域で見られた粒子間固結の影響は, 拘束圧が高くなるにつれて低減し, 変形特性も変化することがわかった.
     超低拘束圧状態を含む圧力範囲で三軸圧縮試験を実施することによって, 粒子間のセメンテーションに起因する真の粘着力を算定することができた.低拘束圧の試験は信頼できる結果を得るために通常よりも慎重な配慮が必要とされるが, わずかな粘着力であっても, 大規模掘削を伴う土工や地中構造物構築においては大幅な工費節減につながることがあるため, その適切な評価は実務的意義が高いといえる.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 高 東熙, 桑野 玲子
    2009 年 61 巻 4 号 p. 698-703
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
      地中埋設管は通常道路下に埋設され, 長期にわたる埋設環境において, 交通荷重やその他の外力の影響を受け続ける.このような状況の下, 構造的損傷を減らし信頼性ある設計をするためには, 外部荷重による埋設管の挙動特性を把握するのが重要である.埋設管の挙動に関するこれまでの研究は, ほとんど静的荷重下の挙動についてが中心で, 繰返し載荷による埋設管の長期挙動はまだ不明な部分が多い.また埋設地盤の密度の変化による影響も十分に考慮されていない.本研究では, 繰返し載荷時のたわみ性管と地盤の相互作用を調べるために, 大型土槽と応力制御の載荷装置を用いて異なる密度の埋設地盤に繰返し載荷試験を行い, たわみ性管の変形と作用応力特性について検討した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 古関 潤一, 三上 大道, 桑野 玲子, 佐藤 剛司
    2009 年 61 巻 4 号 p. 704-708
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     2004年新潟県中越地震などで, 下水管路施設が多大な被害を受けてきた.その典型的な被災形態の一つである浮き上がり被害は, 埋戻し土の液状化により引き起こされる.最近では各種の液状化対策が実施されているが, 埋戻し土を固化改良する対策に関しては, 長期強度の発現特性を明らかにする必要がある.そこで, 石灰で改良した現地発生土を最長1年間養生し, その過程における強度変形特性の変化を調べた.その結果, 今回の試験条件下では, 水浸養生開始後62日程度まで一軸圧縮強度が低下し, その後収束する傾向が確認された.[本要旨はPDFには含まれない]
  • —1995年兵庫県南部地震の被災地を対象として—
    野村 浩司, 大原 美保, 目黒 公郎
    2009 年 61 巻 4 号 p. 709-712
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     現在, 首都直下型地震などの巨大地震の発生が危惧されており, 特に都市部で発生する地震が日本経済へ及ぼす影響は大きい.本研究では, 兵庫県南部地震を対象として, 地震前後での土地価格の変動率関数を作成し, 地震が土地価格に及ぼす影響を分析した.地震直後の1996年は建物被害程度が大きいほど土地価格が下落したが, 2年目の1997年には全壊・全焼率が高い地域では土地価格の下落が止まる一方で, 半壊率が高い地域では下落し続けた.3年目以降は, 全壊・全焼率の高い地域から土地価格が回復し始めたが, 半壊率の高い地域では土地価格の回復に遅れが見られ, これは地域の復旧・復興の遅れによるものと考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 岸田 幸子, 大原 美保, 目黒 公郎
    2009 年 61 巻 4 号 p. 713-716
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     災害多発国であるわが国においては, 幼いうちから災害の存在と特徴を理解し, 災害と共存できる能力を身につけていくことが必要である.義務教育課程における防災教育は, 将来的には政治家, 行政職員, 研究者, エンジニアなど様々な立場で社会を担う子どもたちに最低限の防災力を身に付けさせるという意義を有する.本研究では, 防災教育カリキュラムの開発に向けた基礎的検討として, 現行の学習指導要領および先進的な防災教育事例の分析を行った.防災教育チャレンジプランに見られる先進的な防災教育事例を, 小中学生の行動図上にプロットし, 教育内容の傾向や偏りを分析した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • —2007年 Cyclone Sidrを事例として—
    康 泰樹, 目黒 公郎
    2009 年 61 巻 4 号 p. 717-721
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     本研究では, バングラデシュにおける防災基本計画(Standing Orders on Disaster: SOD)に規定される災害対応計画の分析と, 計画と実際の災害対応の比較分析を行っている.災害対応の比較分析は2007年Cyclone Sidrを対象として行ったが, その内容は, 発表されている対応活動の報告と筆者及びバングラデシュ工科大学(BUET)が行った現地インタビュー調査に基づいている.また, SODの記載内容を日本の防災基本計画に沿って分類・整理し, 現在のバングラデシュの災害対応計画の枠組みを日本との比較から明らかにしている.そして, この結果を実対応と比較検討することで, 各主体が個々の災害対応を継続的に見直し, 防災計画を改善していく仕組みを提示している.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 齋藤 勝久, 近藤 伸也, 目黒 公郎
    2009 年 61 巻 4 号 p. 722-725
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     子どもを対象とした犯罪を軽減するには, 犯罪環境を俯瞰し犯罪特性を十分理解することが不可欠である.その上で対象となる犯罪や地域特性に応じた適切な対策を, 適切なタイミングで, 適切な空間や対象に, 適切な方法で, 実施することが求められる.しかし現在は子どもの防犯に関する情報を俯瞰し, 適切な対策の実施を支援するシステムは整備されていない.そこで本研究ではWork Breakdown Structure手法を用いて, 子供を対象とした犯罪の発生環境を分析するとともに, 分析結果に基づいた適切な対策の立案・実施を支援するデータベースと分析システムを提案した.
    [本要旨はPDFには含まれない]
  • 大原 美保, 田中 聡, 重川 希志依
    2009 年 61 巻 4 号 p. 726-731
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     これからの地震被害を軽減するためには住宅の耐震化推進が急務である.本研究では, 住宅の被害調査時に撮影された被害写真を活用し, 「構造被害写真から学ぶ住まいの耐震教育ツール」の開発を行った.まずは, 地震被害調査等から指摘されている住宅の被害要因と住宅再建上の問題点から学習すべき内容を整理し, 構造被害写真に基づいて耐震性能の低下要因や耐震化対策を学ぶWeb教材を開発した.約300人の被験者に教材にアクセスしてもらい画面閲覧・簡易耐震診断の前後での意識変化を計測した結果, 学習後には耐震診断や耐震補強対策への意欲が大きく高まることが確認された.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 熊谷 考文, 腰原 幹雄, 松田 昌洋
    2009 年 61 巻 4 号 p. 732-736
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
研究解説
  • Pranab J. BARUAH, Kimiro MEGURO
    2009 年 61 巻 4 号 p. 737-741
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
        Sustainability is about following the triple bottom line principles of environmental preservation, social responsibility and economic profitability. Traditional cost-benefit analysis with a short-term horizon fails to capture economic benefits of a product/solution satisfying the first two principles, leading to perceived economic infeasibility of sustainable products/solutions. This review article first discusses the sustainability concept and the need for a business case for sustainability before outlining the issues and components that should be considered to make a strong business case for sustainable products/solutions. Based on presently available knowledge, an integrated, holistic, life-cycle based and longer-term approach to costs and benefits with due inclusion of intangibles is proposed to make a proper business case for such product/solutions in order to make them commercialized and absorbed in the society effectively and faster. It is also shown how elements of green building movement, such as LEED green building assessment system, are making tremendous market transformation by presenting a good business case for green buildings.
研究速報
調査報告
  • 斉藤 和也, 沼田 洋一, 島村 秀樹, 朱 林, 赤松 幸生, 中山 裕則, 宮崎 早苗
    2009 年 61 巻 4 号 p. 773-779
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     近年, 地球を取り巻く環境変化とともに, グローバル・ローカルを問わず自然災害の発生が増加している傾向にある.リモートセンシングという広域データ収集性や迅速性, データ周期性を生かした技術が, このような自然災害に役立つ技術であるといわれているが, 実際にどのように役立っているか検証することは重要である.本報告は, 最近発生した災害を対象に, どのような災害にどのような手法が利用されてきたか, その実態を明確にすることを目的として, 地震災害, 津波災害, 豪雨災害, 火山災害, 土砂災害を対象とし, 人工衛星, 航空機, 地上計測等によるデータ収集解析技術が利用された事例をまとめた調査の概要である.[本要旨はPDFには含まれない]
一般
研究速報
  • 都井 裕, 杉崎 雷太, 栗栖 泰, 四阿 佳昭, 線 延飛
    2009 年 61 巻 4 号 p. 781-784
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     連続体損傷力学に基づく弾粘塑性損傷構成方程式を用いて, 代表的な溶射コーティング被膜である炭化物サーメットの応力・ひずみ曲線を同定し, 12個すべての材料定数を決定した.同定した弾粘塑性損傷構成方程式を3次元有限要素プログラムに導入した結果, コーティング被膜を含む構造体の弾粘塑性損傷有限要素解析が可能となった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 都井 裕, 住吉 寛紀
    2009 年 61 巻 4 号 p. 785-788
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     連続体損傷力学の概念を損傷破壊挙動から自己修復過程までをも含むように拡張した.拡張された連続体損傷力学の適用例として, 疲労損傷を受けた2種類の高分子材料であるPSとPCのアニーリング処理による自己修復過程をシミュレートした.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 山田 康人, 浦 環, ソーントン ブレア, 能勢 義昭, 坂巻 隆
    2009 年 61 巻 4 号 p. 789-792
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     クラゲは, 科学的な興味の尽きない生物である.その生態調査には観測や捕獲が有効であるが, クラゲの透明性と脆弱性のため, また海の広大さと深さのためにこれまで調査は十分に進められていない.技術的には有人潜水艇, 無人有索潜水艇を用いた手法によって深海生物の調査を行うことは可能であるものの, 従来の手法にはコストや長時間オペレーションの難しさという問題が存在する.
     本研究では, より効果的なクラゲ調査手法の確立を目指すため, 自律型海中ロボットによるクラゲ調査手法を提案し, そのシステム構築及び水槽内におけるクラゲの認識, 追跡, 捕獲動作の検証を行った.
    [本要旨はPDFには含まれない]
  • 朝倉 巧, 坂本 慎一
    2009 年 61 巻 4 号 p. 793-796
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     FDTD法(時間領域有限差分法)による音響振動連成解析を用いて, 壁体のエネルギー損失をモデル化した遮音解析を行い, 実測結果との比較を通して本手法の妥当性について調べた.解析の対象としたのは石膏ボードによる単板および二重壁である.はじめに, 石膏ボードの損失係数を実測によって求めて, 結果を解析に反映させた.残響室法を模擬した解析を行い, 石膏ボードによる壁体の音響透過損失を算出した.解析結果は残響室法を用いた実測結果と比較的よく一致したことから, 本解析手法の妥当性について確認できた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 西浦 博, 合原 一幸
    2009 年 61 巻 4 号 p. 797-803
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
     新型インフルエンザ流行が世界的に拡大している.今冬および来年度以降の流行に備えてワクチン製造が必要だが, 製造可能なワクチン総数には上限があり, 同時に季節性インフルエンザのワクチン製造も求められる.本研究は, ワクチン製造資源を最も合理的に新型インフルエンザに配分する数理的手法を提案する.新型インフルエンザ単独の流行閾値条件に近いワクチン接種割合(あるいはそれ以上)を達成できるとき, 全資源を新型インフルエンザに費やすことは最適でない.モデル想定とパラメータ推定値が再流行を十分に記述できると仮定すると, 来年度以降のワクチンの年間最大製造量5000万人分の82.2%を新型インフルエンザに配分することで全死亡者数が最少に抑えられる.2009年度は, 製造可能な新型インフルエンザのワクチン総数に上限があるが, 新型インフルエンザの再生産数が季節性のそれの0.9倍以上ならば, 年度内に残る製造資源の全てを新型インフルエンザに費やすことが適切と考えられる.[本要旨はPDFには含まれない]
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