生産研究
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73 巻, 5 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
特集 20年間の活動を終えて(ICUS)
巻頭言
研究解説
  • 目黒 公郎
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 5 号 p. 285-298
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター(ICUS)の20 年間にわたる活動の歴史を振り返っている.その中では,前身の国際災害軽減工学研究センター(INCEDE)からICUS が改組・設立される背景として,当時の生産技術研究所全体の将来構想についても触れている.ICUS は,2001 年4 月の設立から2021 年3 月末までの20 年間の活動によって,国内外の100 人を超える博士学位取得者の輩出や860編を越える査読付き論文の出版など,多くの業績を挙げることができた.2021 年度からは,都市安全や防災に関わる研究部門は「災害・復興知連携研究機構」に,都市基盤系の研究部門は「One Health One World 連携研究機構」への展開を図っている.

研究速報
特集 足下を支える砂や土の粒子を見つめる(ERS)
巻頭言
研究速報
  • 皆川 敦也, 池田 隆明, 目黒 公郎, 松本 拓未
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 339-343
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    地震ハザード評価では,地表面最大速度に基づき構造物やシステムの被害評価が行われているが,最大加速度を組み合わせることにより評価精度の向上が期待される.そこで,地表面最大加速度の評価に必要な最大加速度の増幅特性に関する検討を実施した.加速度と速度の間にはある条件下で相関があるため,最大速度の増幅率と最大加速度の増幅率との間にも関係があると考えられた.そこで,これらの関係を経験的に評価し,既往研究で得られた最大速度の増幅率に適用することにより最大加速度の増幅率を評価した.また,提案方法を用いてヤンゴン市の最大加速度の増幅率を評価した.

調査報告
研究速報
  • ヤン リ, 大坪 正英, 桑野 玲子, サデック ナディミ, バシリオス アンジェリダキス
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 355-358
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    本研究では非球形の土粒子形状をX 線μCT で測定し,球の集合体(クランプ粒子)として再現した.生成したクランプ粒子の形状パラメータを測定し,構成する粒子数(Ns)との相関を調べた.これらのクランプ粒子を用いた個別要素法(DEM)数値解析を実施し,等方圧縮された粒状体の間隙比および平均配位数を調べ,Ns ならびにoverall regularity (OR)との関係を調べた.その結果,Ns を25 まで増加させると,クランプ粒子と実際の粒子形状は同等であると見なすことができ,またOR の低下に伴う間隙比および平均配位数の低減を確認した.

  • 横山 大智, 桑野 玲子, 大坪 正英, 久野 洵
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 359-362
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    近年,砂質地盤における陥没の発生が複数報告されている.一方,既往の研究から,サクション等の粒子間粘着力が,砂質地盤内の空洞保持に不可欠であると考えられている.そこで本研究では,簡易サクション計測装置を用い,砂粒径の粒子に対するサクション計測試験を行うとともに,簡易模型による空洞保持試験を実施し,サクションの空洞保持への寄与を検討した.その結果,砂地盤のサクションは粒径や粒子形状の影響を受けること,空洞保持にはサクションに加え表面粗度,粒子形状,アーチの形成も寄与することが明らかとなった.

  • 大坪 正英, ヤン リ, 桑野 玲子, サデック ナディミ
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 363-365
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    砂のような粒状体の示す力学挙動はそれを構成する砂粒の表面粗度に影響を受けるが,砂粒の表面粗度に着目した研究は少ない.その理由の一つに,客観的な表面粗度の測定手法が確立されていない点が挙げられる.近年の光学干渉計の高度化に伴い,現在ではナノオーダーの微細な表面凹凸を観察できるため,十分な精度で砂粒の表面粗度測定が可能となった. ただ,土粒子表面は丸みを帯びているため,そこから表面粗度に寄与する凹凸形状を分離する必要がある.本研究ではこのような分離手法に関して,ガウスフィルタを用いた客観的かつ再現性のある手法を提案する.

  • 唐崎 遥平, 桑野 玲子, 大坪 正英
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 367-369
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    地盤陥没の芽となる地下空洞が地中深くにある場合,条件次第では大きく成長し大規模な陥没に至る危険性がある.深さ2m 以浅の空洞に対しては地中レーダーによる探査が可能であるが,それより深部の空洞探査技術は未確立である.本研究では,2009 年に北海道安平町内のゴルフ場で発生した地盤陥没の跡地において,地表から深部までのS 波速度構造を推定する手法である表面波探査を実施した.その結果,地下空洞の前身となる緩み領域の検知,そして地盤陥没の要因となる水みち経路の推定において,表面波探査が有効な手段であることを確認した.

  • 謝 沛宸, 清田 隆, 片桐 俊彦, 志賀 正崇, 武政 学
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 371-374
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,従来の方法に比べてコストを大きく低減でき,通常の地盤調査でも適用可能な小規模凍結サンプリングを想定し,凍結管挿入時に生じる周辺地盤の乱れに着目して実施した簡易な土槽実験結果を報告する.本研究では,セルフボーリング式凍結管挿入時の送水流量と挿入速度の違いに着目し,乾燥密度と土壌硬度計指数の測定により周辺地盤の乱れを評価した.実験結果より,乱れが少ない送水流量と挿入速度の存在と,セルフボーリングの効果が確認された.また凍結管の先端部で砂が閉塞することから,掘削した砂の排出が不十分であったことも確認された.

  • 志賀 正崇, 清田 隆, 片桐 俊彦
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 375-378
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    非排水繰り返し載荷とせん断エネルギー・仕事に関する既往研究は,主に応力経路への非依存性と,液状化に至るまでのせん断エネルギーと他の指標との関連の2 つに着目して行われてきた.こうした過去の研究内容を踏まえ,本研究では,液状化に至るまでに要する仕事(液状化仕事特性)と繰り返しせん断応力比との関係を,簡易なモデルによって表現し考察及び検討することを目的とする.結果としては提案モデルは実験結果をよく反映した一方,サイクリックモビリティの領域におけるせん断仕事には有効応力経路による依存性が見られた.

特集 プロダクションテクノロジー研究
巻頭言
研究速報
研究解説
  • 梶原 優介
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 5 号 p. 395-400
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    プラスチック成形品の非破壊的な内部残留応力評価法として,テラヘルツ(THz) 偏光に対する高分子の応答を利用することを提案し,その妥当性を検証した.具体的には,残留応力の異なるPTFE 試料を焼成プロセスにて作製し,THz 時間領域分光法を利用して吸収係数の偏光依存性を評価した.評価実験の結果,低残留応力のPTFE 試料は偏光依存性をほとんど示さなかった一方,高残留応力のPTFE 試料は大きな偏光依存性を示した.加えて,これらのTHz 偏光依存性と残留応力に起因する寸法変化との間に相関関係があることを示した.本稿ではその詳細について解説する.

研究速報
  • 龍野 道宏, 横井 秀俊
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 401-404
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    プラスチック射出成形機のベント式可塑化装置について,加熱シリンダ内可塑化過程を可視化解析した.ベントポート近傍のスクリュ第2 ゾーン溝内で溶融樹脂内に空隙が生成することを明らかにした.連続可塑化過程ではスクリュ回転数が高いほど空隙がノズル側へと拡大し,第2 ゾーンの樹脂輸送量とスクリュ第1 ゾーンでの可塑化能力の不均衡に起因するものと推察された.計量可塑化過程では,ベントアップを抑制するホッパー入口での材料供給速度は,スクリュ回転数が高いほど回転数の増加比以上に増大し,第2 ゾーンでの樹脂輸送量増大に起因するものと推察された.

  • 上村 康幸, 土屋 健介
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 405-409
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,目詰まりを起こさずに精密加工が可能な固定砥粒工具を実現するために,表面にスパイラル状の連続気孔を有する固定砥粒工具を提案した.工具基材にワイヤを巻き付けることで工具と被加工物の接触を線接触とし,その近傍に常に連続気孔を配置した.試作した工具を用いた加工実験を通して,目詰まりの原因は,砥粒率が高いことによって閉じた気孔が形成されること,工具と工作物が面接触すること,砥粒周りに連続気孔が存在しないことである.これらの因子を考慮して作製したスパイラル固定砥粒工具は,目詰まりを起こさず鏡面加工できることを示した.

  • 鄭 秋, 古島 剛
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 411-414
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,金属箔材の均一な成形性に及ぼす予ひずみの影響について調査した.予ひずみと通電加熱援用成形を組み合わせた多段階のマイクロフォーミングを提案した.通電加熱下で一軸の予ひずみを与える試験と,カッピング試験による二軸引張の試験法を構築した.予ひずみを与えた試料は,均一な温度分布とひずみ分布を示し,次工程のカッピング試験のにおける有効性を示し,加えた予ひずみが大きくなるにつれて,増加した後,減少する傾向を示した.すなわち,予ひずみ加える負荷経路によって成形性を向上させることができる可能性を示した.

  • 韓 偉, 天野 晶仁, 森 三樹, 新野 俊樹
    原稿種別: 研究速報
    2021 年 73 巻 5 号 p. 415-418
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    MID(Molded Interconnect Device)製造プロセスの射出成形はレーザー焼結に置き換えることができる.LDS(Laser Direct Structuring)法では レーザを照射 することでパターン形成 を行っているため, レーザの届かない構造体陰面への配線ができないという課題がある.そこで,レーザ焼結法と LDS 法を融合することで,樹脂と金属のマルチマテリアル AM を実現させ,上記の課題を解決する. さらに,1 つのCO2 レーザーのみを使用して造形と活性化を完了すると,装置のサイズとコストを大幅に削減できる.本研究では,高速ビデオカメラでの直接観察により,CO2 レーザーによるレーザー焼結LDS 材料の活性化メカニズムを明らかにし, 結果をLDS に通常使用されるファイバーレーザーと比較する.

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