生産研究
Online ISSN : 1881-2058
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72 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
特集 乱流シミュレーションと流れの設計(TSFD)
特集に際して
研究速報
研究解説
  • 韓 梦涛, 大岡 龍三, 菊本 英紀
    原稿種別: 研究解説
    2020 年 72 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    Bounceback は,格子ボルツマン法(LBM)において常用な壁面境界条件である.粗い格子解像度を用いて高レイノルズ数乱流のLBM 解析の際には,Bounceback は壁面における適当なせん断応力を捕捉できないことがある.本研究では,壁関数(Spalding 則)をLBM の境界条件に組み込み,「wall-function bounce (WFB)」境界条件を提案した. WFB 境界は,上述のBounceback の欠点を克服し,壁関数を用いて適当な壁面せん断応力を計算し,局所的な分布関数の修正を通してそのせん断応力を反映する.乱流チャネル流れを用いてLBM によるlarge-eddy simulation を行い,提案した境界の検証を行った.その結果,WFB は壁に適切なせん断抵抗が再現できた.遷移層において,特に第一層格子点の時間平均速度の過小評価を補償し,壁近傍において主流方向の変動風速をも修正した.

  • 賈 鴻源, 菊本 英紀
    原稿種別: 研究解説
    2020 年 72 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    本研究はスーパーガウス関数とベイズ推定を組み合わせ,線形発生源を同定する手法を提案した.まず,単純な境界層をCFD (Computational Fluid Dynamics) で解析し,模擬的な測定値と随伴濃度場を取得した.発生源のパラメータを確率的に推定するため,測定された濃度と随伴濃度との差をベイズ定理に従って定式化した.また,スーパーガウス関数を使用し,いくつかの扱いやすい係数によって線源を近似した.結果としては,センサーによって十分な観測情報が提供されれば,事前の発生源の幾何情報なしでも,提案手法により全てのパラメータが推定できた.

  • 周 琦, 大岡 龍三
    原稿種別: 研究解説
    2020 年 72 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    深層学習ニューラルネットワークを使って二次元室内非等温気流を予測した.ニューラルネットワークは無次元数Ar 数を入力として受け取り,速度分布と温度分布が出力された.ニューラルネットワークによる予測結果はCFD の結果と一致し,相対誤差は最大8%である.速度分布と温度分布をそれぞれ予測するニューラルネットワークの精度は速度分布と温度分布を同時に予測するニューラルネットワークよりやや高い.CFD 解析は1 ケースあたり1000 秒以上かかるが,ニューラルネットワークの予測は1 ケースあたり0.1 秒である.深層学習による二次元室内非等温気流の高速・高精度な予測が実現できると確認した.

  • 張 秉超, 大岡 龍三, 菊本 英紀
    原稿種別: 研究解説
    2020 年 72 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,スペクトル固有直交分解(SPOD)を用いて,角柱建物モデルの周辺における地表面に近い平面の風速場の乱流構造を解明することを目的としている.SPOD は,固有直交分解(POD)と離散フーリエ変換(DFT)の組み合わせで,最大の運動エネルギーを持っている物理現象を抽出することができる.研究の結果,計算から得られた固有関数は,カルマン渦を含み,色んな渦の時空間構造を示した.また,得られた固有値は,すべての渦の運動エネルギー分布を示し,歩行者空間の快適性が改善できる可能性を示唆した.

研究速報
  • ―女川湾を事例として―
    周 金鑫, 吉田 毅郎, 張 俊波, 董 書闖, 李 僑, 北澤 大輔
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    本報では,MEC(Marine Environment Committee) Ocean モデルにEcopath 高次生態系モデルを結合させて,女川湾の養殖システムの解析を試みた.まず,観測結果との比較によってモデルの検証を行い,新たに構築されたMEC-Ecopath Ocean モデルの妥当性が概ね確認された.また,異なる種の養殖が生態環境に及ぼす影響を比較した.ギンザケ養殖が行われる時期に溶存酸素,窒素,リン酸の大きな変動が見られたため,マガキ養殖に比べてギンザケ養殖の影響がより大きいことが分かった.今後の課題として,観測結果と計算結果の比較において,十分に一致しない点も見られたので,各パラメータのキャリブレーションなどの詳細な検討が必要である.

  • 董 書闖, 周 金鑫, 李 僑, 吉田 毅郎, 北澤 大輔
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    本報では前報に引き続き,ギンザケ養殖を対象として養殖による周辺海域の環境変化を見るために,数値シミュレーションを行った.河川からの淡水流入,養殖による負荷等の要因を考慮するとともに,ネスティング手法を取り入れた計算を実施した.その結果,全窒素,全リン,化学的酸素要求量と溶存酸素濃度の季節変動が再現され,養殖海域近傍での水質変化も確認された.また,溶存酸素濃度を見ると,養殖に直ちに影響を及ぼすレベルではなかったことが示された.今後は,養殖負荷モデルの精度向上や底質モデル導入を検討する必要がある.

研究解説
研究速報
  • 山出 吉伸, 加藤 千幸, 渡邉 啓悦
    原稿種別: 研究解説
    2020 年 72 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 2020/01/01
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    非圧縮,高レイノルズ数流れを対象としたLarge Eddy Simulation(LES)に適用されるオーバーセット手法を改良し,その効果を遠心ポンプ内部流れ解析において検証した.改良した手法では,連続の式を解く行列ソルバー内で圧力を陰的にオーバーセット処理するとともに,オーバーセット境界において速度の連続性を維持するための拘束力を付加した.改良したオーバーセット手法を直径318mm,羽根車12 枚の遠心ポンプ内部流れに適用した.この計算では,羽根車背面流路,ライナーリングおよびバランスピストンといった細隙部の流路を有している.オーバーセット手法の改良により,圧力場の連続性が向上すること,予測したポンプの一般性能が実験データと概ね一致することを確認した.

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