生産研究
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72 巻, 6 号
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特集 土・水・災害
特集に際して
研究速報
  • 大坪 正英, デュッタ トロイー タヌ, ガエム アリアン, リ ヤン, 桑野 玲子
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 6 号 p. 387-390
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2020/12/17
    ジャーナル フリー

    本研究では,地盤構造物のフィルタ材等として使用される大きさの異なる粒子で構成されるギャップグレード材料の動的応答を解明することを目的に,室内要素試験を実施した.粗砂(硅砂3 号)と粒径の異なる三種類の細砂(硅砂5 号,7 号,8 号)を混合したギャップグレード硅砂を実験対象とし,細砂含有率が0%,10%,20%,30%,40%,50%,100% の供試体に対する弾性波伝播実験を実施した.その結果,弾性波速度は地盤の間隙比および細砂含有率の影響を大きく受けること,それらの影響は混合砂の粒径比が大きい程顕著になることが明らかとなった.

  • リ ヤン, 大坪 正英, 桑野 玲子
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 6 号 p. 391-395
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2020/12/17
    ジャーナル フリー

    本速報では粒状体の力学特性に及ぼす粒子形状の影響を解明することを目的とし,4 種類の形状の異なるガラスビーズ材料を用いた三軸圧縮試験結果を報告する.また三軸圧縮載荷中の粒状体に対し,弾性波速度の計測も実施した.粒子形状による影響のみを考慮するために,供試体の初期相対密度は約100% とした.圧縮載荷に伴う応力・ひずみ関係に加え,圧縮波とせん断波の伝播速度の変化を議論する.

  • 中田 祐輔, アリ ウマイル, 桑野 玲子, 大坪 正英
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 6 号 p. 397-400
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2020/12/17
    ジャーナル フリー

    道路陥没の芽となる地中空洞は,見えないところで成長・拡大するため,突発性の高い危険な災害に至る.陥没の予防策として地中レーダーを用いた空洞探査があるが,深部での空洞探査技術は未だ確立されていない.本研究では,弾性波による空洞検知技術を確立することを目的とし,個別要素法数値解析を用いて空洞周辺の弾性波(P 波,S 波)の伝播特性を検討した.数値解析の結果,P 波伝播速度は,空洞周りの地盤骨格の弱化およびアーチの形状に影響を受けるが,S 波伝播速度は,前者の影響が大きく,アーチングの作用を大きく受けないことが明らかとなった.

  • チトラブル サンジェー, 桑野 玲子, 大坪 正英
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 6 号 p. 401-404
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2020/12/17
    ジャーナル フリー

    地盤材料が浸透作用を受ける際,体積変化せずに細粒分が流出する現象をサフュージョンと呼ぶ.細粒分の流出に伴い,地盤材料の微視的・巨視的な力学挙動が変化することは先行研究において報告されている.本研究では粒度幅の広い火山灰質土に対するサフュージョンの影響を理解するために三軸圧縮試験を実施した.サフュージョンを受けた火山灰質土の非排水せん断挙動は初期密度に影響を受け,微小ひずみ剛性,応力ひずみ関係,膨張特性に変化をもたらすことが明らかとなった.

  • 皆川 敦也, 池田 隆明, 目黒 公郎, 松本 拓未, 郷右近 英臣, Naing Tun
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 6 号 p. 405-409
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2020/12/17
    ジャーナル フリー

    本研究は地盤や地震データが少ないエリアに対し,表層地盤増幅特性に着目し地震ハザードの評価を行った.海外では地震危険度が高い地域でありながら,地盤調査結果を含む様々なデータが蓄積されていないことから,地盤リスクが適切に評価されていない場合が多い.近年都市の発展が進むヤンゴン市もその一つであり,本研究はヤンゴン市を対象に表層地盤の増幅率の評価を試みた.検討結果として,幾つかの推定方法を組み合わせて増幅率を評価する手法を確立した.本研究は地震リスク評価の意識向上を図る有用性ある検討となった.

  • 大塚 陽汰, 川口 健一
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 6 号 p. 411-414
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2020/12/17
    ジャーナル フリー

    地下空間は地上建物と比べて作用する地震荷重が小さい. 一方で津波等による浸水災害時には高所避難と比べて, 迅速避難の難易度は小さいが脆弱である. 従って, 浸水に対する脆弱性を克服することができれば, 多くの人々が避難しやすく, より多くの災害時に有効なシェルターとして活用できると考える. 本報では, 地下空間の浸水解析手法としてポリゴン壁境界を用いたMPS 法に着目し, 解析手法の概要とモデル化の際の問題点を述べる. そして比較的簡便に問題を解決する方法を提案し, 数値計算例を通じて解決法の妥当性について確認する.

  • 熊谷 泰知, 池田 隆明, 清田 隆
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 6 号 p. 415-418
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2020/12/17
    ジャーナル フリー

    2018 年にスラウエシ島地震が発生し,震源近傍のPalu 市にて複数の地域で大規模な地盤流動が生じた.本研究では非流動域における表層地盤の地震時挙動解明を目的とし,入力地震動レベルと表層地盤の地震時挙動の関係について解析的評価を試みた.地盤パラメータは標準値とし,地盤をモデル化した.解析結果として,表層地盤の地震時挙動には特徴的な傾向はみられず,大規模流動は地盤の地震時挙動に加え,他の原因が複合的に組み合わされ,引き起こされたと考えられる.今後,地震動記録の再現や,地盤モデルの高精度化,その他の地点での地震応答解析など,大規模地盤流動のメカニズム解明を行う予定である.

  • 志賀 正崇, 清田 隆, 片桐 俊彦
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 6 号 p. 419-422
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2020/12/17
    ジャーナル フリー

    更新統の地層の液状化は従来の液状化判定では対象外であったが,近年議論が高まりつつ状況にある.本研究では更新統の地層の主特性であるセメンテーションに着目し,人為的にセメンテーションを付加した供試体に圧密および非排水繰り返し試験を行い,土粒子構造を表すせん断波速度の計測を行った.結果として圧密中のせん断波速度の変化は,C=0% において先行研究よりも低い間隙比依存性が見られた.またセメント添加率を上げると,非排水繰り返しせん断時のひずみの発達が遅れ,靭性の高い破壊形態への移行が見られた.

  • 藤井 紀之, 清田 隆, 上田 恭平
    原稿種別: 研究速報
    2020 年 72 巻 6 号 p. 423-426
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2020/12/17
    ジャーナル フリー

    液状化時の大ひずみ領域の挙動を考慮した数値解析のための基礎的研究として,せん断ひずみ片振幅γsa=60% に至るまでの挙動が得られている既往の大ひずみ液状化試験結果をターゲットとした要素シミュレーションを実施した.その結果,初期のφf を用いたケースでは既往の大ひずみ液状化試験結果を再現できなかったものの,繰返しせん断応力の載荷に伴う低下後のφf を用いることで,γsa=60% 程度の大ひずみ領域までの挙動を再現できる可能性が見出せた.今後の課題としては,限界せん断ひずみγL 到達後も含めた繰返しせん断応力の載荷に伴って連続的に低下するφf の評価方法の導入,今回対象とした豊浦砂以外の材料に対するφf の低下率の確認,二次元問題への適用性の検討等が挙げられる.

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