SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
7 巻, 2 号
SPring-8 Document D2019-011
選択された号の論文の59件中51~59を表示しています
Section B
Section C
  • 宋 哲昊, 田尻 寛男, 藤原 明比古
    2019 年7 巻2 号 p. 308-311
    発行日: 2019/08/29
    公開日: 2021/01/15
    ジャーナル オープンアクセス
    2層の自発分極差で界面に高移動度2次元電子ガスが形成される MgxZn1-xO/ZnO ヘテロ接合の構造を明らかにするために放射光X線結晶トランケーションロッド散乱実験を行った。Mg 濃度 x = 0.015、0.064、0.189 の3種類の試料に対して 000L 方向の散乱プロファイルを測定し、Mg 濃度の異なる MgxZn1-xO 層の構造を解析した。3種類の試料に対して、格子定数 c は精密に求めることができた。また、散乱プロファイルに見られる振動の周期は MgxZn1-xO の膜厚をよく説明できたが、振動振幅について一致しない点が見られ、構造モデルのより詳細な検討が必要であることがわかった。
  • 鈴木 基寛, 小谷 義範, 中村 哲也
    2019 年7 巻2 号 p. 312-315
    発行日: 2019/08/29
    公開日: 2021/01/15
    ジャーナル オープンアクセス
     BL25SUビームラインにおいて、低濃度の希土類磁性体試料に対する軟X線磁気円二色性 (MCD) 測定の検出感度評価を行った。Au 基板上に展開した Tb 単分子磁石の単原子膜について全電子収量法によるX線吸収分光 (XAS) およびMCDスペクトルの測定を行い、バックグラウンドと信号の比率および統計精度を評価した。1原子層の単分子磁石に対して解析に十分な精度のスペクトルが数10分の測定時間で得られ、さらに濃度の薄い試料にも対応できることがわかった。
  • 本多 定男, 橋本 敬, 西脇 芳典, 大和 拓馬, 金田 敦徳, 近藤 涼介, 早川 慎二郎, 木村 滋
    2019 年7 巻2 号 p. 316-320
    発行日: 2019/08/29
    公開日: 2021/01/15
    ジャーナル オープンアクセス
     文書類から記載に用いられた筆記具のメーカー名、製品名を推定する試みについては、一部を切り取ってインク等を抽出し、薄層クロマトグラフィー(TLC)、液体クロマトグラフ質量分析(LCMS)、顕微フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、ラマン分光等で分析する手法が研究されてきたが、2000年以降は破壊を伴わない分光的分析手法が主流となってきている[1]。
     既報[2]のとおり、ボールペンインクのメーカー名、製品名を推定するためのデータベース作製を目的として赤外放射光分光分析を実施したが、今回は同じ試料について放射光蛍光X線(XRF)分析を実施した。
SACLA
  • 東浦 彰史, 中川 敦史
    2019 年7 巻2 号 p. 321-324
    発行日: 2019/08/29
    公開日: 2021/01/15
    ジャーナル オープンアクセス
    X線自由電子レーザーを用いた単粒子構造解析の手法開発を目指した研究に取り組んだ。結晶化することなく蛋白質の立体構造を coherent X-ray diffraction imaging の手法により決定することを目指したものであり、モデルとして2種類のウイルスを選択した。それぞれのウイルスをサンプルグリッド上に展開、急速凍結し、XFEL 回折実験に供した。XFEL 回折実験は SACLA BL3A において実施した。
  • 玉作 賢治, 犬伏 雄一
    2019 年7 巻2 号 p. 325-327
    発行日: 2019/08/29
    公開日: 2021/01/15
    ジャーナル オープンアクセス
    X線ラマン過程を観測するための最初のステップとして、蛍光X線の誘導放出の観測を試みた。このためにSACLAの2色発振を利用した。また、ポンプX線とコントロールX線のパルスエネルギーをそれぞれショットごとに決定するために、インラインスペクトロメーターを開発した。しかし、インラインスペクトロメーターを含めた光学系設計に問題があり、パルスエネルギーの正確な見積りができなかった。一方で、現在研究している共鳴2光子吸収につながる知見が得られた。
  • 倉橋 直也, Stephan Thuermer, 唐島 秀太郎, 山本 遙一, 小原 祐樹, 片山 哲夫, 犬伏 雄一, 三沢 和彦, 鈴木 ...
    2019 年7 巻2 号 p. 328-331
    発行日: 2019/08/29
    公開日: 2021/01/15
    ジャーナル オープンアクセス
    水溶液中におけるヨウ化物イオンから水への電子移動反応による水和電子の生成と、電子−ヨウ素原子間の再結合過程を解明する目的で、深紫外レーザーと自由電子レーザーを同期したヨウ化ナトリウム水溶液の時間分解光電子分光を行った。装置のエネルギー分解能は概ね計算通りであることが確認された。深紫外光の照射によって、ヨウ素 2p 軌道由来の光電子運動エネルギーがシフトし、遅延時間 150 ps まで回復しない様子が観測された。これは水和電子とヨウ素原子の再結合が 150 ps まで起こらないことを意味し、我々の予想に反する結果であった。
  • 倉橋 直也, Stephan Thuermer, 唐島 秀太郎, 山本 遙一, 片山 哲夫, 犬伏 雄一, 小原 祐樹, 三沢 和彦, 鈴木 ...
    2019 年7 巻2 号 p. 332-335
    発行日: 2019/08/29
    公開日: 2021/01/15
    ジャーナル オープンアクセス
    時間分解X線発光分光(TRXES)の立ち上げ、さらに将来の時間分解共鳴インパルシブX線散乱(TRRIXS)への発展を目論み、無機化合物水溶液の TRXES を試みた。試料は、シュウ酸鉄錯体(Fe(III)Ox3)である。この錯体に関しては、既にSACLAにおいて時間分解X線吸収分光(TRXAS)に成功している。紫外同期レーザー(268 nm)を用いて、Fe(III)Ox3 の配位子から金属への電荷移動(LMCT)を誘起し、その後の化学反応をリアルタイム追跡することを目的とした。試料はシュウ酸鉄錯体アンモニウム塩の 0.2 M 水溶液で、液体は直径 25 µm の層流である。X線の発光分光には、von Hamos 型の分光器を用いた。
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