大気環境学会誌
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57 巻, 5 号
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研究論文(技術調査報告)
  • 坂本 祥一, 熊谷 貴美代, 田子 博, 菅田 誠治
    2022 年 57 巻 5 号 p. 109-118
    発行日: 2022/08/10
    公開日: 2022/08/10
    ジャーナル フリー

    近年の光化学オキシダント(Ox)濃度の変化を解析するため、関東平野部を内陸部から沿岸部にかけてエリア分けし、春夏についてOx日最高濃度とOx日内変化量に着目した指標を用いて解析を行った。気象要素との相関関係を解析した結果、日最高気温が春夏共通してOx濃度に対して関係性が強く、気温上昇がOx高濃度化の起こりやすさの指標となっていることが示された。日照時間と日最高気温に基づいた一定の気象条件で、2011–2014年度と2016–2019年度の二つの期間のOx日最高濃度および日内変化量を比較した結果、夏は減少し、特に内陸部の減少が大きかった。NOx、NMHC濃度は減少していたことから、夏のOx減少は前駆物質濃度低下による光化学生成の低減の結果と推察された。一方、春ではNOx、NMHC濃度は夏と同様に減少していたにもかかわらず、Ox日最高濃度および日内変化量ともに減少は確認されなかった。春においては域内の光化学生成以外の要因もあり、前駆物質濃度の減少効果がOx減少として表れにくい可能性が考えられた。また、注意報レベルのOx濃度は、6時間以上の日照時間があり、日最高気温が春は27°C以上、夏は35°C以上の気温の高い気象条件の日に多く発生していた。

研究論文(ノート)
  • 鵜野 伊津志, 板橋 秀一, 山村 由貴, 中川 修平, 弓本 桂也, 櫻井 達也
    2022 年 57 巻 5 号 p. 119-127
    発行日: 2022/08/27
    公開日: 2022/08/27
    ジャーナル フリー

    福岡都市圏(3地点)と福江島で、NH3の小川式パッシブサンプラー(PS)計測を行い、濃度レベルと季節変化を調べた。福岡3地点では濃度レベルは1.5–3.5 ppb程度で、季節変化のパターンは非常に類似していた。一方、福江島のNH3レベルは福岡に対して低く、おおむね0.5–2 ppb程度であり、明瞭な季節変化が見えなかった。PSの結果をフィルターパック計測などと比較し、暖候期の濃度レベルがほぼ一致することを確認した。一方、外気温が15°Cより低下すると、NH3 PSの濃度が大きくなる傾向にあった。これはPSのポリエチレン多孔栓やフィルター表面に捕捉されたNH4NO3が再揮散して、NH4+→NH3によるアーテイファクトとして作用するためと考えられた。福江では、冬季のエアロゾルの越境輸送があるときに、NH3に上昇の傾向が見えた。これは越境輸送されたNH4NO3による可能性があることを示した。

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