大気環境学会誌
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58 巻, 6 号
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研究論文(技術調査報告)
  • 北山 響, 茶谷 聡
    2023 年 58 巻 6 号 p. 87-98
    発行日: 2023/10/13
    公開日: 2023/10/13
    ジャーナル フリー

    大気汚染物質の排出量の時間変動と月変動を大気質モデルに入力できる形式で抽出するため、排出量に関する活動量を重回帰分析と周期変動解析に適用した。また、解析した結果を用いてCOVID-19パンデミック時の経済活動の制限に伴う活動量の減少量の評価を行った。使用した活動量は、火力発電量、固定燃焼発生源のエネルギー消費量、自動車の走行距離とした。活動量の時間変動の係数は9時から18時にかけて、曜日変動係数は火曜日から金曜日にかけて大きい傾向が見られた。月変動係数は火力発電量、エネルギー消費量、走行距離の順に、5、10月、5、6月、2月に低く、12月と1月に高い傾向が見られた。COVID-19パンデミック時の変動については、三種の活動量とも、緊急事態宣言時に大きい減少が見られ、最初の緊急事態宣言の2020年4、5月で明確であった。2019年に対する2020年の年間減少量は、火力発電量、エネルギー消費量、走行距離の順に−1.5、−10、−8.0%であり、4、5月のみの減少量は−9.0、−13、−18%であった。大気中のNOx、PM2.5濃度観測値地点平均値の減少量は、年間値でそれぞれ−6.8、−7.5%であり、4、5月で−13、−11%であった。COVID-19パンデミック時の行動制限により活動量が減少し、それに伴いNOx、PM2.5排出量と大気中濃度が減少していることが示唆された。

  • 坂本 祥一, 熊谷 貴美代, 田子 博
    2023 年 58 巻 6 号 p. 99-108
    発行日: 2023/11/07
    公開日: 2023/11/07
    ジャーナル フリー

    2022年6月末に関東地域で発生した光化学オキシダント(Ox)高濃度事象の期間において、群馬県前橋市で日中の時間分解能を上げた揮発性有機化合物(VOC)調査を実施した。日中では日射が増加する正午頃にかけてアルカンや芳香族濃度は減少し、アルデヒド濃度は増加していく変動を連日示した。光化学反応によるアルカンや芳香族の消費とアルデヒドの生成による結果と考えられた。しかし、調査期間のうち日中も北西風であった日は、南東風であった日に比べOx濃度上昇は小さく、特に人為排出由来のアルカンや芳香族の濃度が相対的に低かった。夕方には南東風環境下でOx濃度が最も高くなり、同時にアルカン、芳香族、アルデヒドの濃度は上昇した。これは南関東で排出された高濃度の人為起源VOCを含む気塊が、移流過程で光化学反応によってOxを生成し、さらに消費しきれなかったVOCを含む気塊が到達した結果と考えられた。関東内陸部におけるOx高濃度を低減するためには関東広域でのVOC対策が重要であると考えられた。

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