大気環境学会誌
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42 巻, 4 号
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  • 竹内 浄, 井上 俊明
    2007 年 42 巻 4 号 p. 209-218
    発行日: 2007/08/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    無機粒子に限定した二次生成粒子の挙動を調べるために, 2006年4月の川崎市においてSPMの高濃度が観測された日を対象として, 測定局に設置されたSPM自動計測器のテープろ紙について水溶性成分濃度を分析した。各成分間の関係, 測定局で同時に測定されたガス濃度, 気象状況及び後方流跡線解析の結果から, Case I (4月12日から13日) 及び II (4月18日から19日) における二次生成粒子の発生及び移流の可能性について考察した。Case Iでは, SPM高濃度時において, NO3-濃度が上昇し, Cl-濃度が減少していたことが分かった。この結果から, 高湿度下において, 主としてHNO3ガスの凝集及び海塩粒子への凝縮による二次生成粒子の発生が, SPMの高濃度の一因と考えられた。Case IIでは, SPM高濃度時において, SO42-及びCa2+濃度が上昇しており, 後方流跡線解析の結果からは大気塊が中国大陸から日本の関東地方へ流入していることが分かった。この結果から, 中国大陸から移流した黄砂が, SPMの高濃度に寄与したと考えられた。また, これらの結果から, テープろ紙の分析結果及び周辺データの活用によって, 二次生成粒子の発生及び移流を推測できることを明らかにした。
  • 佐々木 寛介, 坂本 和彦
    2007 年 42 巻 4 号 p. 219-233
    発行日: 2007/08/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    関西地域の4地点において, 63成分の揮発性有機化合物 (VOC) の定量を四季 (各季5日間) のサンプルについて実施した。その結果, 同一地点, 同一季節においても, VOCの濃度レベル, 組成は日によって大きく変動しうることが示唆された。また, VOCの組成は季節により変化し, 夏季は炭素数が4~5の脂肪族炭化水素, 冬季は炭素数が3以下の低級炭化水素の割合が相対的に高かった。春季および秋季については, 概ね夏季と冬季の中間的な組成を示した。なお, 測定したVOC濃度の総和 (T_VOC) と常時大気監視局で測定された非メタン炭化水素 (NMHC) 濃度との比 (T VOC/NMHC) は, 四季の平均でおよそ0.5であった。また, 大気中におけるオキシダント生成の観点からVOC各成分の濃度とOHラジカルとの反応速度定数の積を指標とした場合, エチレン, プロピレン, ブテンなどのアルケン類や, トルエン, キシレンが重要であることが示唆された。また, 夏季においては自然起源と考えられるイソプレンについても, 大気中での反応性の観点からは重要な役割を示すものと考えられた。さらに, 本調査で得られたVOCの成分別環境濃度を用いてCMB解析を行なったところ, 四季を通じて, ガソリン蒸気, ガソリン自動車排ガスが主要な発生源として寄与している可能性が示唆された。
  • 速水 洋
    2007 年 42 巻 4 号 p. 234-252
    発行日: 2007/08/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    首都圏を対象に, 原因物質の排出量抑制にともなう二次生成無機粒子 (SIA) の濃度の変化を, 数値シミュレーションにより調べた。シミュレーション計算に先立ち, 使用する数値モデルが観測されたSIA成分の濃度を精度よく再現することを確認した。計算の結果, SIAの長期平均濃度と短期高濃度は排出量抑制にともなって減少し, 排出量抑制がある程度有効なことがわかった。濃度の減少は夏季に顕著であったが, 冬季の濃度はむしろ増大する場合がみられた。こうしたSIA濃度の変化は, おもにNO3-濃度の変動によりもたらされていた。
  • 谷川 昇, 古市 徹, 石井 一英, 小田 希美子
    2007 年 42 巻 4 号 p. 253-259
    発行日: 2007/08/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    試料吸引タイプの単光束型赤外線吸収方式一酸化二窒素 (N2O) 自動計測器と試料非吸引タイプのオープンパス型N2O自動計測器によって, それぞれオープン型とクローズドシステム型の一般廃棄物最終処分場の大気中のN2O濃度を連続測定し, 埋立ガス中のN2Oが大気中N2O濃度に及ぼす影響を検討した。
    オープン型最終処分場の大気中N2O濃度は, 風速が約1~2m/s以上の場合には0.30~0.33ppmの通常の都市大気濃度の範囲であったが, 風速が1m/s未満の微風または無風が継続する場合には上昇しており, 埋立ガス中のN2Oが大気中N2O濃度に影響を与えていることが認められた。
    オープンパス型N2O自動計測器によって, 小規模のクローズドシステム型最終処分場内のN2O濃度の大まかな変化を把握できることがわかった。また, 計測されたN2O濃度上昇速度から, 不燃ごみ等の破砕残渣を埋め立てている最終処分場における単位埋立面積当りのN2O発生速度は, 約60μg/m2・hと推定できた。
  • 岡本 眞一, 速水 洋
    2007 年 42 巻 4 号 p. A23-A33
    発行日: 2007/08/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大気質モデルとは, 大気中に放出される物質の放出量と環境濃度の関係を数式等で記述した模型 (モデル) であり, コンピュータの利用を前提とした今日では, 環境中での濃度あるいは沈着量などを予測するためのソフトウェアとほぼ同義であるといえる。最近の大気質モデルは, 各物理・化学過程を精緻に表現 (モデル化) するため全体として巨大化する傾向にある。加えて開発・更新のスピードも速く, モデルは “作るもの” から “使うもの” になりつつある。また, こうしたモデルは行政での使用も考慮しており, ユーザーのすそ野は広がりつつある。モデルを適用するにあたっては, 当然ながら事前にその精度を確認しておく必要がある。そのため今後は, 性能評価の機会も増大すると考えられる。
    性能評価の方法は, すでに多数提案されている。大気環境学会の都市大気環境モデリング分科会では, まずこれらを整理し, 最近の動向を把握することに努めてきた。その成果の一部を解説としてここに報告する。
    本解説は二部構成とし, 第I部では「拡散モデルに関する動向」として拡散モデルに関する性能評価をめぐる動向を, 第II部では「都市・広域モデルの性能評価」としてオゾンや粒子状物質の濃度予測に使用される大気質モデルの性能評価について解説する。
  • 鈴木 基雄
    2007 年 42 巻 4 号 p. A34-A49
    発行日: 2007/08/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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