大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
58 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
研究論文(原著論文)
  • 松本 淳, 加藤 俊吾
    2023 年 58 巻 2 号 p. 47-58
    発行日: 2023/02/24
    公開日: 2023/02/24
    ジャーナル フリー

    生物起源揮発性有機化合物BVOCsを包括把握するために、独自のオゾン反応性全量RO3測定装置を汎用化し、枝エンクロージャーBEと組み合わせた植物放出試料測定系BE/RO3を構築した。装置の定量限界はRO3=1.7×10−5 s−1(300 s積算、S/N=3)、放出係数で3.6×10−7 s−2(たとえば0.03 m2の葉を測る場合はイソプレン放出4.4 nmol m−2 s−1相当)を得た。次に、屋外に設置した植物苗から放出されるBVOCsのRO3定量試験を夏期に50日間連続で実施し、BE/RO3の実用性を確認した。イソプレン放出樹種であるコナラを測った結果、日射と温度が高い昼頃をピークとするRO3の日変化を捕捉した。顕著な高温日には、昼前の早い時間からBVOCs放出が増大する様子も捉えた。RO3の相対変動は、温度上昇に伴い増加しつつ顕著な高温域で減少に転じるなど、温度と光量に基づくイソプレン放出量推定モデルG93と大枠で整合した。個別成分測定にてRO3の内訳を調べたところ、イソプレンと同程度の個別未測定成分の寄与が示された。コナラ放出試料RO3の温度依存性から温度係数β=0.12 K−1が得られ、以前の森林大気観測(0.23 K−1)ではイソプレン放出樹種のほかβの大きいモノテルペン放出樹種も複合して寄与したと推測された。

資料
入門講座
feedback
Top