大気環境学会誌
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35 巻, 1 号
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  • 石井 康一郎, 飯田 靖雄
    2000 年35 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    東京都内において窒素酸化物 (NOx=NO+NO2) 排出量の寄与が大きいディーゼル車の二酸化窒素 (NO2) 排出特性に関する研究を行った。直噴式ディーゼルエンジンを搭載したトラック (積載量4トン, 試験時の等価慣性重量5, 855kg) をシャシダイナモメーター上で試験し, CVS (Constant Volume Sampling) 法により希釈された排気ガス中のNOxおよびNO濃度を測定した。それらの濃度からモーダルマスダイリュート法により, NOxおよびNO排出量を求め, その差からNO2排出量を算出した。定速走行条件におけるNO2/NOx (v/v) 比率は, アイドリング時: 31%, 20km/h走行時: 26%, 40km/h走行時: 22%, 60km/h走行時: 25%および80km/h走行時: 17%であった。また, M-15走行モード試験のデータから, NO2/NOx (v/v) 比率は加速時に11~21%, 減速時に50-60%の値が得られた。東京都実走行パターンNo.2 (平均車速: 8.1km/h), No.5 (平均車速: 18.2km/h) およびNo.8 (平均車速: 28.8km/h) におけるNO2排出量およびトータルのNO2/NOx (v/v) 比率は, それぞれ1.23g/kmと24%, 0.69g/kmと20%, 0.52g/kmと18%であった。実走行パターンでは, 加速走行時に排出されるNO2量が他の3つの走行モードの排出量に比べ大きかった。
  • 沖永 希世, 高橋 千太郎, 津越 敬寿, 工藤 善之, 古谷 圭一, 荒木 庸一
    2000 年35 巻1 号 p. 12-20
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    地下生活環境における空気質の特性に関する知見を得るために, 東京都の営団地下鉄銀座線の駅構内における空気中浮遊粒子状物質の質量濃度, 化学組成, 並びに粒子径分布について検討した。ダストカウンターによって測定されたSPMの質量濃度の近似値は, おおむね0.06-0.12mg/m3であり, いずれの駅でもビル管理法の基準値を下回る結果であった。地下鉄駅構内SPMの大気質量濃度の近似値には各駅ごとに顕著な変動が見られたが, その変動パターンは測定日にかかわらず比較的一定であった。一方, 地下鉄駅近傍の地上部分の質量濃度には駅間の変動が認められず, 各駅間でみられた質量濃度の差は, 換気状態や空調システムといった各駅固有の要因によるものと推察された。SPMの粒子径分布の特徴は粒径範囲0.3-0.5μmの相対濃度が測定したすべての駅構内で近傍の地上より低い値を示した。一方, 粒径範囲0.5-1.0, 1.0-3.0μmのSPMの相対濃度は駅構内の方が近傍の地上より高い値を示した。すでに大規模な地下街においても, 同様な傾向が見いだされており, 一般的な地下空間におけるSPMの粒子径分布の特徴と考えられた。駅構内で捕集されたSPMは, SEM-EDXおよび蛍光X線分析により地上で採取されたSPMに比べて相対的に金属ヒューム状粒子が多く, その主成分として鉄が多く含まれていることが示された。
  • 雲内変質過程を考慮した長距離輸送モデルの開発と評価
    山本 浩平, 吉田 知央, 荒木 真, 星野 順至, 笠原 三紀夫
    2000 年35 巻1 号 p. 21-35
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    東アジア地域における硫黄化合物の挙動解明, 沈着量評価を目的として長距離輸送モデルを開発した。本モデルは, 大気中における諸過程について, 観測された気象データをパラメータとして記述することを基本としたものであり, 特に湿性沈着過程について, 物質の雲内への取ワ込み過程, 雲内洗浄過程, 雲底下洗浄過程のそれぞれについて, 雲内凝結水量の評価および雲内変質過程の詳細な検討によりモデル化した。また従来あまり考慮されてこなかった自然起源物質についてもモデルに取り込み, 60km×60km格子上における大気中濃度, 沈着フラックスを求めた。長距離輸送モデルの入力として, 風速場については東アジア地域の地形条件を考慮した客観解析法を用い, また発生源データについては新たに作成した自然・人為起源硫黄化合物排出量インベントり一を使用した。自然起源の硫黄化合物としては火山以外に海洋や土壌から放出されるジメチルサルファイド (DMS) と土壌や植物から放出される硫化水素 (H2S) を取り上げている。これを用いて硫黄化合物の日本における沈着量を求め, 更に実測データとの比較検討したところ, 結果はおおむね良好であり, モデルの実用性が確かめられた。
  • 米倉 哲志, 大嶋 香緒里, 服部 誠, 伊豆田 猛
    2000 年35 巻1 号 p. 36-50
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ダイズ (Glycine max (L.) Merr, 品種: エンレイ)の成長, 収量, 子実成分および発芽率に対するオゾンと水ストレスの単独および複合影響を調べた。自然光型ファイトトロン内に浄化空気を導入した浄化区と, 60nl・1-1のオゾンを毎日8時間 (9: 00-17: 00) 暴露したオゾン区を設け, 各ガス処理区において, pF1.8に保った土壌湿潤区とpF2.5に保った土壌水分ストレス区を設定し, 合計4処理区においてダイズを96日間にわたって育成した。
    オゾン処理によって, ダイズの栄養成長前期においては根, 葉および個体乾重量が減少したが, 栄養成長後期になると乾物成長に対するオゾン処理による影響は認められなかった。しかしながら, 最終的にはオゾン処理によって収量は低下した。また, オゾン処理は, 子実のMgおよびK濃度を増加させた。
    水ストレス処理はダイズの乾物成長に対して蓄積的に作用し, 生育段階が進むほど影響が顕著になり, 最終的に収量を低下させた。また, 水ストレス処理は, 子実の脂質含量やCaおよびMn濃度を低下させたが, Mg濃度を増加させた。
    オゾンと水ストレスの相殺的な複合影響は, 栄養成長前期の個体乾重量において発現した。また, 育成開始67日目における爽と実の乾重量, 収量構成要素である子実数と100粒重, 子実のタンパク質含量においても, 両ストレスによる相殺的な複合影響が認められた。これに対して, 栄養成長後期以降においてはオゾンと水ストレスは相加的に作用し, ダイズの成長と収量を著しく低下させた。
    各処理区で育成したダイズから採取した子実の発芽率は, オゾン処理によって有意に低下したが, 水ストレス処理および両ストレスの複合処理による有意な交互作用は認められなかった。
  • 高岡 昌輝, 武田 信生, 藤原 健史
    2000 年35 巻1 号 p. 51-62
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    本研究では, 模擬飛灰を用いて活性炭との複合作用を示す金属水銀除去に決定的な役割をもつ物質を同定するとともに, その物質の量的な影響および反応経路を含めた除去機構を解明することを目的に実験を行った。
    活性炭との複合作用は塩化カルシウム, 塩化第一鉄, 塩化亜鉛に見られた。温度160℃, 水分20%, 空気雰囲気下では, 塩化カルシウムに活性炭を5%混合することで, 金属水銀ガスの除去率は99%以上の高率を示した。金属水銀は主にオキシ塩化水銀として活性炭上に化学吸着されており, オキシクロリネーション反応が生じていることがわかった。活性炭と塩化カルシウムの混合物における金属水銀の除去機構は以下の経路を進行する化学吸着であると考えられた。
    金属水銀→酸化水銀→塩化第二水銀→オキシ塩化水銀活性炭, 塩化カルシウムの量的な影響をみるために, 活性炭, 塩化カルシウムと二酸化ケイ素からなる模擬飛灰を用いて実験を行った。活性炭の混合割合を5%と固定した場合, 塩化カルシウムは0.5%以上あれば, ほぼ100%の水銀除去率を示した.逆に, 塩化カルシウムの混合割合を1%と固定した場合, 活性炭は5-7%程度で最も除去率が高かった。また, 活性炭含有率が非常に小さければ, 模擬飛灰の水銀除去能は温度の影響を受けやすくなった。これらの現象は, 焼成飛灰と活性炭を用いた実験においても観察されることから, 実飛灰においても活性炭と塩化カルシウムとの複合作用が主たる除去機構であると推測された。
  • 気象学的構造における関東との差異
    吉門 洋, 魚崎 耕平
    2000 年35 巻1 号 p. 63-75
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    濃尾平野を中心とする愛知・岐阜両県の大気汚染データを用い, 1994-1996年度の3年分について気象データと合わせて高濃度解析を行った。他の主要な都市域と同様に, 長期的に高濃度が問題となっているのは浮遊粒子状物質 (SPM) および窒素酸化物 (NOおよびNO2) であり, 季節的には11-12月に集中するため, 解析はこの季節にしぼった。
    高濃度汚染に関与する気象学的構造を解明するため, SPM濃度が地域中で最も高いレベルにある名古屋市中心部の測定局を代表局として高濃度日 (日平均100μgm-3以上) 36日を抽出した。対象期間2か月×3年のうちの20%に当たるこれらの日の平均状況を調べた。代表局に対して周辺部の主要測定局の状況を比較すると, 名古屋から南南東方向に知多湾東岸に沿って延びる工業地域では同等の高濃度が出現し, しかも夕方から夜の最高濃度の出現は南へ行くほど遅い。この方角以外の局では濃度レベルがかなり低い。このような濃度分布とその変動は, 日中も弱い北西風が持続する傾向に加えて, 夕方以降の接地層の安定化とともに, 平野東方の丘陵地帯からの冷気流が成長し, 名古屋から南南東の上記帯状地域で北西風と収束することにより, 目立つものとなっている。
    これと比べ, 関東の場合は, 東京より内陸側に形成される広いよどみ域で高濃度が現れるのであり, 高濃度形成プロセスが全く異なっていることがわかった。
  • 玉置 元則
    2000 年35 巻1 号 p. A1-A11
    発行日: 2000/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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