ダイズ (
Glycine max (L.) Merr, 品種: エンレイ)の成長, 収量, 子実成分および発芽率に対するオゾンと水ストレスの単独および複合影響を調べた。自然光型ファイトトロン内に浄化空気を導入した浄化区と, 60nl・1
-1のオゾンを毎日8時間 (9: 00-17: 00) 暴露したオゾン区を設け, 各ガス処理区において, pF1.8に保った土壌湿潤区とpF2.5に保った土壌水分ストレス区を設定し, 合計4処理区においてダイズを96日間にわたって育成した。
オゾン処理によって, ダイズの栄養成長前期においては根, 葉および個体乾重量が減少したが, 栄養成長後期になると乾物成長に対するオゾン処理による影響は認められなかった。しかしながら, 最終的にはオゾン処理によって収量は低下した。また, オゾン処理は, 子実のMgおよびK濃度を増加させた。
水ストレス処理はダイズの乾物成長に対して蓄積的に作用し, 生育段階が進むほど影響が顕著になり, 最終的に収量を低下させた。また, 水ストレス処理は, 子実の脂質含量やCaおよびMn濃度を低下させたが, Mg濃度を増加させた。
オゾンと水ストレスの相殺的な複合影響は, 栄養成長前期の個体乾重量において発現した。また, 育成開始67日目における爽と実の乾重量, 収量構成要素である子実数と100粒重, 子実のタンパク質含量においても, 両ストレスによる相殺的な複合影響が認められた。これに対して, 栄養成長後期以降においてはオゾンと水ストレスは相加的に作用し, ダイズの成長と収量を著しく低下させた。
各処理区で育成したダイズから採取した子実の発芽率は, オゾン処理によって有意に低下したが, 水ストレス処理および両ストレスの複合処理による有意な交互作用は認められなかった。
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