図書館学会年報
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42 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論文
  • ─情報の評価スキルとしての役割─
    平久江 祐司
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 4 号 p. 181-198
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     様々な情報が発信される情報化社会では,適切な情報の選択やその効率的な利用に必要とされる思考力の育成が重要な問題となっている。米国の教育界では,思考力の育成や情報の利用に不可欠な能力として,批判的思考(critical thinking)に高い関心が寄せられている。批判的思考の育成は,こうした問題を解決する一つの方法として注目される。しかし,日本の教育では批判的に考えることにあまり関心が寄せられてこなかった。
     そこで,批判的思考の意義を考察し,それが情報の評価のスキル(技能)として応用できること,学ぶ力の中核となる能力であることを明らかにし,日本の学校図書館利用教育に批判的思考の概念を取り入れることが情報活用能力の育成に有効であることを示した。
  • ─1920年代から1950年代までを中心に─
    大庭 一郎
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 4 号 p. 199-215
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     筆者は,先の論文(大庭,1994)で,米国の公共図書館における専門的職務と非専門的職務の分離の基礎が,1920年代から1950年代にかけて確率されたことを明らかにした。本稿の目的は,同じ時期の米国の公共同書館の貸出業務を対象として,専門的職務と非専門的職務の分離の発展過程を解明することである。そのため,貸出業務の職務分離に関する32件の文献を収集し,貸出業務に関する様々な変化を分析した。
     研究の結果,以下のことが明らかになった。
    1) 1939年のアメリカ図書館協会の職階制では,専門職も,貸出業務の経験をある程度積むまでは,貸出業務における非専門的職務を正規の仕事として担当した。
    2) 貸出業務における専門的職務と非専門的職務の分離の過程で,(1)貸出方式の改善と(2)貸出デスクの改善が行われた。
    3) 1930年代以降,専門職の監督の下で,非専門職も徐々に貸出業務を担当するようになった。
    4) 1950年代には,貸出業務の職務分離は,大規開な公共図書館では実現されたが,小規模な公共同書館では職員及び予算が少ないため困難であった。そのため,小規模な公共図書館では,専門的職務と非専門的職務の両方を担当する準専門職が配置されていた。
研究ノート
  • ─国立国会図書館における「対図書館サービス」の事例分析─
    柳 与志夫
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 4 号 p. 216-224
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     図書館業務及び図書館サービスへのマーケティング理論の適用については,欧米各国を中心に,理論・実践の両面において近年盛んに行われている。一方我が国では,専門図書館等を中心にその関心は高まりつつあるが,実際の図書館現場での計画的適用例はまだほとんど見当たらないと言っても過言ではない。しかし,そのことは,図書館のマーケティング「的」活動が皆無であることを意味するわけではない。
     本論は,今後の図書館現場への本格的マーケテイング導入の参考となることを目的に,「非意図的」に行われた図書館マーケティング的治動を分析し,その意義と問題点を明らかにしようと試みた。その事例としては,1986年に国立国会図書館で行われた「対図書館サービス」をとりあげた。
学会記事
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