(1) 昆虫のリボゾームを哺乳動物のリボゾームと比較し生物種による特異性をみようとして,カイコのリボゾームの性質を調べ検討した。
(2) カイコのリボゾームは大体において哺乳動物(ラット肝)のリボゾームと同様の性質を示していた。リボゾームのMg
++によるaggregatesの形成は顕著で,リボゾームの表面構造がバクテリアのリボゾームのそれとは大いに異っていることを示唆していた。
(3) カイコの蛹期のリボゾームの崩壊と形成を追跡して,幼虫時代の組織の崩壊とともにリボゾームもこわれ,新しい組織の形成は新しく作られたリボゾームで行なわれることが示唆された。すなわち,組織解離は細胞崩壊ばかりか,細胞構成成分まで低分子に分解する。
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