植物分類,地理
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29 巻, 6 号
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  • 増田 道夫
    原稿種別: 本文
    1978 年 29 巻 6 号 p. 149-156
    発行日: 1978/11/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    北海道大学探検部アリューシャン列島踏査隊によって採集された紅藻フチトリベニ属 Rhodophysema 二種について報告した.Rhodophysema elegans (C_<ROUAN> frat. ex J. A_G.) D_<IXON> には四分胞子体の他に雄性配偶体が確認され,本種の精子嚢形成について報じた.キクイシコンブ Thalassiophyllum clathrus の茎状部に着生していたものを新種 Rhodophysema nagaii M_<ASUDA>, sp. nov. として記載した.本種は千島列島の海藻を研究した故永井政次博士が Rhododermis parasitica B_<ATTERS> (和名,コブノハナ) としたものと同種であるが,真の R. parasitica (=Rhodophysema elegans) とは四分胞子嚢が長い柄細胞列を持つこと及び,側糸が長いことで異なる.これらの形質において, R. nagaii は R. africana J_<OHN> et L_<AWSON> 及び R. feldmannii C_<ABIOCH> に似ているが,種々の点で区別される.
  • 近田 文弘
    原稿種別: 本文
    1978 年 29 巻 6 号 p. 157-164
    発行日: 1978/11/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    サジラン属には熱帯アジアを中心におよそ35種が知られている.この属の分類学的位置については,ヒメウラボシ科,狭義のウラボシ科,イノモトソウ科などとの類縁関係が主張されたり,一属からなるサジラン科が提唱されているが,まだ定説はない.それは取りあげられた形質の評価が十分になされていないためと考えられる.筆者は問題となる形質を再評価することによってこの属の分類学的位置を明らかにしようと試み,胞子 (1971) と葉柄の関節 (1974a) についてはその結果を本誌に発表した.本報告ではこれらに加えて,根茎の維管束,脈理,表皮細胞,胞子嚢,胞子嚢群,鱗片の諸形質について再検討した結果を報告し,これに基づいてサジラン属の分類学的位置について論議した.表皮の紡錘形異形細胞,タキミシダ属に似る遊離小脈を含まない網状脈理及び gymnogrammoid coenosorus の存在,葉柄の関節の欠如等の形質を根拠に,C_<HING> (1940) は一属から成るサジラン科を提唱した.筆者の観察によれば,これらの形質はサジラン属で特徴的ではなかった.即ち表皮の異形細胞は観察されず,表皮はシダ植物に広く見られる一般的なものであること,脈理はウラボシ科に見られるものと同じ drynarioid 型で遊離小脈を含むこと,胞子嚢群はウラボシ科のイワヒトデ属に見られるものと同じ型のものであること,葉は根茎と関節することが示された.従って C_<HING> の主張は筆者の研究からは支持できないものである.一方,サジラン科を認める考えは,W_<ILSON> (1959) によっても提唱されている.彼はサジラン属の胞子嚢は柄の基部が一列の細胞から成ること,胞子嚢の開口部と環帯の間にある epistomium が5個の細胞から成ることで特異的なものであることを重視している.しかし筆者の観察ではそのような特異的な形質は認められず,サジラン属の胞子嚢はイワヒトデ属やホコザキウラボシ属と同様であった.サジラン属の分類に関しては C_<OPELAND> (1947, 1952, 1960) と H_<OLTTUM> (1940, 1954) を代表とする二つの相対立する考え方を検討する必要がある.前者はサジラン属の大部分の種が四面体型胞子を持ち,葉柄の関節が欠如することを重視してこの属をヒメウラボシ科のものと考えた.後者はこの属が根茎の維管束の構造,鱗片,脈理の形質においてイワヒトデ属と同様であり,かつ大部分の種が二面体型胞子を持つと主張してこの属をウラボシ科に入れた.ヒメウラボシ科は一般に小形であり,鱗片や葉には特異的な剛毛があること,多くの種の葉は根茎と関節しないこと,脈理は通常遊離で稀に単純な網目をつくるが,決して drynarioid 型のような複雑なものを作らないこと,四面体型の胞子を持つこと等でウラボシ科と区別される.筆者の観察に基づいて C_<OPELAND> と H_<OLTTUM> の主張を吟味すると,四面体型胞子を持つ種があることを除いてサジラン属の諸形質はウラボシ科のものと良く一致する.胞子の形質についてみても,すでに検討した (近田,1970) ように,サジラン属をウラボシ科に帰属させるという結論に重大な矛盾を提起するものではない.
  • 北村 四郎
    原稿種別: 本文
    1978 年 29 巻 6 号 p. 165-170
    発行日: 1978/11/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    キク属はこれまでは大きくまとめて,Chrysanthemum L. に包含していた.すなわち L_<INNE> はシュンギク,モクシュンギク,フランスギク,アキノコハマギク,シマカンキクなどをこの属に含めている.その後, B_<ENTHAM> と H_<OFFMANN> などもこの大きな見解をとり,私もこの見解を採用していた.今度は従来のキク属があまり大き過ぎるので,この属を分ける見解を採用した.リンネの Chrysanthemum L. (1753) はトールヌフォールの J. P. T_<OURNEFORT> の「植物分類原論」(1719) にある Chrysanthemum と Leucanthemum とを合一して,それに Chrysanthemum の名を用いたものである.トールヌフォールの Chrysanthemum はシュンギク C. coronorium L. やアラゲシュンギク C. segetum L. を含んでいる.これはディオスコリーデスが一世紀に書いた「薬物について」にある Chrysanthemon から引いたものである.この Chrysanthemon はシュンギクであるから Chrysanthemum の type はシュンギクである.シュンギクは雌花の花冠が黄色で,その痩果が3角柱有翼で,両性花の痩果は円柱形である.この特徴をもつものをシュンギク属 Chrysanthemum L. とする.リンネの Tanacetum L. (1753) はエゾヨモギギク T. vulgare L. が type である.エゾヨモギギクは頭花が小さくて多数あり,密散房状につく.雌花の花冠は筒状で先は3裂し,痩花は両性花のものと同様,5肋があり,先に短い冠がつく.痩花は粘質の細胞や樹脂道がなく,水にひたしても粘らない.Pyrethrum Z_<INN> (1757) では痩花に粘質の細胞と樹脂道があり,水につけると粘るので,T_<ZVELEV> は Tanacetum から区別している.Leucanthemum M_<ILLER> (1754) はフランスギク L. vulgare L_<AM> が Type である.痩花は雌花でも両性花でも冠がない.T_<ZVELEV> はこの点で Tanacetum から区別している.また,ミコシギクは Leucanthemella lineare (M_<ATSUM>.) T_<ZVELEV> とした.モクシュンギク属 Argyranthemum W_<EBB> ex S_<CH>.-B_<IP>. はモクシュンギク A. frutescens (L.) S_<CHULTS> B_<IPONTINUS> が Type である.モクシュンギクは多年生で低木状となる.雌花は広い3翼があり,膜質の冠がある.両性花の果実はやや扁平で狭翼が一つあり,膜質の裂けた冠がある.これはシュンギクとは多年生であること,舌状花冠が白いのでちがうが,近縁であって,交配すると雑種ができ,舌状花冠の黄色のものが広く栽培されている.キク属 Dendranthema (DC.) D_<ES> M_<OUL>. (1855) はキク D. grandiflorum (R_<AMAT>.) K_<ITAMURA> を type として設けられた属である.はじめデカンドールは Pyrethrum の sect. Dendranthema とし,シマカンギクとキクとを入れている.舌状花が多列となり,その間に膜質の苞が入ることを特徴としているから,キクが type である.茎が木質だとするがキクは草である.Dendranthema は木の花の意である.節だから Dendranthemum の複数形にしたのだから,属では Dendranthemum とした方がよかった.この属の性については,Des M_<OULINS> は D. indicum (中性) と D. sinensis (女性または男性) として混乱しているが,T_<ZVELEV> は中性とした.キクの学名は Dendranthema grandiflorum (R_<AMAT>.) K_<ITAMURA> となる.Anthemis grandiflorum R_<AMATUELLE> が1792年に発表され,これが最も古い種名である.R_<AMATUELLE> はもし Chrysanthemum に入れるなら Chrysanthemum morifolium R_<AMAT>. とすべきであるとしているから,これは nom. prov. で採用できない.キク属は多年草で,痩花は横断面が円柱形で下端は狭まり,上端は切形で冠はない.舌状花が発達するものと発達しないものとがあり,この間きわめて近縁で,よく交配する.多くは葉裏にT字状毛がある.痩花は水にひたすと粘る.ハマギク属は多年生で低木.雌花の痩花は鈍三角柱で少し扁平でやや曲り,両性花の痩花より小さく短い冠をもつ.両性花の痩花は細い円柱形で10肋があり,先に切れこんだ冠をもつ.
  • 北村 四郎
    原稿種別: 本文
    1978 年 29 巻 6 号 p. 170-
    発行日: 1978/11/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 小山 博滋
    原稿種別: 本文
    1978 年 29 巻 6 号 p. 171-178
    発行日: 1978/11/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • J.F. VELDKAMP
    原稿種別: Article
    1978 年 29 巻 6 号 p. 178-
    発行日: 1978/11/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 福岡 誠行
    原稿種別: 本文
    1978 年 29 巻 6 号 p. 179-185
    発行日: 1978/11/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    フタバムグラ,ケニオイグサ,ソナレムグラ,ハシカグサなどフタバムグラ属の9種について花の内部形態を調べた.フタバムグラ属の子房は2室で,胎座が大きくふくらみ細い柄で隔壁とつながっていて,その表面に小さい胚珠を多数つける.しかし子房室中の種子数が 1〜6 個など比較的少い種のあることが報告されていて,フタバムグラ属の定義が不明瞭となっている.今回3種について再検討したが,従来の報告によりはるかに多い種子をもっていた.子房頂端部の花盤は図8-E のように著しく発達するものから,図10-A のように全く盛り上りのみられないものまである.しかし外部形態的に花盤が認めにくい場合でも,図7-G や10-A のように子房頂端部で分散する管束が観察される.まだ断定的なことはいえないが,花盤が二次的に退化することがあると思われる.花の管束走行は図10のようになっている.子房周辺部において,がく,花冠,雄ずい,花柱へ入る管束は,図10-E の点線でつないだように,互いに合着し,さらに花盤へ分散する管束が合流し,図10-B〜D のようになっている.がくは1管束性で,花柱へは心皮の背側管束が入る.胎座へ入った管束は細かく分裂し各胚珠へ入る.
  • 石田 志朗
    原稿種別: 本文
    1978 年 29 巻 6 号 p. 186-197
    発行日: 1978/11/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 岩槻 邦男
    原稿種別: Article
    1978 年 29 巻 6 号 p. 197-
    発行日: 1978/11/30
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
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