植物分類,地理
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41 巻, 4-6 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 朴 宰弘, 河野 昭一
    原稿種別: 本文
    1990 年 41 巻 4-6 号 p. 109-128
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ニガナ属(キク科タンポポ連)に近縁とされるアゼトウナ属Crepidiastrum並びにヤクシソウ属Paraixerisの植物について,そう果の解剖学的形質並びに染色体数,核型の綿密な比較研究を行った。これら両属に属する植物はいずれも染色体の基本数はx=5,休止核の形態,prochromosome typeで基本核型は同一であること,さらに両群ともに翼をもったそう果をもつことから,これら両属の植物はニガナ属とは独立したグループを構成するが,タンポポ連の中では最も近縁な位置を占めると考えられる。さらに,今回得られた結果を綜合すると,ヤクシソム属はアゼトウナ属の一つの節として取扱うのが妥当であるとの結論に達した。命名上の問題は次報(Pak and Kawano, 1991 in press)で詳細に論ずることとする。
  • 秋山 弘之
    原稿種別: 本文
    1990 年 41 巻 4-6 号 p. 129-142
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    東部マレシア地域に位置するインドネシア領セラム島・アンボン島に産する蘚類のうち,ヒノキゴケ科,シバゴケ科,ヒムロゴケ科,トラキローマ科およびカクレゴケ科について報告した。このうちトラキローマ科,カクレゴケ科は従来の分類体系ではヒムロゴケ科の一部として扱われることが多い。又,日本のヒノキゴケが属するヒノキゴケ属Phrrhobryumは従来Rhizogonium属に含められていたものである。狭い意味でのRhizogoniumは,はっきりとした二列葉序をもち,一見チョウチンゴケ属のような植物で,日本には産しない。我々の調査によって,両島にはヒノキゴケ科が4属6種,シバゴケ科2属4種,ヒムロゴケ科6属8種,トラキローマ科1属1種,カクレゴケ科1属8種あることがわかった。両島あわせて四国程度大きさしかないことを考えると,この数字は小さいものではない。特定の地域から大量の標本を調べることは,広い地域からまんべんなく調べることともに,種内の変異を研究するために欠くことのできない手続きである。本文中に述べたように,今回の調査でもRacopilum spectabile, R. cuspidigerum等,変異が大きいとして簡単にかたづけられることの多い種において,生育環境と結びついた「型」が認められることがわかった。今後東南アジア地域のフロラを研究するに際しては,広い視野をもつとともに,特定の地域における変異をしっかり認識していくことが重要になるはずである。
  • 後藤 敏一
    原稿種別: 本文
    1990 年 41 巻 4-6 号 p. 143-154
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    汽水湖沼,宍道湖・中海水系よりMastogloia属の珪藻を記載した。本水系からはMastogloia exigua LEWIS, M. pumila (GRUN.) CL.の2種が観察された。M. exiguaの個体変異幅は大きく,特に蓋殻の中心域の形態,側線(lateral line)の発達の程度の変異は著しい。一般に,大型の蓋殻の中心域は蝶型であり,小型の蓋殻では横に広い長方形である。側線の発達は大型の蓋殻ほど著しく,側線を有しない蓋殻も観察された。この種は1つの区画輪(partectal ring)に8から12個の区画(partectum)を有するが,区画列の両端の区画のみ常に他より小さい。M. paludium VOIGT, M. pseudexigua CHOLN., M. pumila var. lanceolata FRENG.は共にM. exiguaの変異に含まれることから,これらをM. exiguaのシノニムとした。M. pumilaはM. exiguaと蓋殻の形において類似するが,側線の構造,区画の配列様式の点で異なる。M. pumilaの個体のおよそ58%に蓋殻の異極性が認められた。蓋殻の異極性を有するMastogloia属の3種が知られている。こられでは蓋殻の形と区画の配列の両者において異極性が認められるが,本標本では単に蓋殻の形のみ異極性が見られた。両者の分布は中海の北西部に限られた。
  • 加藤 雅啓, クラマー K.U.
    原稿種別: 本文
    1990 年 41 巻 4-6 号 p. 155-168
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    1983年から1986年にかけて実施したセラム島・アンボン島(モルッカ諸島)の植物調査で収集した標本に基づく両島のシダ植物に関する研究の第6報である。本稿ではイノモトソウ科のミミモチシダ属とイノモトソウ属を扱った。前者は1種,後者は23種を含む。Pt. zippelliiは植物全体に毛状の鱗片が密生する。モエジマシダに近縁な種で石灰岩壁に着生する。Pt. moluccanaとPt. papuanaは外見がヒリョウシダに似て,葉が2mをこえる大型のシダである。両種は互によく似ていて,採集中は2種を採っているとは気づかなかったほどであるが,Pt. moluccanaの羽片基部が切形であるのに対し,Pt. papuanaでは楔形であるので容易に区別できる。形態が面白いのがPt. warburgiiである。葉は基部で1回羽状複葉になるが中・上部は深裂する程度で,葉脈も多角形の網目からなる網状脈であるのでヘラシダ属のジャコウシダに似ている。Pt. schlechteriの葉はナチシダ的な掌状葉であるが,羽片の先端近くに不定芽がつく点で,イノモトソウ属の中では特異である。本稿では3新種,1新亜種を記載した。Pt. tarandusは葉が著しい2型を示し,石灰岩上に着生する。Pt. mertensioides subsp. polylepisはオオバノハチジョウシダに葉の感じが似た種の亜種で,葉柄に鱗片が密生することで識別される。Pt. lepidopodaはナチシダ類の1種であるが,褐色(生時は白色)鱗片が密生し,葉軸がいぼ状突起のためにごつごつしているのが特徴である。山地斜面のやや明るい林下に生える。Pt. pediformisはナチシダに近いPt. tripartitaに非常によく似た種で中部マレシアに比較的広く分布しながら,Pt. tripartitaと混同されてきた。この種とは小羽片の切れ込みが浅く,側糸が数細胞からなる点で区別できる。日本にも分布する種としては,モエジマシダ,ホコシダ,オオアマクサシダ,オオバノハチジョウシダの広分布種があげられる。そのうち,モエジマシダはしばしば川床の岩上に生えていた。
  • 北村 四郎
    原稿種別: 本文
    1990 年 41 巻 4-6 号 p. 169-187
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    This is the continuation of Compositae asiaticae 3 in Acta Phytotax. Geobot. 41: 77-92 (1990). In this report, the writer treats mainly Ainsliaea, Carpesium, Cirsium, Dendranthema, etc. It is interesting that Cirsium japonicum, Leontopodium japonicum and Saussurea japonica are not yet found in Yunnan, while they are found in the middle and the north China and eastern to Japan. Such species are numerous, though there are many species common to Yunnan and Japan. Between Yunnan, Western Szechwan, Western Kweichow and Eastern Szechwan, Easter Kweichow, there is a botanical distributional border, as already known. This border is recognized also in this report.
  • 北川 尚史
    原稿種別: 本文
    1990 年 41 巻 4-6 号 p. 188-
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 山本 功人, 角野 康郎
    原稿種別: 本文
    1990 年 41 巻 4-6 号 p. 189-200
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    Life cycle of six species of Utricularia was studied in the Kinki District, southwestern Japan, with special reference to their reproductive biology. Field observations and some pollination experiments revealed that failure of sexual reproduction or development of inbreeding system seemed to be widespread in aquatic Utricularia species. The fruits did not develop in U. vulgaris var. japonica because of abnormal formation of embryo sac and high percentage of abortive pollen. U.tenuicaulis was proved to be an out-breeder, but the seed set was not good in field probably due to the absence of effective pollinators. In addition, male sterility occurred in some populations of the species, resulting in a failure of sexual reproduction. In U. minor flowering was not observed during the study period. U. dimorphantha had cleistogamous (CL) as well as chasmogamous (CH) flowers and CL flowers played much greater role in its speed production than CH flowers. The populations of above four species were maintained vegetatively by turions. To the contrary, U. aurea and U. exoleta, both of which did not have turions as a means of vegetative reproduction, were shown to produce seeds efficiently by self-pollination. The position of their stigma and anthers facing to each other at dehiscence promoted the self-pollination.
  • 森本 範正
    原稿種別: 本文
    1990 年 41 巻 4-6 号 p. 201-202
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 田村 実
    原稿種別: 本文
    1990 年 41 巻 4-6 号 p. 202-
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
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