植物分類,地理
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51 巻, 1 号
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  • 岡田 博, 森 康子
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    インドネシア東カリマンタンおよび西カリマンタンからサトイモ科の3新種,Aridarum incavatum, Bucephalandra magnifolia, Hottarum brevipedunculatumを記載した。これらは全て渓流沿い植物である。体細胞染色体数はいずれも2n=26であった。
  • SANDIP KUMAR BASAK, G. G. MAITI
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    東ヒマラヤよりサクラソウ科サクラソウ属Chartaceaの節の1新種,Primula arunachalensis Basak and Maitiを図を付して記載した。また,この新種の花粉の形態についても報告した。
  • 佐野 亮輔, 伊藤 元己, 栗田 子郎, 長谷部 光泰
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ジャコウシダ(Diplazium formosanum)は,メシダ亜科メシダ連において稀にしか見られない網状脈を持つ。網状脈と特徴的な多細胞毛の形質をもとにDictyodromaという属として扱われる一方,網状脈を持つイワヤシダ属Diplaziopsisやノコギリシダ属Diplaziumの中で網状脈を持つ種との類縁関係が示唆されてきた。しかし,著者らによるrbcL遺伝子の塩基配列による分子系統解析から,この種はオオシケシダ属Depariaに含まれるという結果が示された(佐野ほか,2000)。この系統関係はジャコウシダが,有節の多細胞毛や羽軸の溝と中軸の溝との不連続性といった,オオシケシダ属の指標形質を持つことから支持される。また染色体の基本数がイワヤシダ属やノコギリシダ属にみられる41ではなくオオシケシダ属にみられる40であること,胞子の表面形態,中軸の溝の横断面での形状がノコギリシダ属とは異なりオオシケシダ属に似ていること,といった点もジャコウシダがオオシケシダ属に含まれるというrbcL遺伝子の結果を支持している。以上よりジャコウシダは網状脈という形質を獲得したオオシケシダ属の1種であると判断し,その学名をDeparia formosana (Rosenst.) R. Sanoに変更する。また,ジャコウシダと共にDictyodromaとして扱われる近縁3種に対しても,同様にDepariaへの新組合せを提案する。
  • 山城 朝美, 兼本 正, 傳田 哲郎, 横田 昌嗣
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    沖縄島の固有種クニガミサンショウズルの染色体数について詳細な調査をおこなった結果,染色体数2n=16,26,38,39,52の5つのサイトタイプが確認された。このうち,2n=26以外の染色体数は初めての報告である。2n=16の染色体数を持つサイトタイプの起源は明らかではないが,残り4つのサイトタイプは,それぞれ,x=13に基づく二倍体,低数性三倍体,三倍体,四倍体であると思われる。5つのサイトタイプの中では二倍体が最も多く,分布域全体を通して高頻度で出現した。一方,倍数体は比較的稀で,二倍体の分布域の中に散在的に出現した。二倍体と倍数体は同所的に生育しており,両者の生育環境に顕著な違いは見られなかった。また,二倍体と倍数体の間に形態的差が認められないこと,クニガミサンショウズルが近縁種から地理的に隔離されていることなどから,クニガミ,サンショウズルの倍数体は同質倍数体ではないかと思われる。
  • 荒木 悟
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    国内のタヌキモは、タヌキモ(狭義)とイヌタヌキモに分けられ、それぞれ独立種として扱われるか、あるいはイヌタヌキモはタヌキモ(広義)の一品種として扱われている。両者は花茎と殖芽以外の形態では酷似し、しばしば混同されてきた。本研究では、各地の集団について酵素多型分析をおこない、両者で異なる電気泳勳パターンを示す酵素を探索した。3酵素種について明瞭なパターンが得られ、このうちADHとPGIが両者の間で明瞭な違いを示した。ADHのバンド数が3ならタヌキモ(狭義)、1ならイヌタヌキモ、PGIで2.1〜3.2cmの泳動距離を持つバンドがあればタヌキモ、なければイヌタヌキモである。これらは殖芽等がない場合に両者の識別に利用できる可能性がある。
  • 孫 強, 鈴木 三男
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 37-55
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    琉球列島から九州にかけては熱帯性のマングローブ樹木がもっとも高緯度まで生育している地域のひとつで,太平洋における分布北限地となっている。しかし,日本産の試料に基づいた木材構造の報告はこれまでにない。本研究ではこれらのマングローブ樹木の木材構造を記載し,同一種の熱帯域の標本に基づいた記載と比較して高緯度への適応形態を明らかにすることを試みた。材料は沖縄県西表島産のオヒルギBruguiera gymnorrhiza(ヒルギ科),ヤエヤマヒルギRhizophora stylosa(ヒルギ科),メヒルギKandelia candel(ヒルギ科),マヤプシキSonneratia alba(ハマザクロ科),ヒルギダマシAvicennia marina(ヒルギダマシ科)の5種で,いずれも自生地で幹の部分の円盤を切り取り,切片を作成するとともに組織を解離して光学顕微鏡で観察,計測した。その結果,我々の試料は熱帯域の標本で記載された木材構造とは,次の3つの点で異なっていた。第1に,オヒルギの太くて極端に短い道管要素,ヤエヤマヒルギの道管状仮道管,メヒルギの隔壁木繊維,マヤプシキの異形放射組織,ヒルギダマシの厚壁組織の微細構造など,これまでの報告には記載されていない構造が明らかになった。第2に,オヒルギの道管-柔細胞間壁孔,ヤエヤマヒルギの道管配列,メヒルギのゼラチン繊維,マヤプシキの道管穿孔,ヒルギダマシの隔壁木繊維などについての我々の観察結果はこれまでに記載されたものとは異なっていた。第3に,西表島の試料では既報告に比べて総体的に道管要素及び繊維が短く,道管直径が大きくなるなど,形質に数量的な違いが認められた。このような定性的及び定量的な形質の違いの原因は,ひとつにはこれまでの報告の記載内容が不十分であることに基づくものであり,他方には日本のマングローブ樹木が緯度の高い地域へ適応した形態を持っていることによる考えられた。
  • 小林 禧樹, 邑田 仁, 渡辺 邦秋
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 57-66
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ナガバマムシグサ群内の5分類群に属する,西日本の10集団及び関東地方の1集団,併せて356個体について,雌雄株に分けて小葉数,花梗,葉柄及び偽茎の長さを計測し,また8集団の45個体について子房あたりの胚珠数を算定し,次のことを明らかにした。1)タカハシテンナンショウの雌個体を除き,小葉数と葉柄に対する花梗の長さの比はこの研究で採用した分類群のまとまりと最もよく対応しており,分類群内では有意な差がなく,分類群間で有意な差を示した。2)1子房あたりの胚珠数は調べたどの集団においても11.2以上であり,ナガバマムシグサ群が10.5以上の胚珠数で特徴づけられるとする邑田(1986)の結論を支持するものであった。3)タカハシテンナンショウは性転換に際して葉柄に対する花梗の長さの比が特に著しく増大する。また,子房あたりの胚珠数を除き,調査した形質や染色体数でナガバマムシグサ群の他の分類群とは明確に異なる。4)タカハシテンナンショウ以外の4分類群は仏炎苞の口部が耳状に張り出すかどうかで容易に2群に分けられる。一方は口部が耳状に張り出すミミガタテンナンショウ(オキノシマテンナンショウを含む)であり,もう一方は,ハリママムシグサとヨシナガマムシグサを含む。本研究によりハリママムシグサとヨシナガマムシグサの間では小葉数や葉柄に対する花梗の長さの比の変異域がほとんど重ならないことが示された。従ってハリママムシグサは明確に識別できる分類群である。一方,ヨシナガマムシグサは,東日本のナガバマムシグサ,ハウチワテンナンショウ,ヒガンマムシグサと似ており,今後,これら東日本の集団の形態変異について詳細に検討する必要がある。
  • WONGSATIT CHUAKUL, PROMJIT SARALAMP
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 67-98
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    Chaiyaphum県Phu Khieoで利用されている薬用植物について薬草商からの聞き取り調査,植物標本採集,同定,および農業省農業局植物・雑草科学部植物課(BK)と農業省森林局(BKF)の2つの標本館に収蔵されている標本との比較によって調べた。その結果254種の薬用植物を同定した。21種は栽培植物で,233種は野生植物であった。その内訳は双子葉植物:209種,単子葉植物:36種,裸子植物:4種,シダ植物:4種,地衣類:1種であった。マメ科植物が最も多かった(36種)。23種はすでにタイの文献に伝統的に医薬として利用されている報告があるが,84種は今回初めて薬用植物として記録した。
  • 瀬尾 明弘, 堀田 満
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 99-116
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    九州南部・琉球列島地域のボタンボウフウ(広義)の外部形態(茎の直径と長さ,花茎長,植物体の高さ)と生態特性(開花期間,繁殖様式)の地理的変異を明らかにして,分類学的再検討を行った。その結果,3つにタイプわけできた。i)植物体の高さは100cmほどで秋に開花をし,多回結実性の植物を多く含む集団群,ii)植物体は150cmを超え,主に夏に開花をし,一回結実性の植物のみからなる集団群,iii)植物体の高さは約100cmで,夏に開花し,多回結実性植物を含む集団群。これらの集団群は地理的にもまとまりを示し,最初のタイプは九州西部から北に,二番目のタイプは九州南部からトカラ列島(宝島を除く)まで分布しそれらはボタンボウフウ(狭義),コダチボタンボウフウに一致している。三番目のタイプは宝島,奄美大島以南によくみられ,それをナンゴクボタンボウフウと呼ぶことを提案する。
  • 大場 達之, 上野 達也
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 117-118
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 中尾 茂樹, 迫田 昌宏
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 118-120
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 冨永 明良, 藤井 伸二
    原稿種別: 本文
    2000 年 51 巻 1 号 p. 121-122
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 索引
    2000 年 51 巻 1 号 p. 125-
    発行日: 2000/09/12
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
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