植物分類,地理
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49 巻, 2 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 岡田 博, 久保 さおり
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    日本産キツネノボタン類の交配様式を明らかにするために開花習性,交配実験,P/O比(花粉数と胚珠数の比)を比較した。花弁の開閉運動:キツネノボタン,コキツネノボタン,ケキツネノボタンの花弁は2-3日間,朝開き夕方閉じた。オトコゼリは1度開くとそのまま閉じることはなかった。雌雄生殖器官の成熟時期:キツネノボタンは雌雄同熟,コキツネノボタンとケキツネノボタンは雄性先熟,オトコゼリは雌性先熟であった。自家和合性:4種とも自家和合性を示した。交配様式:キツネノボタン,コキツネノボタン,ケキツネノボタンは主に自家受粉によって,オトコゼリは他家受粉によって種子ができた。この様に,互いに近縁な4種は有性生殖に関連した性質が分化していた。前3種においては自家受粉が生殖隔離を維持している1つの要因であることが考えられる。
  • 加藤 英寿, 荻沼 一男, ZHIJIAN GU, BARRY HAMMEL, 戸部 博
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 89-97
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    カバノキ科の全6属の系統関係を,特にまだ類縁が明らかにされていないOstryopsisを中心に粟緑体遺伝子matK(1260塩基)の解析により研究した。解析にはカバノキ科6属の他に,近縁と考えられているTicodendron(ティコデンドロン科)とモクマオウ属(モクマオウ科)も加え,ナンキョクブナ属(ナンキョクブナ科)を外群として最節約法により系統樹を作成した。その結果,1系統樹だけが得られ,6属からなるカバノキ科が100%ブートストラップ確率で支持される単系統群であること,カバノキ科はTicodendronと姉妹群であることが明らかにされた。また,カバノキ科は従来一般に考えれてきたようにハンノキ属とカバノキ属からなる群(カバノキ亜科)とシデ層,ハシバミ属,アサダ属,Ostryopsisの4属からなる群(ハシバミ亜科)に分けられことも明らかになった。しかし,ハシバミ亜科の属はシデ属とアサダ属からなるシデ連とハシバミ属とOstryopsisからなるハシバミ連に分けられ,これまで発表されてきた分岐分類による解析結果とは異なる結果が得られた。この結果に基づいて,ハシバミ亜科をシデ属とアサダ属からなるシデ連とハシバミ属とOstryopsisからなるハシバミ連に分類するFurlowの見解を支持した。また,二つの連それぞれの共有派生形質についても検討した。
  • 荻沼 一男, 加藤 英寿, 戸部 博
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 99-104
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ハシバミ属は約15種からなり,その基本染色体数はWoodworthが11種でn=14を報告して以来,これまでx=14と考えられてきた。しかし,Woodworth以後の研究ではほとんどの種についてそれとは異なる染色体数が報告されている。この研究では,これまで染色体数の観察が行われていなかったツノハシバミを含む3種の核形態を初めて明らかにすると共に,これまで本属で報告されている染色体数を再検討した。そこで,これまでの報告のレビューと新たに我々自身が3種について観察した結果から,ハシバミ属の染色体基本数はx=14ではなくx=11であると訂正することにした。また,matK遺伝子分析により得られたカバノキ科の系統関係から,属の染色体基本数の進化を検討した。ハシバミ属のx=11は固有派生形質であることが判った。
  • 荻沼 一男, ROBERT KIAPTRANIS, KIPIRO DAMAS, 戸部 博
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    パプアニューギニアにそのほとんどが自生する被子植物12科12属12種について,若い葉及び根端細胞を用いて調べた体細胞染色体の数と核型を報告する。このうち4属(Holochlamys, Lamiodendron, Sericolea, Eriandra)は固有層であり,調べた12種のうち10種については初めての報告である。染色体数は以下の通りである。Anisoptera thurifera(フタバガキ科)は2n=22,Carpodetus arboreus(カルポデツス科)は2n=30,Corynocarpus cribbianus(コリノカルプス科)は2n=44,Drypetes cf. bordenii(ハツバキ科)は2n=40,Eriandra fragrans(ヒメハギ科)は2n=28,Euroschinus papuanus(ウルシ科)は2n=48,Holochlamys beccarii(サトイモ科)は2n=30,Lamiodendron magnificum(ノウゼンカズラ科)は2n=48,Nothofagus grandis(ナンキョクブナ科)は2n=26,Sericolea sp.(ホルトノキ科)は2n=30,Stemonures cf. ammui(クロタキカズラ科)は2n=44,Trimenia papuana(トリメニア科)は2n=16の染色体数をもつことが明らかにされた。
  • 塚本 達也, 安藤 敏夫, 國分 尚, 渡辺 均, 田中 理枝, GORO HASHIMOTO, EDUARDO MARCHESI, TEH ...
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 115-133
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ペチュニアなどナス科植物は配偶体型自家不和合性を示すことで知られる。本報では,自家受粉後の着果率を指標として,既知のペチュニア属全分類群(17分類群)を対象とし,86群落由来の1,201個体の自家(不)和合性を調査した。Petunia axillaris subsp. parodii(前報)に加え,subsp. subandina, P. exserta, P. occidentalisを自家和合,残りの全分類群を自家不和合と判断した。P. reitziiには,自家不和合個体のみで構成される群落に加え,自家不和合個体に自家和合個体が一部混ざる群落が認められたが,これはP. axillaris subsp. axillarisの場合と同様,自家不和合機構の破壊によるものと推定された。自家和合分類群はすべて果柄が内曲し,P. axillaris subsp. axillarisとP. integrifolia subsp. inflataを除く自家不和合分類群は果柄が外曲することから,自家不和合性と系統との関連が議論された。ペチュニアの分布域の年間降水量は,東の大西洋沿岸で多く,アンデス山脈に近い西で少ないが,降水量の少ない地域に自家和合分類群が広く分布することと,東部産ながら自家和合性のP. exsertaの特殊な生育環境から,自家和合性が受粉媒介者の機能しにくい環境下でのオプション機能として発達した可能性が議論された。
  • 秋山 弘之, 山口 富美夫, MARYATI MOHAMED
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 135-141
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    マレーシア,サバ州キナバル山の登山道沿い,標高3300mの周辺から蘚類スギゴケ科Polytrichadelphus属の新変種P. archboldii var. kinabaluensisを報告した。この植物は,雌包葉の先端が朔に届くほど著しく短い朔柄を有していることで基本変種から区別される。1997年1月および12月の2回現地で観察したが,両シーズンとも多くの群落で胞子体を旺盛につけていた。本属はおもに南米を中心に分布しており,アジア・太平洋地域ではニュージランドとニューギニアからそれぞれ1種が報告されているのみである。北半球からは初めての産地であり,すでにキナバル山から見つかっているナンジャモンジャゴケなどともに植物地理学的に興味深い分布を示す蘚類の一例である。
  • 包 維楷, 袁 〓夫, 〓 朝禄, 田村 実
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    Heteropolygonatumは昨年,田村実と荻巣樹徳によって記載された属で,これまでにH. roseolum M. N. Tamura et OgisuとH. pendulum (Z.G. Liu et X.H. Hu) M.N. Tamura et Ogisuの2種が記載されていたが,本稿で新たにH. xui W.K.Bao et M.N. Tamuraを記載する。H.xuiは中国四川省洪雅縣瓦屋山の頂上付近に着生していて,H. roseolumに似ているが,地上茎が長さ0.5-3.5cmと短く,葉が稀に二枚,普通は一枚しかなく,花が茎頂に一つだけつく点で異なっている。
  • 横田 昌嗣
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 147-150
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ラン科のコンジキヤガラは南琉球を北限として東南アジアに分布し,その名の通り花は黄金色である。藍緑色を強く帯びた花をつける個体が石垣島から新たに見つかったので,新品種ヒスイヤガラGastrodia javanica (B1ume) Lindley forma thalassina Yokotaとして記載した。唯一の自生地は森林伐採により破壊されたため,現状では絶滅したものと思われる。
  • 副島 顕子, 伊藤 元己
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 151-152
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    著者らはFlora of Japan IIIbにおいて,ノコンギク,センボンギク,タニガワコンギク,エゾノコンギクを同一種の変種関係とみなし,種の学名としてAster ovatus (Franch. & Sav.) Mot. Ito & Soejimaを採用した。この学名はA. trinervius Roxb. var. ovata Franch. & Sav.を新しく組み替えたものである。しかし,変種のひとつであるセンボンギクには種ランクの学名,Calimeris microcephala Miq.が既に存在するので,現在の規約の下ではこれを組み替えたAster microcephalus (Miq.) Franch. & Sav.が採用されなければならない。種の学名が変更されることにより,4変種の学名を次のように変更する。Aster microcephalus (Miq.) Franch. & Sav. var microcephalus(センボンギク),var. ovatus (Francb. & Sav.) Soeiima & Mot. Ito comb. nov.(ノコンギク),var. ripensis Makino(タニガワコンギク),var. yezoensis(Kitam. & H. Hara) Soejima & Mot. Itocomb. nov.(エゾノコンギク)。
  • 福原 達人
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 153-170
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    ケマンソウ亜科(ケシ目ケマンソウ科)の識別形質を挙げてから,分子系統と比較形態に基づく属間の系統仮説とそれに伴う分類系の変更を紹介し,生物地理・形質進化を考察した。
  • 植松 千代美, 片山 寛則
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 171-192
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    植物の多様な花色や着色パターンがどのように調節されているかを,アントシアニン系色素を中心に,キンギョソウ,ペチュニア,トウモロコシなどの研究例から概説した。キンギョソウやトウモロコシはゲノム内にトランスポゾンを有するために多くの突然変異系統があり,アントシアニン合成系についても遺伝学的知見の蓄積があった。また分子生物学的解析により構造遺伝子ならびに制御遺伝子からなるアントシアニン合成系の発現制御についても解明されつつある。本稿ではトランスポゾンの構造上の特徴にも言及し,その挿入や切り出しによって斑入りを生じる易変性変異や花色発現パターンの変異が創出される分子機構を紹介した。またアントシアニン合成系の進化を考える上で一つの可能性として,構造遺伝子における遺伝子重複と構造変異,ならびに新たな制御因子による発現調節機構の獲得があることを示した。これまでの研究はキンギョソウ,ペチュニア,トウモロコシなど一部のモデル植物が中心であったが,分子生物学的手法の進歩と簡便化に伴い,今後はより広範な植物で構造遺伝子や制御因子の解析がすすみ,アントシアニン合成系の進化の全体像が明らかになると考える。
  • 高橋 英樹, 桑原 康裕
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 193-196
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 今井 建樹, 井上 健
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 197-199
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 今井 建樹
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 200-
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 藤井 伸二
    原稿種別: 本文
    1999 年 49 巻 2 号 p. 201-204
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 索引
    1999 年 49 巻 2 号 p. 205-
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
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