植物分類,地理
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43 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 相馬 寛吉, 須田 裕
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    邦産フクジュソウ(Adonis amurensis Regel et Radde)を材料にして, 倍数性の変異と花粉粒の大きさ, 稔性及び外部形態, との関係を調べた。花粉の稔性は二倍体, 四倍体では高いが三倍体では非常に低い。また花粉の赤道面直径の平均値は倍数体の間でかなり変化している。倍数性が高くなれば, 平行して花粉粒も大きくなる傾向があるが, その傾向は統計的処理によってはじめて明瞭になる。花粉粒の極の軸と赤道面の軸の長さの割合(P/E)にも変異が見られる。どの倍数体においても最も普通に見られるのは, 長球状形prolate spheroidalの花粉粒である。次に良く見られるのは二倍体では稍長球形subprolate, 四倍体では扁球形oblate spheroidalの花粉粒である。正常な三溝粒tricolpate花粉の他に, 二溝粒dicolpate, 合流溝粒syncolpate, 散溝粒pericolpateや, さらに夫々の変形した花粉がどの倍数体にも観察される。走査型電子顕微鏡による観察から, フクジュソウにおける倍数性レベルを分析する為には, テクタム上の小刺spinuleの密度とその形態, 及びテクタムの小孔perforationsの特徴とを合わせて用いるのが有効であることが分かった。
  • 菅原 敬
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 15-26
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    志摩半島およびその周辺地域(渥美半島など)においてカンアオイ属植物を調査したさい, 花期, 葉形や葉質, がく筒の形などがカンアオイHeterotropa nipponica(F.Maekawa)F.Maekawa, あるいはズソウカンアオイ H.savatieri(Franch.)F.Maekawa ssp.pseudosavatieri(F.Maekawa)Sugawaraによく似た植物を見いだした。しかし, これら2種は, 一般には関東南部や伊豆半島, さらには東海地方東部に固有な種と見なされている。そこで, 問題の植物が志摩半島及び周辺地域においてどのような形態的特徴をもつ個体群として存在しているかを調べるとともに, その分類学的位置づけを探るために, カンアオイやズソウカンアオイとの間で花の形態や染色体の比較を進めてきた。その結果, この地域には2つの植物群が認められ, その一つは, これまで関東南部から東海地方中部にかけて分布するとみなされてきたカンアオイそのものであることが確かめられた。他は丹沢と伊豆半島中央部に分布するズソウカンアオイに強い類縁性をもつ新たな分類群と見なしうることが明らかとなった。本報ではこれらの研究結果について述べた。
  • 菅原 敬, 邑田 仁
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    本稿では, 日本, 台湾, 中国, 朝鮮半島等に分布するウマノスズクサ属(Aristolochia)植物8種の染色体数と中期染色体の形態について報告する。このなかの5種については初めての報告である。また, 2種については従来の報告と異なる結果が得られた。今回観察した8種のうち, Siphisia亜属に属する7種(A.kaempferi, A.onoei, A.liukiuensis, A.cucurbitifolia, A.shimadai, A.westlandii, A.mandshuriensis)はいずれも2n=32で, Aristolochia亜属に属するA.debilisは2n=14であった。これまで同属では, 2n=8,10,12,14,16,24,28,32などの染色体数が報告され, そのなかで2n=32は北米の1種で一度報告されたのみで極めて希なものと見なされてきた。また東アジア産のAristolochia亜属は2n=14(2n=12はまれ), Siphisia亜属は2n=28で特徴づけられるものと考えられてきたが, 今回の観察結果より, 2n=32は少なくとも東アジア産のSiphisia亜属では広くみられる染色体数であることが明らかになった。
  • 宮本 太, 大場 秀章
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    マレー半島最高峰のタハン山(2180m)は, タマンネガラ国立公園内の保護区として, 海抜60mの低地から山頂部まで, 様々なタイプの植生がよく保護されている。1989年と1990年に環境庁の委託調査の一部として, 同地域の植物相を調査する機会に恵まれた。このうち, シダ植物については上記公園の野生植物の記録の一部として, Journal of Wildlife and National Park(Malaysia)特集号(印刷中)にまとめた。同定の過程で新種と断定される2種が見いだされたので記載した。Plagiogyria tahanensisは, P.tuberculata Copel., 特にその矮性個体に類似する。しかし, 前者は葉身が披針形で, 長円状披針形の羽片をもち, その柄(羽軸)の基部に通気孔がないことで区別される。後者は矮性個体でも羽軸基部に通気孔があり, 葉身と羽片の形も上記とは異なる。山地林の岩上に着生していた。Vittaria sessilifronsは, V.elongata SwartzとV.scolopendria(Bory)Thwait.et Hook.によく似ている。このうちの前者からは, 中肋が上面に隆起する点で異なる。後者からは葉身の幅1cm以下で狭く, 中肋が隆起することで異なる。タハン山にはこれらの2種も産し, スンガ・ルイス川(基準産地)では, 本種は川畔林の樹幹に, それら2種と混生していた。
  • 村田 源
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 36-
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 長谷川 二郎, 和田 清美
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    On the basis of observation in 12 Japanese species of the Anthocerotae as well as of a comprehensive survey of literature, the genera of the Anthoceroate are found to have in a sporophytic cell ; (1) one chloroplast(Dendroceros, Folioceros, Notothylas and Phaeoceros), (2) two (Anthoceros) or (3) two or more (up to 12) chloroplasts (Megaceros).This fact requires correction of the generally accepted view that the Anthocerotae contain a single chloroplast in each cell of gametophytes and two chloroplasts in each cell of sporophytes. We further discuss the taxonomic significance of this character together with a distinctness of the genus Anthoceros in the Anthocerotae.
  • 長谷川 二郎
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 44-
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 山田 哲司
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    琵琶湖岸には, 数種の海浜植物が分布している。これらの海浜植物が琵琶湖に侵入したのは, 地質学的な証拠から更新世初期であるとされてきた(Takaya 1963)。琵琶湖岸に見られる海浜植物の一つであるハマヒルガオ[Calystegia soldanella(L.)Rocm.et Schult.]について, 種子を海岸および琵琶湖岸の集団から採取し, その長さと一粒重を計測した。種子の大きさを表す両方の形質で海岸と琵琶湖岸の集団は有意に異っており, 琵琶湖岸の種子は小型であった。また, 日本海側および太平洋側の海岸と琵琶湖岸から採取した個体を京都で栽培し, 花および種子について調査したが, ともに琵琶湖岸のものがより小さかった。これらの調査結果によって示された琵琶湖岸でのハマヒルガオの分化の要因について自然選択, 長期間の隔離およびそれらの相互作用の観点から考察した。
  • 田村 道夫
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    シロカネソウ亜科, カラマツソウ亜科, ヒドラスチス亜科は小型の染色体をもつ。基本数は, シロカネソウ亜連ではx=6,イソピルム亜連, オダマキ亜連, カラマツソウ亜科ではx=7,アステロピルム亜連ではx=8,オウレン亜連ではx=9,ヒドラスチス亜科ではx=13である。x=7は多くの属や種にみられ, 一方, x=8とx=13はそれぞれl属1種にみられるだけである。したがって, 小型染色体をもつ群における基本数の変化は, 大型染色体の場合のように連続的でなく, 分化のより古いことが推定される。袋果をつくるシロカネソウ亜科のなかでは, 花弁をもたないチチブシロカネソウ属はもっとも原始的である。この群の花弁は雄蕊の変化したもので, 柄があり, それが短くなり身部が発達する方向に進化すると考えられる。無柄で距の発達した花弁をもつオダマキ属はシロカネソウ連でもっとも進化した群とみなされる。オウレン連では, 盃状の花弁, 単葉, 2n=16の染色体をもつAsteropyrumがもっとも原始的である。オウレン属のバイカオウレン節はこれに近い。オウレン節は1-4回三出ないし羽状三出複葉, 総状花序と単性花への傾向をもち, Xanthorhizaはこれとの類縁が推定される。カラマツソウ属はオセアニアの大部分を除いて世界中に広く分布する。カラマツソウ亜属は旧世界に多いが, ヒメカラマツとアキカラマツは北米の北部や高山帯にもある。T.sparsiflorumはアジア東北部より北米におよんでいる。また, ミャマカラマツ節は東アジアに分布するが, 1種T.clavatumは北米東部にあり, キンポウゲ科では稀なGray型隔離分布の例である。Lecoycrium亜属は花柱と柱頭が長く伸びて特殊化しており, 新世界に多いが, 両性花をつけ, 特殊化の程度の低いMacrogynes節は, ヨーロッパ, アフリカ, 南米に分布する。両性花なつけるか, 両性花と雄花をつけるCamptogastrum節とPelteria節は南米, 中米に, 雌雄異株のHeterogamia節とLeucocoma節は北米に分布する。中国のT.smithiiは, どうみてもHeterogamia節に分類されるが, これは他の種とは独立して, 並行的に由来したと考えられる。
  • 角田 充
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 59-74
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
    Urbain Faurie, a French missionary, was one of the most important plant collectors in Japan. During 42 years(from 1873 to 1915)of his stay in Japan, he made a large collection of seed plants, ferns, mosses, lichens and seaweeds. His collections were distributed to various herbaria in the world and one set(not complete one)of duplicates was left at his hand. After his death the collections of his own were transferred to the herbarium of Kyoto University (KYO) and were recently examined by the present author. Localities on labels were arranged chronologically to make the following itinerary calendar.
  • 角野 康郎, 滝田 謙譲
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 75-
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 村田 源
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 76-77
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 梅崎 勇
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 78-80
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 寺内 良平, 加藤 真
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 81-
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 北川 尚史
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 82-
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 北川 尚史
    原稿種別: 本文
    1992 年 43 巻 1 号 p. 83-
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1992 年 43 巻 1 号 p. 84-88
    発行日: 1992/08/05
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー
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