地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
10 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 大規模人流データによる分析
    杉本 興運
    2017 年 10 巻 2 号 p. 51-66
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では,東京大都市圏における若者の日帰り観光・レジャーの時間的・空間的特性を,大規模人流データの分析結果から検討した。外出時間に着目した時間的特性の分析では,年齢が高くなるにつれて観光・レジャーの活動時間が昼間だけでなく夜間にも拡大すること,成人では学業,労働,家事を主体とした職業・学生種別がそれぞれもつ生活上の制約によっても観光・レジャーの活動時間に差異が生じること,性別比較では男性より女性の方が夜間での観光・レジャーをする人の割合が大きいことなどが明らかとなった。訪問先に着目した空間的特性の分析では,若者全体で浦安市が最も人気の訪問先ゾーンであること,それ以外のゾーンを類型化すると特定タイプの若者の訪問が目立つゾーンや様々な属性の若者が多く訪れるゾーンが抽出され,特に後者は若者の観光・レジャーにとって重要な地域であること,昼夜別かつ男女別で訪問先選択の傾向が異なることなどが明らかとなった。
  • 池田 真利子
    2017 年 10 巻 2 号 p. 67-84
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     東京五輪開催(2020)に始まる都市観光活性化の動きのなか,ナイトライフ観光への注目が高まりつつある。本研究は,プレ五輪,ポスト五輪における東京の夜間経済や夜間観光の発展可能性を視野に,世界のナイトライフ研究・ナイトライフ観光研究の動向とその具体性に関して展望を行った。その結果,同研究は2010年代以降増加しつつあるが, アジア圏と欧米圏とでナイトライフの語義が異なり,前者はより広義であるのに対し,後者ではナイトクラブやバーといった特定の観光資源を意味する点,また飲酒やパーティ等の観光行動と結び付くため若者集団に特徴的な観光形態として広く認知されている点,観光地域により観光形態は個人・ツアー観光など多様である点等が明らかとなった。プレ五輪における風営法改正や,ポスト五輪のMICE観光振興・IR推進法成立の背景には観光を巡る都市間競争の熾烈化も窺え,東京のナイトライフ観光は今後より一層変化を遂げる可能性がある。
  • 高田 岬, 𠮷田 国光
    2017 年 10 巻 2 号 p. 85-95
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿は,1990年代よりまちづくりや商店街の活性化に関する取り組みが継続している石川県七尾市一本杉通り商店街を事例に,商業活性化策が展開してきた仕組みを明らかにした。対象地域において,商業活性化に向けて様々な取り組みはなされてきたが,店舗によって取り組みに対する意識や,取り組みによって得られた商業的効果は異なっていた。一部の店舗で商業活性化は達成されていたものの,全ての店舗に効果が波及していなかった。また一本杉通り商店街では,店舗構成や振興会の中心人物が変化しつつあり,継続的な検証が必要といえる。
  • 坂本 優紀, 猪股 泰広, 岡田 浩平, 松村 健太郎, 呉羽 正昭, 堤 純
    2017 年 10 巻 2 号 p. 97-110
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿は,オーストリア・チロル州において実施された筑波大学の学部生向け巡検の事例報告である。海外巡検においては,言語環境や渡航手続きなど,日本国内での巡検と比較して困難が多い。しかし,景観観察や土地利用調査などのような言語能力をそれほど要さない調査手法を用いることで,その障壁を取り払うことができる。また,渡航地の地域事情を熟知した教員による事前・事後指導を必要十分に行うことで,現地でのトラブルのリスク軽減や教育効果の向上も期待できる。今回の巡検では,学生の調査成果を,TAの準備にもとづきながらGISを用いてまとめ,考察するようなレポートを課したことで,学生にとって既習の技能の確認の機会も得られた。以上のような工夫をすることで,大学教育における海外巡検を可能にし,国内巡検では得られない地理教育的効果を学生に与えるものと考えられる。
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