地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
1 巻 , 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 矢ケ﨑 典隆
    2008 年 1 巻 1 号 p. 1-31
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     本論文は南北アメリカ地誌を文化地理学の視点と方法で検討する試論であり,新大陸と呼ばれてきた広大な地域を考察するための枠組みを提示することを目的とする。アメリカ合衆国における地理学の研究動向および南北アメリカを対象とした文化地理学研究の成果を概観し,4つの研究のアプローチ,すなわち人間と環境,起源と伝播,地域と景観,時間と変化が重要であることを指摘した。このような認識に基づいて,コロンブス以降の南北アメリカを概観するために,北西ヨーロッパ系小農経済文化地域,プランテーション経済文化地域,イベリア系牧畜経済文化地域の設定を試みた。そして,アメリカ合衆国の発展は北西ヨーロッパ系小農経済文化地域が国土の全域に拡大するプロセスであることを指摘するとともに,具体例としてグレートプレーンズ,南カリフォルニア,カリフォルニア・セントラルバレーにおける地域変化の概要を示した。さらに,3つの経済文化地域の設定は南北アメリカにおける日系社会の比較研究に有効であることを論じた。
  • 菊地 俊夫
    2008 年 1 巻 1 号 p. 32-52
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,農村地理学におけるルーラルツーリズム研究の将来的な展望と可能性を明らかにすることを目的とした。農村地理学におけるルーラルツーリズム研究は,農村の存在形態と関連して,ルーラルツーリズムの実態に関する静態分析から,ルーラルツーリズムがもたらした地域変化の動態分析へ,そして近年ではルーラルツーリズムによる農村環境の保全とその持続的な利用システムの分析に変化した。このような研究の潮流は,農村地理学が生産主義のフレームワークからポスト生産主義のフレームワークで議論されるようになったことと呼応している。ポスト生産主義のフレームワークでは,農村の多様な環境や資源が注目され,農村の多様性と多機能性が評価されている。ルーラルツーリズムの研究でも農村の環境や資源の多様性と多機能性を総合的に議論するフレームワークが必要になっており,本研究はフードツーリズムのフレームワークの援用を検討した。
  • 平岡 昭利
    2008 年 1 巻 1 号 p. 53-70
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
     行為論で人間行動を解釈する視点から,明治期,日本人の南洋進出の行為目的は,アホウドリであったと想定し,それを追った行動が「帝国」日本の領域拡大につながったことを検討した。アホウドリは小笠原諸島では早くから認識され,1885 年頃には羽毛が外国に輸出されていた。鳥島でアホウドリ撲殺事業を始めた玉置半右衛門は,巨利を得て実業家となり榎本武揚などの南進論者と深くかかわっていた。当時,無人島開拓などの新聞小説が広く読まれるなか,開拓事業に成功した玉置は数々の書物に取り上げられ,無人島探検ブームの一因となった。このブームの中,アホウドリから莫大な利益がもたらされることを認識した人々は,当時の地図に数多く描かれていた疑存島の探検に競って乗り出し,権利獲得競争の果てというべきガンジス島問題も発生した。このようにアホウドリから一攫千金を目論む山師的な人々の行動が,「帝国」日本の領域を東へ,南へと拡大したことを明らかにした。
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