地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 松井 圭介
    原稿種別: 特集
    2018 年 11 巻 3 号 p. 1-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル フリー
  • 須山 聡
    原稿種別: 特集
    2018 年 11 巻 3 号 p. 3-20
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル フリー
    本論は,奄美大島における世界自然遺産登録に向けたさまざまな取り組みをたどることにより,奄美大島の人びとにとって世界自然遺産が持つ意味を,地域間の関係性に即して明らかにすることを目的とする。奄美の世界自然遺産登録運動は,地域の活性化,観光の振興,奄振の延長・継続を具体的な狙いとしていたが,その本質は内地に奄美の存在を認めさせることであった。世界遺産の理念とは相容れない地域的なエゴイズムが,運動を進める推進力となった。そのため,顕著な普遍的価値という,世界遺産の理念は奄美では正当に理解されることなく,「言葉の受容」にとどまった。その背景には,国家を上回る権威と結びつくことにより,日本本土を奄美に振り向かせるという奄美の戦略があった。世界自然遺産は,日本に奄美を認めさせるための道具として機能した。
  • 卯田 卓矢
    原稿種別: 特集
    2018 年 11 巻 3 号 p. 21-46
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究は世界遺産の斎場御嶽を対象に日本人および外国人来訪者の特性とスピリチュアリティの関係を明らかにした。斎場御嶽は世界遺産登録以降に来訪者が急増し,とくに近年は東アジアからの外国人も訪れるようになった。外国人来訪者の約7割を占める台湾人と韓国人はいずれも来訪後に斎場御嶽に関する知識の増加がみられ,なかでも台湾人の増加率が高かった。日本人の多くはスピリチュアルな関心を有していたが,来訪者の中には「巡礼者>ツーリスト」型と「巡礼者<ツーリスト」型の二つのタイプが確認できた。また,斎場御嶽に複数回訪れている日本人は前者のタイプと位置づけられるものの,斎場御嶽の俗化を度々経験することで後者のタイプに変化する傾向にあることが示唆された。他方で,外国人来訪者とスピリチュアリティの関係については,台湾人の中にスピリチュアルな関心がある者が存在したが,来訪動機との関係から「巡礼者<ツーリスト」型に該当すると考えられた。
  • 呉羽 正昭
    原稿種別: 特集
    2018 年 11 巻 3 号 p. 47-65
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル フリー
    現在,ヨーロッパに集中する世界遺産登録地では,グローバル化による国際ツーリズムの進展とともに訪問者数が急激に増加している。その結果,オーバーツーリズム,すなわち訪問者の飽和・過剰やそれに伴う諸問題の顕在化がみられる。本研究は,オーストリアのハルシュタットにおけるオーバーツーリズムの実態を解明し,それに伴う諸問題を場所の商品化と関係づけて整理することを試みる。ハルシュタットは,「ハルシュタット文化」や塩鉱山に基づく歴史性,密集木造家屋が湖と周囲の山々と調和した景観に基づいてツーリズムの目的地として成長してきた。世界遺産登録(1997年)後の10年以上の間は訪問者数に増加はみられなかったが,2014年頃から日帰りの訪問者数が急激に増加している。増加に大きく寄与したのは周遊ツアーの中国人で,彼らは中央ヨーロッパに存在する複数の世界遺産登録地を団体バスで訪問する。しかし,近年,騒音,私有地への不法侵入,ドローン飛行などが問題視されている。ゲマインデ(自治体)は,訪問者に地元の人々の静かな生活を尊重するよう求めた掲示設置等によってオーバーツーリズムの解決を目指している。
  • 堤 純
    原稿種別: 特集
    2018 年 11 巻 3 号 p. 66-75
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル フリー
    オーストラリアは19の世界遺産をもち,なかでもおよそ2/3にあたる12が自然遺産である。それらの中から,シドニー近郊のグレーターブルーマウンテンズ地域(2000年登録)と,アデレード郊外のナラコート哺乳類化石地域(1994年登録)の2カ所を対象に,登録前後の状況,国や州などの関わり,末端の地方自治体の振興策などについて,関連資料の収集,自治体独自の統計調査結果の収集,および担当者への聞き取り調査を実施した。その結果,グレーターブルーマウンテンズ地域は100年以上前から高級リゾート地として人気を博してきた歴史があること,また,ナラコート哺乳類化石地域では自家用車による少人数グループでの訪問が主流であり,2カ所の観光地とも観光客の客層には大きな変化が確認できなかった。そのため,対象とした二つのオーストラリアの自然遺産では,世界遺産への登録前後における観光客数には顕著な変化はみられず,また,大規模ホテルや飲食店などの積極的な観光開発もみられず,世界遺産を取り巻く日本の典型的な状況とは事情が大きく異なるといえる。
  • 松井 圭介
    原稿種別: 特集
    2018 年 11 巻 3 号 p. 76-90
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」における世界文化遺産への登録過程のうち,特にストーリーの再構築に焦点を当て,「潜伏キリシタン」を世界遺産化することの課題を空間の政治学の視点から検討した。「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」からの転換において,構成資産を可能な限り維持しつつ,禁教期における潜伏キリシタンの信仰生活に焦点化したストーリーへの再構築が図られた。この変更は,世界遺産登録を目指す国・県が作成する世界遺産推薦書における価値の見直しという形で具現化した。ナショナル/リージョナルスケールでの資産への価値づけの言説は,必ずしもローカルアクターの想いを反映するものでななかったものの,世界遺産登録を目指す共犯関係が成立し,表立ったコンフリクトは生じていない。グローバル・ナショナル/リージョナル・ローカルという三者の空間的関係を信仰世界の理解という視点からみると,そこには近代知が生み出した学問的なカテゴリーによる信仰世界の解題という状況が生じていること,またツーリズムとの関係でいえば,この世界遺産をいかにして可視化し,それをいかに語るのかが大切であることが指摘された。
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