自動車アセスメント(以下、「JNCAP」という)は、安全な車選びがしやすい情報を自動車ユーザーに提供するとともに、自動車メーカーのより安全な自動車の開発を促進することを目的として、1995年度から開始された。2000年度からは、よりユーザーに分かりやすい情報提供を目的として、衝突安全性能に関する総合評価が開始された。同評価では、フルラップ前面衝突試験、オフセット前面衝突試験および側面衝突試験の3種類の試験結果の合計点数から、乗員保護性能を6段階 (1☆~6☆) で評価した。2011年度からは、後面衝突頚部保護性能試験、歩行者保護性能試験および座席ベルト非着用時警報装置性能試験を含めて、自動車の総合的な安全性能を5段階 (1☆~5☆)で評価する新・安全性能総合評価が導入された。さらに、2018年度より、各試験法の保安基準への導入による被害の低減効果とJNCAPによる低減効果を切り分けた上で、内閣府の交通事故の被害・損失の経済的分析に関する調査に基づく社会損失額ベースで点数化する総合評価が導入されている。なお、導入されている各衝突試験形態の乗員保護性能は、2000年度から乗車位置別に5段階 (レベル1~5)評価した結果が併せて公表されている。
本報告では、JNCAPの各衝突試験結果や総合評価結果の年次推移から、自動車の衝突安全性能の変化を把握する。また、全国交通事故統計データ(以下、「マクロ事故データ」という) をもとに、JNCAPの各衝突試験結果や総合評価結果と実際の交通事故における運転者の死亡率や重傷率との関係について述べる。
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