JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
2024 巻, 12 号
JARI Research Journal 2024年12月 特集号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
2024年度特集号 特集:「自動運転の技術開発と社会実装を支える」
表紙・目次・掲載区分・編集後記・裏表紙
◆特集記事
巻頭言
研究速報
  • ― 都市道路におけるエキスパートドライバによる運転シミュレーション ―
    ムスリム フサム, 安部 原也, 北島 創, 内田 信行
    原稿種別: 研究速報
    2024 年2024 巻12 号 論文ID: JRJ20241202
    発行日: 2024/12/10
    公開日: 2024/12/12
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    条件付きの「自動運転システム」が特に都市環境において普及することが想定される.このようなシステムの場合,システムからの介入要請がなくても,ドライバがシステムに従わず,自らの判断で上書き(オーバーライド)する可能性がある.このようなドライバ主導の介入は,自動運転の安全性にリスクをもたらす可能性がある.本研究では,対向車線のある2車線道路で,条件付き自動運転車が駐車車両を追い越すというシナリオをシミュレートし,ドライバ主導の介入の状況を調べた.その結果,ドライバによるオーバーライドは,自動運転車が対向車と駐車車両の双方に接近している間に,ブレーキペダルを踏んだりハンドルを握ったりすることによって実行されることが明らかになった.23人の参加者のうち,12人はシステムによる意思決定と操作に信頼を示し,9人はおおむね安全だと感じつつもシステムの操作について特定の不安感や不快感を覚え,2人はシステムの認識と周辺車両との接近に関連する安全上の懸念を示した.これらの知見は,ドライバの介入の要因とパターンに関する貴重な知見を提供し,自動運転システムの設計に役立てることができる.

技術資料
  • 北島 創, 中村 弘毅, 村田 智良, 田口 研治, ウォレン 郁恵
    原稿種別: 技術資料
    2024 年2024 巻12 号 論文ID: JRJ20241203
    発行日: 2024/12/10
    公開日: 2024/12/12
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    自動運転システムの実用化に向け,社会が受容するに値する安全性をいかに確保するかがシステム製作者に対して問われている.その問いに答えるべく,一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)では日本の自動車産業界のベストプラクティスをフレームワークとして文書にまとめて公開している.2022年に最新版であるVer.3が公開され,その内容はシナリオベースの安全性評価の国際標準や国際基準の策定に積極的にインプットされている.国際的な議論を継続してリードすることの意義は非常に大きいため,本稿では将来的なVer.4更新に向けた課題を特定するため,現状の内容が安全論証構造として必要十分なものであるかを分析した結果について述べる.

  • 坂村 祐希, 遠藤 駿, 北島 創, 中村 弘毅
    原稿種別: 技術資料
    2024 年2024 巻12 号 論文ID: JRJ20241204
    発行日: 2024/12/10
    公開日: 2024/12/12
    研究報告書・技術報告書 フリー HTML

    本稿では2台の車両の相対関係を定量的に再現するために,ドイツ国内の交通流を計測したドローンデータセットを用いて2台の車両の相対関係に基づいた特定のシナリオを抽出し,物理パラメータの統計値を計算する手法について述べる.道路ネットワークデータを用いて交差点に関する情報を計算し,マップマッチングによって車両の経路と交差点における進行方向を推定する.交差点における左折対直進,直進対直進のシナリオを抽出する対象とした.抽出処理の結果,それぞれ701件および414件のシナリオを抽出し,安全性評価シナリオ作成に必要な物理パラメータを計算した.将来的には各シナリオにおける車両の安全な走行に必要なパラメータの範囲の決定や,日本国内で同様な計測が行われた場合のデータに適用することで日独データの比較による地域差の検証に本稿の結果を活用する.

研究活動紹介
トピックス
●一般記事
研究活動紹介
  • 北島 創
    原稿種別: 研究活動紹介
    2024 年2024 巻12 号 論文ID: JRJ20241208
    発行日: 2024/12/10
    公開日: 2024/12/12
    研究報告書・技術報告書 フリー HTML

    近年,あらゆる方面でDX(Digital X- (Trans) formation:デジタル化により社会や生活の形・スタイルが変わること)が推進されるなか,将来の維持が困難な地域交通もその対応に迫られている.ただし,単なる先進技術の導入はDX実現とはいえず,既存の交通体系に先進技術を調和させることで優れた安全性と利便性を地域住民にもたらす必要がある.交通体系は複雑な要素が絡み合うため,本格導入前に各種施策の効果を試す社会実験を代替できるシミュレーション技術が重要である.一般財団法人日本自動車研究所(JARI)と三咲デザインは,産官学が共同で活用できることを目指して開発を進めてきたところ,その方向性に賛同いただいた香川大学の鈴木桂輔教授よりコンソーシアム(共同事業体)の立ち上げについて提案を受けた.このような背景のもと香川大学では,2024年から産官学に共通する社会課題を解決するためのシミュレーション技術の高度化に向けたコンソーシアムを運営しており,本稿ではその活動内容について紹介する.

エッセイ
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