2014年に市場に登場した燃料電池自動車 (Fuel Cell Vehicle (FCV) ) は、水素を燃料としている。水素の単位体積あたりのエネルギー密度は著しく低いため、圧縮して専用の高圧水素容器に高密度で格納している。最大70MPa (15℃基準) に達するFCVの高圧水素容器には高度な安全性が求められており、各種の評価試験が実施されている。
その一つとして、火災時の高圧水素容器の安全性を検証するために、火炎暴露試験が実施されている。火災時の内圧上昇と強度低下による容器破裂を防止するため、容器には熱作動式の安全弁 (Thermally-activated Pressure Relief Device (TPRD) ) の装着が要求されており、試験ではこのTPRDの作動を確認する。この試験方法は、世界技術規則第13号 (Global Technical Regulation No。13 (GTR13) ) に定められているが、試験の再現性に課題があり、GTR13の改定作業が進められている。再現性向上に向けて、火炎形状や基準となる温度計測点、風の影響などを適切に基準化することが必要である。
本研究では、基準化に資するデータを取得するため、数値シミュレーションによって火炎暴露試験を模擬することを目的とし、流体領域における火炎形成と固体領域の容器への熱伝達および容器内部の熱伝導を模擬する数値モデルを開発する。
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