燃料電池自動車 (以下,FCV) 燃費試験方法を定めるISO23828にはNormative (規範) として質量法,圧力法,流量法が定められている.いずれも車外から水素 (以下,H2) を供給する方法であり,FCVの水素供給ラインに外部から水素供給ラインを介入させる改造が必要である.近年,国内外で完成車検査の重要性が高まっており,早期にFCVの車両改造不要な燃費試験方法の確立が必要である.
これを実現する手段として,排出ガス中の酸素(以下,O2) 濃度の変化量を計測することによって,反応に使われたH2量を算出する酸素バランス法が考えられる.(一財) 日本自動車研究所ではNEDO水素社会構築共通基盤整備事業 (2005年度~2010年度) において,排出ガスの流量と濃度を直接計測する直接計測法を実施し,酸素バランス法の原理確認を行った.
一方,経済産業省が2019年3月12日に策定した水素・燃料電池戦略ロードマップでは,2030年までにFCVの国内普及目標を80万台としている.今後のFCVの普及を考えた場合,内燃機関自動車の燃費・排出ガス試験設備として普及しているConstant Volume Sampler (以下,CVS)をFCVの燃費試験に用いることができれば,設備や試験担当者を共有でき,メリットが大きいと考えられる.
そこで本報では,CVSを用いたFCVの車両改造不要な燃費試験方法を考案・検討し,その課題について調査した.
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