禁煙科学
Online ISSN : 1883-3926
Vol.17 巻, 10 号
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  • 東福寺 幾夫
    2023 年 Vol.17 巻 10 号 p. 1-9
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル オープンアクセス
    要 旨
    はじめに:高崎健康福祉大学(以下、本学)では 2006 年度からのキャンパス内全面禁煙実施に向け、2005 年に本学学生(以下、学生)を対象にアンケート調査(以下、アンケート)を実施した。アンケートはその後毎年実施され現在に至っている。アンケートでは、学生本人の喫煙状況や喫煙マナー、たばこ関連疾病に対する認識等の他に、家族等周囲の喫煙状況も尋ねていることから、学生の親の喫煙状況も把握できる。これらのデータを経年的に分析し、新たな禁煙支援のヒントを得ることを目指した。
    方法:本研究ではまずアンケートで得られた各年の学生の親を喫煙状況により、父のみ喫煙・母のみ喫煙・両親喫煙・両親非喫煙の 4 群に分け、それぞれの群の人数の割合を以て喫煙率とした。次いでそれら喫煙率の 2005 年から 2023 年までの経年変化を分析した。その際、学生の親と同世代と考えられる全国 50 代男女の統計データを参照した。
    結果:学生の父および母の喫煙率とその経年変化の傾向は、それぞれ全国 50 代男女の喫煙率とほぼ一致していた。学生の父のみ喫煙率および両親喫煙率には低下の傾向が、母のみ喫煙率には増加の傾向が認められた。また両親の何れか一人が喫煙者の場合にはそのパートナー(以下、配偶者)の喫煙率は、一人が非喫煙者の場合と比べて有意に高いことが判明した。さらにアンケートから、喫煙する学生は交際相手に禁煙を求める者が少ないという傾向も判明した。
    考察:配偶者の禁煙を希望する母の割合が多いことが、父の喫煙率低下の一因となっていると推測される。一方、母の喫煙については、その喫煙を容認する配偶者の割合が高いことが母親の喫煙率が低下しない一因なっていると推測された。また、父母とも喫煙者であっても、配偶者の禁煙を希望するが一定数存在すると試算されたことから、喫煙カップルに対する禁煙支援を提案した。
    結論:増加傾向にある母親の喫煙率を低下に導く方策として、「カップル禁煙支援」の創設を提案した。
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