禁煙科学
Online ISSN : 1883-3926
vol.8 巻, 06 号
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  • 入谷 智子, 高橋 裕子
    2014 年 vol.8 巻 06 号 p. 1-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/07/23
    ジャーナル オープンアクセス
    要 旨
    背景・目的:米国の禁煙後の長期的な体重変化の先行研究では、禁煙10年後に男性は4.4kg増加し、女性は5.0kg増加した と報告されている。日本の先行研究では、禁煙後5年以降の体重変化についての研究は少ないが、欧米研究の結果が、そ のまま日本人に当てはまるかどうかほとんど研究されていない。そこで日本人男性において長期的な体重変動を検証する 目的で、禁煙者と喫煙者について10年間のBMIの経年的な変化を検討した。
    方法:男性勤労者の定期健康診断の結果を利用し、禁煙群と喫煙群の10年間のBMIの変化を経年的に抽出して比較検討し た。
    結果:禁煙群のBMIの平均値はベーススライン年度(22.16±3.01 kg/㎡)と比較し、禁煙後1年目から6年目まで増加し続 け、禁煙後6年目には、他の年と比べ最も高値を示した(22.84±3.30 kg/㎡)が、禁煙後7年目(22.65±3.33 kg/㎡)以 降はゆるやかに減少した。一方喫煙群ではBMIは5年目以降徐々に増加し、9年目には最も高値となってベースライン年度 との間に有意な差が認められた(23.78±3.17 kg/㎡)。ベースライン年度に比べてBMIが減少していたのは、禁煙群では 5年目が7名 (23.3%)、10年目が14名(43.1%)であった。喫煙群では、5年目が31名、10年目32名と1名の増加にとど まった。
    結論:禁煙後の体重増加は長期に及ばないことが示された。一方喫煙群のBMIは5年目以降増加傾向にあり、喫煙習慣が適 正体重の維持に有用と言えないことが示唆された。
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