要 旨
漢方薬が禁煙に効果があることは報告されてきたが、禁煙補助薬と漢方薬の併用と禁煙成功の関連の検討はほとんど例を見なかった。ニコチン依存症の治療過程において生じた患者の訴えに対して漢方薬を併用し、禁煙成功率に著明な改善が見られたので報告した1)。
本研究では、症例数および漢方薬の種類を増やして同様の効果が得られるかを検討した。主な要因は禁煙外来における新規の漢方処方、主要評価項目は12 週間後の禁煙成功率とし、年齢、性別、 Brinkman 指数、ニコチン依存度(FTND)、受診回数を調整要因とした。禁煙成功は、漢方薬使用群が46 例中38 例(82.6%)、漢方薬不使用群が193 例中130 例(67.4%)で、漢方あり群で有意に禁煙成功率が高かった(P=0.048)。多変量解析では、再診回数のみが有意な関連を示し(P=0.000)、漢方処方と禁煙成功率には有意な関連を認めなかった(P=0.34)。
前回の分析よりも症例数を増やして検討したが、前回と同様単変量解析では漢方薬併用群で有意に禁煙成功率が上昇するが、多変量解析においては、再診回数のみが有意な関連を示した。個々人の訴えに合わせて漢方薬を禁煙補助薬に追加処方することにより、良好な人間関係の構築がなされ、再診回数の増加につながって治療成績に影響した可能性が考えられた。
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