禁煙科学
Online ISSN : 1883-3926
vol.16 巻, 02 号
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  • 遠藤 將光, 岩城 紀男, 福田 太睦, 吉田 健治, 横山 明美, 池田 美智子, 高橋 裕子
    2022 年 vol.16 巻 02 号 p. 1-6
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル オープンアクセス
    抄 録
    目的:我々は 1998 年から医師が小学 6 年生に喫煙防止教育を行い、8 年後の 20 歳になった時点で喫煙率を低下させるの に有効かを検証するため、2010 年から成人式で喫煙行動をアンケート調査して来た。その結果 2014 年から 2016 年度の 3 年間有効だったが1)、2017 年度より有効性は認められなくなった。今回は 2017 年度より追加した新型タバコのアンケー ト結果を中心に、有意差が無くなった原因を検討したので報告する。
    方法:金沢市内 14 公民館、7 会場の成人式でアンケートを行い、出席者は 700 名弱(全市出席者の 20%程度)で回収率 は 75%から 80%程だった。これらを喫煙防止教育あり群と教育なし群に分け喫煙行動を群間比較、喫煙率はχ二乗検定 を用い検討した。また、2017 年度からアンケートに「新型タバコを安全と思うか」との質問を追加した。
    結果:教育あり群/なし群の喫煙率は、2014 年度は 5.2/12.5%、2015 年 6.7/16.9%、2016 年 10.5/16.0%で、この 3 年 間は両群間に有意差を認めたが、2017 年度では有意差は認めず 2018 年と 2019 年は両群でほぼ同様の値であった。また、 2017 年度から追加した新型タバコに関する質問の結果、新型タバコが「安全と思う」喫煙者が 2017 年度 20.6%から 2019 年では 38.6%に急増し、非喫煙者でも 2017 年 13.3%から 2019 年 16.9%と確実に増加した。「安全と思わない」は 非喫煙者では 2017 年 40.2%から 2019 年 47.5%に増えてはいるが、喫煙者では 2017 年も 2019 年も 39%程で変わらなかった。
    考察:新型タバコが安全と思う喫煙者が急増し、非喫煙者でも増えている。また、安全と思わない非喫煙者は増えてはい るが 50%には満たず、喫煙者では変わっていない。8 年前にはまだ普及していなかった新型タバコの有害性は授業で教えておらず、その危険性が新成人に充分認知されていない事が、両群間の差を無くした要因の一つと考えられた。今後の喫 煙防止教育では新型タバコの有害性を知らせる事が重要で、次回以降のアンケート調査では紙巻きタバコと新型タバコの 喫煙状況を分けて質問し検討する必要があると考えられた。
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