【緒言と目的】
昨今、中国からの大気汚染物質である微小粒子状物質
(PM2.5)の飛散が社会問題となっている。アメリカの
C. Arden PopeⅢらの調査では、PM2.5値が10㎍/㎥増え
ると心臓病や呼吸器疾患による死亡率が9%、肺がん死亡
率が14%、全死亡率が6%増えるとしている1)。
微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準値については、
WHOのガイドラインでは、1日平均で25㎍/㎥以下、1年平
均では10㎍/㎥以下とされている。たばこの燃焼によって
発生する主流煙も、この微小粒子状物質(PM2.5)を含
むため、近年受動喫煙の曝露濃度の評価として、PM2.5
濃度測定が行われるようになった。公共の場や飲食店に
おける微小粒子状物質(PM2.5)濃度測定については多
くの報告があるが、精神科病棟における微小粒子状物質
(PM2.5)濃度測定の報告は稀少である。我々は、N県
内の一精神科病棟において、敷地内禁煙実施前(喫煙室
設置あり)と敷地内禁煙実施後の微小粒子状物質(PM
2.5)濃度測定の比較を行い、喫煙室からの受動喫煙の実
態を明らかにしたので報告する。
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