要 旨
目的:タバコの煙には約4000種類の化学物質が含まれており、喫煙は多くの疾患の危険因子であるため、大きな課題であ
る。薬剤師にとって禁煙支援は医療費削減および国民の健康維持をサポートする上で重要な業務となっている。そこで、
薬剤師に喫煙や禁煙に関する意識調査を行って問題点を抽出し、禁煙支援に必要なものが何か検討した。
方法:201X年および、201X+1年に某県薬剤師会禁煙支援薬剤師養成研修会に参加した薬剤師を対象に、『コーチングを活
用した禁煙支援プログラム』の講義後、禁煙支援に関する意識調査を5段階尺度および自由記述形式で実施した。回収し
た意識調査の回答結果の項目分析を行うとともに、因子分析およびクラスター分析を用いて、各設問間の関連性について
の検討を行った。単純集計処理後、因子分析およびクラスター分析にはR-3.2.3を使用し、禁煙支援薬剤師の意識および
禁煙支援時の問題点を抽出した。
結果:415人(回収率97.5%)から得られた意識調査を解析した。単純集計では、禁煙患者が禁煙支援薬剤師に相談する
内容は、「本当に禁煙できるのか」という禁煙に対する不安や、「何度も失敗して辛い」という苦しみが約40%を占めて
いた。また、「禁煙支援時に配慮が必要なこと」に回答があった「傾聴」「励まし」というコーチングの技法を活用した
コミュニケーションは不安や苦しみに非常に有効であることが示された。因子分析では、5つの因子(禁煙支援、健康へ
の影響、タバコの被害、防煙教育、「禁煙すべき」)が抽出された。また、クラスター分析から回答者を3つのグループ
①禁煙支援に積極的、②禁煙支援の必要性は感じているが積極的ではない、③その他と分類することができた。
結論:薬剤師の抱えている問題点を抽出することができた。その結果、薬剤師は患者ひとりひとりにあわせたテーラーメ
イドのコミュニケーションを円滑にとれるようにトレーニングをする必要があると考えられた。
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