要 旨
目的:医療・福祉系大学の喫煙未経験の未成年学部新入生における、喫煙開始リスク因子の候補(家族内喫煙、友人の喫
煙、低い全般的なセルフエスティーム)と将来の喫煙意思の関係を明らかにするために調査研究を行った。
方法: 2016 年6 月~ 7 月の期間、学生553 名(男子272 名、女子281 名)を対象に、喫煙防止対策講義直前に自記式ア
ンケート調査を実施した。質問項目は、性別、本人の喫煙行動、全般的なセルフエスティーム、家族の喫煙行動、友人の
喫煙行動および将来の喫煙意思とした。全般的なセルフエスティームの測定には日本語版ローゼンバーグ自尊感情尺度
(全般的な自尊感情尺度)を用いた。将来の喫煙意思の有無により、喫煙未経験の未成年学部新入生を2 群に分け、各項
目をt 検定とX2 検定を用いて比較した。
結果:同意が得られた喫煙未経験の未成年学部新入生313 名(男子115 名、女子198 名)を解析の対象とした。男子の全
般的な自尊感情尺度の合計得点平均値は、将来の喫煙意思がある場合が24.4、ない場合が25.1 であった。女子では、将
来の喫煙意思がある場合が22.9、ない場合が24.0 であった。男女ともに有意差は認められなかった。家族の喫煙行動と
将来の喫煙意思との間には、男女共に関係はみられなかった。また、友人の喫煙行動と将来の喫煙意思との間にも関係は
みられなかった。
結論:今回、医療・福祉系大学の喫煙未経験の未成年学部新入生における、喫煙開始リスク因子の候補(家族内喫煙、友
人の喫煙、低い全般的自尊感情)と将来の喫煙意思との間に関係はみられなかった。
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